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収拾ないけど、とにもかく私は皮を剥く

夢なのかな、あー初手”夢が覚めたら”だった。
夢ならこの光景も、付きまとう情緒も受け入れられる気がした。
覚めたら忘れてしまいそうと思ったぐらいに濃すぎた。いや、濃いなら忘れないだろとツッコミを入れた。だって目の前の彼は「君の名前も思い出せない」って歌うのだから。思い出せない、そうか、きっとここから覚めたら忘れてしまうぐらいの密度なんだとあの時の私は認識したのを覚えている。

昨年のツアー(Kareid proud fiesta)も初手はゆっくり("harmonized finale")、2曲目爆走(”箱庭ロックショー”)だったな。
今回もゆっくり包むように始まった。と思ったら2曲目は終盤の定番、”シュガーソングとビターステップ”。
これまた昨年の話、プロローグから入って2曲目が本編1曲目と勝手に呼んでるこれ。今回は見事な伏線でした。
夢が覚めるまでちょっと一緒に踊ろうよと誘われて、早々愉快なステップでボルテージ急上昇。
”ミレニアムハッピー・チェンソーエッジ”に続く。
もう制御不能だと言ってる、早い。第三者的に見れば。いや、妥当でした。当人的に言えば。
混沌としているのに、サビで一気にポップになるところ良すぎる。コントロール効くわけない。
身体が勝手にリズムを取ってしまうユニゾンのポップさ、3人の趣向が詰まった混沌なロックを同時に味わってしまったらそりゃ。

”City peel”
ユニゾンの新境地のような何かを感じたな。今までもあったけど何が違う。多分ユニゾンのバラード系は遠回しに誰かを救ってしまいそうな優しさを感じる。別に、この曲に優しさがないわけではない。「誰か」という対象がいない。当人の話。
最近のユニゾンの自由なモード(でいながらそれが生むロックが面白い)を言語化したようである。それでいて自分に重なった。このアルバムに自分を重ねてしまったゆえのそれだと思う。
”WINDOW開ける”
貴方はこのツアーの引き金です。サビでネジが外れたかのように荒れ狂う客。
しっかり窓全開になった客を前に”シューゲイザースピーカー”、”アンチ・トレンディー・クラブ”。
超個人的な話、”シューゲイザースピーカー”の後は、”スペースシャトル・ララバイ”が来ると構えていた。

ユニゾンがユニゾン足る為に、それを構成する全てを総称して天秤にかけたら、どちらかといえばトレンディではない。
好事家の集まりなのに、決まった振りとかないのに同じタイミングでレスポンスしてたり面白すぎる。
おもしれーバンドと思ったところにぶっ込んできた”MIDNIGHNT JUNGLE"には開いた口が塞がらなかった。笑った。

斎藤宏介、ここで一言「Phantom Joke」
何でも面白く感じるから無意味に拍手しちゃった。
「君たち盛り上がってるみたいだけど、これ全部ジョークだから」って言われているのかと思った。

”Numbness like a ginger”
人生なるようになるもので。
目の前の3人の軌跡を見ていたらそれがもう答えである。

そして、”お人好しカメレオン”。
これが問題児すぎる。俺たちは俺たちが楽しいと思うことをやってるだけだから見たかったらどうぞぐらいのスタンスのユニゾンが目線を合わせて肯定してくれた気がした。
ふと沸いてくる勝手な感情の波に沿うように、回収しながら続いたこの日のライブ。このタイミングでその伏線の線上を掴んでしまった。
完全にこの時からライブという感覚より、私とユニゾンのミニマムな話になっていた。ここでなんだか怖くなった。
”アンチ・トレンディークラブ”でマイノリティなウチらのお祭り楽しい!ってブチ上がったのに、もう私の中ではミニマムな話になってしまったゆえ、ギュッと幅が狭まった。あまりにも眩しすぎる照明と、あまりにも肯定してくれるユニゾンを前に怖くなった。
貴雄ソロ、いつも通り異次元だった。だけど感動してるのに外見の自分は動かない。こんなにこっちは戸惑っているのに線はずっと真っ直ぐ伸びる。

それでも掴んでしまった私が肯定された瞬間はやってきた。
「僕たちのスピードで」
私は狭まった焦りからスピード感覚を見失っていたのかもしれない。ユニゾンは至って普通にロックバンドをやっていただけなのに。
ずっとこの人たちを信じていたいと思った。
「応答を願う!」どうしようもなく笑顔で拳を突き上げたくなった。

ありがとう、”スペースシャトル・ララバイ”

楽しいな今と思いながら拳突き上げた時、この音楽がどうしようもなく好きだと思える瞬間ってあるんだなあと思った。

ミニマムとか言いましたけど、”徹頭徹尾夜な夜なドライブ”で帰ってきました。
みんなで言う「ワタシドコココハダレ」最高だった。決してマジョリティじゃないのにぴあアリーナを埋めてしまうバンド。目に入る周りはみんなノリノリだ。
なんだか気になって会場全体を見た。どこを見ても手上げてノリノリだ。マイノリティって何?マジョリティって何?あなたの心が突き動かされるそれがもう(あなたの)マジョリティってことで良いんじゃないですか!!
正真正銘のトップスピード。カオス極まった。
そんなこんなでラスト、”恋する惑星”。客の顔を実際に見たわけではないけどみんなワクワクが顔に張り付いてたなこれはって空気でした。

ライブのために曲を作っている。その通りのアルバムだった。
新旧どちらにも解釈が深まった。

本編終了後、数十秒で再登場。
「おまけ!」
ラストは”フレーズボトル・バイバイ”かと思っていたら”Kareid proud fiesta"。
「かくして物語は始まる」
このライブは序章に過ぎなかったというわけだ。
最後まで伏線を回収しまくる。
ネクストでは何を見せてくれるのか。

聴けば聴くほど、読むほどに割とユニゾンのマインドと気あってるねと思っていたし、だから多分このツアーはずっと跳ねて笑っていたら気づいた時にはラスト!で終わると思っていたが、結局クソデカ感情かましててウケた。

この日を迎えた私の朝、「フレーズ!ボトル!バイバイ!」楽しみ〜!
喰らった私「言ってること同意だけどお前誰だよ」


2022年のユニゾンの締め括りも中々面白かった

持ち札が強すぎるのだ。


おまけ


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