見出し画像

The Who - Who's Next : Life House (2023)

 最近はこういう手法のリリースが増えているようで、ありがたい反面もあるがどこまでやるんだろうか、なんて大人の物の見方もある。ただ、聴けないよりも聴ける方が当然良いし、聴けばそれはそれで盛り上がるしまた熱が上がってくるのも事実だから質が悪い。結局聴いて感激してまた沼にハマっていくパターンだが、それでもそこらの音源をひたすら集めて纏めてリリースしただけでなく、何度も何度も発掘してはリリースしてきただけあって、ここで出すなら常に最高峰のコンテンツと音質に仕上げなければと言う使命は果たされている。明らかに過去のリリース音源とは一線を画す音質の良さと丁寧なマスタリングも聴いていて心地良いし、ステレオ感もかなりリアルな質感だから憎めない。何よりもコンテンツの凄さ、素晴らしさ、そもそもThe Whoの名盤中の名盤だからそれだけでも十二分に満足出来るレベルなのだから輪をかけて素晴らしいとしか言えない。

 当然10枚組を聴く事になるが、逆に2枚組はどうなっているのかと見ていると一枚目は当然アルバム「Who'S Next」だが二枚目は残り9枚からのベストセレクションとでも言うべき選曲のようで、なるほど、これなら聴きやすいし、気になったら10枚組の沼へどうぞという広報にもなろうか、コレクター的目線で見ればどちらも入手しておかないといけないのだが、今どきそこまで集める人も多くはないだろう。もっと言えばサブスクで聴いている人の方が多いのかもしれない…。

 その10枚組も一枚目は通常の「Who's Next」そのままながら迫力満点の音質で聴いていると燃えてくるので一枚目から順にハマっていく方が馴染みやすそうだ。もっとも全部を一気に聴ける時間も体力も集中力もないから細切れにはなるのだが、その意味では、2、3枚目は以前ネットでしか買えなかった「Lifehouse Chronicle」のライフハウス音源、即ちデモ音源の音質アップ盤が詰め込まれているが、初めて聴く人には相当新鮮な完全なるデモ音源として聴けるだろう。たしか一部はバンドのデモもあった気がするが…、また聴いていれば思い出すかな。4枚目はニューヨークレコード・プラントでのマウンテンのレズリー・ウェストセッション音源が余すところなく詰め込まれているようで、ボートラ盤にはあったけどデラックス盤にはなかったとか、色々と入手に困っていた人にも朗報のフルバージョン。これも初めて聴いた時はカッコ良さに驚いたものだが、その意味では完全に別のロックエッセンスによるライフハウス曲たちとも言えるジャム。

 5,6枚目はこの時期のシングルや未発表曲などなどだが、それらの「Unedited Version」と題されたテープそのまま音源もあったりするのでカウントやステレオミックス感が異なっていたり、ギターソロがあったりなかったりなど色々なソースが詰め込まれているから聴き比べが頼もしく、特に「Now I'm a Farmer」の新ミックスはThe Whoのユーモアたっぷりなセッションが聴けて楽しめる。それでも多分この時期のすべては揃わないから質が悪いのはあるが、それは別の作品で入手するとしてここでは未発表ばかりが聴けるので魅力的なディスクたち。7,8枚目はデラックス盤で初披露されたヤングビックのライブ音源なので改めて珍しいライブセットを楽しめる。9,10枚目はフルでは初出となるのか、サンフランシスコのライブ音源まるごとで、一部だけ「Who's Missing」か「Two's Missing」でお披露目されていたが、そのライブの拡張盤で本作の目玉のひとつ、どころかこれがまたカッコ良くてぶっ飛ぶライブだから凄まじい。そんなソースが存分に詰め込まれた10枚組なので2枚づつ単位レベルで聴くと一ヶ月くらいはthe Who漬けでハマり切れる凄いアイテム。今の時代からThe Whoにハマるなら出ていくカネも少なくて済んだのになと羨ましくすら思うリリース。


好きなロックをひたすら聴いて書いているだけながらも、聴くための出費も多くなりがちなコレクターの性は皆様もご承知の通り、少しでも応援していただければ大感謝です♪