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The Rolling Stones 60s #1

The Rolling Stones - The Rolling Stones (1964)

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 どのバンドもファーストアルバムはある種その後のバンドの方向を決定的にすることも多いと思ってて、中でも幾つかファーストアルバムが一番かっこ良いと思えるバンドは少なくない。もちろん多様な音楽性や完成度の高いアルバムが後に制作される事は当然ある話だが、その分ファーストアルバムがダイヤの原石のように輝いているバンドがいくつもある。

 その中の一つでしかも最高にかっこ良いアルバムがローリング・ストーンズのファーストアルバム。もしかしたらストーンズ全アルバムの中で一番数多く聴いているかもしれない。確かアブコから限定リマスター盤でリリースされた際にはUK盤仕様だったと思うが、US盤はあまり耳にしていない。自分が聴くのは大抵U.Kバージョンのアナログ盤だから「Route 66」から始まるファーストアルバム。初っ端からノリノリの軽快なロックンロールとしか言えないこの作品はいわゆるオーソドックスなロカビリーのカバーを中心に収録されているので、ストーンズらしさはこの時点ではあまり前面には出ていないが、やはりミックのボーカルはかなり個性的。一方キースやブライアンの個性はなかなか見出せない点は曲が曲だからしょうがないか。
 
 それにしても「Carol」のカッコ良いことと言ったらありゃしない。オリジナルのチャック・ベリーと大して変わらないハズだけどイギリス流に味付けされているのか、原曲よりもカッコイイ感じで聴いてしまう。「Honest I Do」もそのままで、この時点ではビートルズやキンクス、ゼム、ムーディ・ブルースとさほど変わらないサウンドに聞こえるが、やはりカバーする曲のセンスがそれぞれ異なっているのはその後のバンドの方向性を物語っているのだろう。原曲を圧倒的に超えてしまった「I Just Wanna Make Love To You」や「I Need You Baby (Mona)」のかっこ良さは今でもストーンズが得意とするレパートリーに含まれている事からも分かるように絶対の自信作だと思う。実にかっこ良い。「Little By Little」はリフによるスタートからこじゃれたビートで進むナイスなロックンロールで以降のストーンズの得意とするロックンロールに一番近い方向性を暗示している作品だがさほど取り上げられる事は多くない。

 逆に今のストーンズからするとストーンズらしくないが、だからこそ印象深い「Tell Me」はビートルズ顔負けのセンス。そしてエアロスミスも真似た「Walking The Dog」もストーンズらしいカバーで、口笛の鳴らし方やワイルドなノリでの収録も時代を考えると一発レコーディングに近い形だろうから、凄いビートを持ったバンドだと改めて感じる。そんな珠玉の名作ばかりを収めたファーストアルバムはやはりかっこ良い。後の「12×5」も同じ路線でもうちょっとポップになってるけど、まだまだかっこ良いダイヤの原石時代、こういうのがロックンロールだ。


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