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完璧な夜の準備と、完成

BRIGHTNESS TOUR

ツアー初日、ツアーファイナルを見た。

ツアー初日を見たシンプルな(ツアーファイナルを見据えた)感想
"このままだと、彼らが全国でファンと高めてきたバイブス、自信を目の当たりにすることで勢い余ってバク転することになる可能性がある"

ツアー初日


私の感想メモには「新譜がこの前出ました。1週間も経っていません。」と書いてある。
拓さんはMCにて「愛しかない!」と発していたらしい。
顔を知ってから間もない曲たちを前にヘドバンして拳を突き上げるぐらいには馴染みがあまりにも良すぎた新譜たちである。こちらからも言わせてほしい、愛しかない!
初日からこんな調子である。そりゃ、ファイナルともなればバク転の可能性も容易に想像してしまうのも頷ける。やったことないけど。ヘドバンの勢いでできる気がする。

「最高の夜にしようぜ!こんな夜を待っていた!」
Out of Control を前にこの言葉を聞いた時に過った感情がある。
待っていた夜に到達したと思えたナッシングスとの夜はあるが、この日はついにバンドとしてこの煽りを背負うことができたと思った。
そう、これはナッシングスとしての連名コメント。

Bright Nightを通して、マジで完璧な夜の始まりを確信したように。
この確信の伏線回収をしていただけたと。
(”完璧な夜”はツアーファイナルにて更なる回収に立ち会うことになる)
バンドとして更に高みを目指すその先を、動員が増えた!物販が売れた!という目に見える物差しで図らず、”俺たちとお前の話だから”と、ソングライターの本音と建前ではなく、バンドの本音として客の目を見て笑ったり真面目な眼差しを向ける彼らがやっぱり眩しかった。
だから、”BRIGHTNESS”にはどれだけ時を経ても、大きな未来を創造する時にはそこにいてほしい。
思えば、2022年のBEGINNING(新代田FEVER)のMCにて拓さんは「ANSWERの曲をここで終わりにするのではなくこれからも大切にしていきたい」と話していた。
実際に、今回のツアーでもここぞのタイミングで”Walk”の生命力がバンドの本音を映していた。

きっと、ナッシングスが表現する「君」というのはファンさんのことで、それら含め全てが本音なのだ。
そういうわけでの、俺たちとお前の話。
この日のライブにおいて、グッとフロアのバイブスが一点に集中した最高潮の瞬間があった。居ても立っても居られないような。
演者からしたらプレッシャーでは??というぐらいにソワソワさせるフロアの熱量に応えた”Like a Shooting Star”
これがめっちゃ、面白かった、そんな記憶がある。
中盤でこの曲が投下される時は「オニィいけるか!!」という雰囲気でフロアにも熱量が伝染する感覚があるが、この日に至ってはそれがフロアに向いていた。
まるで、全員でてっぺんを取りに行く決意の円陣のようだった。
プレッシャーでは?なんて余計なお世話だ。

新進気鋭に心のままに創ってきたナッシングス・シルバーサン独自の自己表現の音像は名刺と呼べるほどには確立された。
そこに。ナッシングスのこれまでを称賛した上で伴走者として現れたワーナー。
何となくかもしれないが、拓さんの歌だけじゃなく、ギターもベースもドラムも一緒に歌っている。そんな感覚を抱いた。
インディーズとメジャー、どちらが正解などはない。
当人のスタンス次第である。スタンスブレずにやってきた先に見たい景色を共に彩りたいひと。

新体制一発目のワンマンからこの感覚を、第三者が、受け取っているのだ。
ツアーファイナルを迎える時にはどれだけ化けてくるか楽しみがすぎる。

「着いてこいよ、置いていかないから」
この2っのワードがバンドマンの煽りにおいて共存する空間に初めて遭遇した気がする。
私の中での解釈上のナッシングスは、彼らに着いていくリスナーを待っているわけではないと捉えている。
会う度に”出会えて良かった”を更新し続け、そのうちにハイパーなナッシングスがまだ見ぬ先へと連れ出してくれる。

ナッシングスが作品を重ねる度に進化を続ける事象については、未踏のマイルストーンを掘り当てる旅として捉えたい。
というのも、“Milestoneで引き締まる空気が好きだ。
ずっと楽しそうな拓さんもこの時はグッと引き締めた顔をする。
そして私の記憶上だと、”ここで自由を叫ぶんだ”にて、スーパースマイルを見せてくれる。
”楽しませる”ことを意識していると話していたのを読んだことがあるが、曲を通してナッシングスの村松拓として喜怒哀楽を表現している。


ツアーファイナル

「お前たちが一番好きな曲だと思う」
フロアがギュッとなった。フリだけで期待値が高まるフロアと演者の関係性。
拓さんの予想通り、私たちが好きそうな曲のイントロがきた。Isolationだ。
Isolationの曲振りはいつもフロアが高まるのはもちろん、発する拓さん、ナッシングスまでもギアを一段あげる起爆剤にしている節がみえる。
そして、イントロを合図に更にぶち上がるフロアを見て満足そうな拓さん。
と思ったら途中でシュッと真面目モードに切り替わった。
それも束の間、一際優しい目に変わった。

これは紛れもなくバンドの本音だ。

全国のライブハウスで揉まれて研がれた”BRIGHTNESS”が帰ってきた!
どんな様子の音像にぶつかるのだろうと、ただただ、その音を楽しみにしてきたツアーファイナル。
待ち構えていたのは小箱で溜めてきたパワーを一回り大きくなった箱(Zepp)で開放させる玄人の様。変わらず音の刃を研ぎ続ける精神は侍のようだった。
彼らが玄人の如く音を磨くならば、客は思い思いに身を任せるのみ。
これが全国回って研いできた音像だ!と挑んでくるならば、こちらも応戦するのみである。

この日の拓さんは、武道館で見た拓さんのようだった。
ナッシングスのフロントマンとして、ナッシングスの4人から生まれる音楽と真っ向から向き合う、覚悟を見た。

「おっす!4人でNothing’s Carved In Stoneです!」

開口一番の「おっす!」
ここで私は、今日はナッシングスが音楽で提示してくれる意志に乗って、身は軽やかに自由にやっていれば良いんだと確信した。

というのも、全国回るうちに、初日で予感めいた想像通り、とんでもない熱量になっているという噂を聞きつけていたから。
ということは、きっとここでも小箱で揉まれ、糧となったパワーが最も良い鮮度で直輸送されてくるということだろう。(と仮説した)

予感が割とリアルな現実となっていた2ヶ月間の軌跡。
ヘドバンの勢いでバク転できてしまうかもしれないなんて荒唐無稽な未来予想図、、いや、あるかもしれないな、、?!

そこはさすが音で黙らせる玄人である。
とんでもない拳のぶつけ合いというよりも、これ以上にない人間業を至って冷静に見せつけてきた。
とんでもないロックを全国のライブハウスでやってきた人たちが最終ステージでは、冷静な装いで、それでいてフロアの主導権は掻っ攫っていく。

そう、この日はどこか2月の武道館を思い出させる空気が漂っていた。
”モーション爆上がりというより、場に呑み込まれることなく、貫いてきた音楽をただ鳴らす彼らに感服してしまった。”(武道館を観た私の感想)
唯一、異なっていたのは武道館では主導権の所在は明確ではなかったということ。
いつもより大きめ、かつ映える場所で職人芸を堪能した。
お客さん含め”武道館”という意識はさほどなかったという人は少なくないと思っている。
規模によって魅せ方の意識をせずとも、むしろ場がナッシングスとこの日限りを創り上げたいと乗り込みに来ていたような。

どこでロックバンドを務めようともスタンスにブレは生じない4人である。

話をツアーファイナルに戻して、
主導権を奪ったという噂のバンドのボーカルは、初日と同様に、
「着いてこいよ、置いていかないから!」と発していた。
あまりにも肝が据わった頼もしいフロントマンである。
そして終演後にはこの笑顔。
無邪気にも程がある。(最高がすぎる)


ナッシングスの今に触れる度に思い出す。

明日が怖いとなげいていた君を連れ出して
世界を見せる
おとぎ話はいつも君次第

Beginning / Nothing's Carved in Stone

まだ見ぬ先へと、グッと引き上げてくれるバンド。だけど、そのまま到達点まで導いてくれるわけではない。
お前の話、君次第のおとぎ話。
置いていくことだけはしない。

「完璧な夜にしようぜ!」
Out of Controlを迎えた台詞だ。
ついに、過去にしがみついた腕が払われたのだろう、全国で培った軌跡を通じて。

完璧な夜を迎える準備の始まりを見た初日と、その完成を見たファイナル。
ナッシングスが音を鳴らすことで、モノクロの世界を彩る道ができる。

Freedomにて度々登場する歌詞”You are free”
サビのラストを飾るこのフレーズだが、聴いているとどうしても「Yeah!」で締めたくなる衝動に駆られる。だが、1番も2番もそのような声は聴こえてこない。
満を期して、ラスサビにて「Yeah!」に出会える。
リリース当時からここがすごく好きだった。Freedomを聴くたびに完璧な夜に出会える気がするから。

実際のライブでも「Yeah!」に、完璧な夜に立ち会うことができた、私から見た完璧な夜もカラフルに色づいた。


2月武道館の話



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