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Pink Floyd #2

Pink Floyd - The Dark Side Of The Moon (1973)

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 云わずと知れた本家本元「狂気」。1973年リリースの化け物的な売れ行きを博している、今でも多分売れ続けているアルバム。こういう作品が全世界的に売れる事自体が狂気じみている気もする。それくらいに完成度の高い作品だとはここで書くまでもなく、世界の売上げとその知名度が証明している。

 確かに「狂気」と題されるだけあって、ロジャーの偏執狂的にクリエイティブなこだわりが表れていて、且つギルモアのアレンジセンスの良さが融合した傑作、そして更に印象深いのがそこかしこで鳴らされる効果音が最大限まで人間の心理を突いてくる使われ方。冒頭の心臓の音から始まり、鐘の音もベルの音も。ギルモアの浮遊間のあるギタープレイもその一部と同化していることで効果音と楽曲が見事に融合している。ソロでのエフェクト音のみならず、粘っこい歪んだギターカッティングもその一部を構成している。この辺は「Making of...」のDVDを見ると意外な発見があり面白い。こいつら変態だと思うはず。

 個人的な体験を書いていこう。最初に聴いたのは多分19歳くらいの頃だから、まだバリバリにロックンロールをやろうとしていた頃、暗くてかったるいこの手の音楽はあまり好みではなく、やはりストーンズやZep、Whoなどの王道が好きだった。ただ、その中でもクリムゾンの凶暴性は非常にそそられるモノがあったのでそっちが先。フロイドは「炎」が先でその後にコレ。「Money」の7拍子のポップさに不思議感をそそられて、それと同時に無理矢理8ビートに持っていかせながらのブルースロックバリバリのギターソロがカッコ良かった。サックスがあるのも好み的にOKだった。そうこうしているウチに当然最初から聴くようになり納得。一人で静かにハマって聴くバンドと。そしたらハマった。後半の美しさがギターで出来ている事に驚いてなぞってみたり、エフェクト音の出し方を探ったり。ただ、そうしているウチに作品の作られ方や効果音に興味が向いて、構成を考えたりして何度も何度も、そして今でも異なる角度で聴けるアルバム。

 ロジャー抜きのフロイドが「狂気」を再現してライブを行い、「Pulse」でリリースされたばかり。ビデオ時代からあるので一応見たが、どこにも狂気は宿っていなくて美しいフロイドサウンドが演奏されている。ロジャーのDVD「In The Flesh ... Live」でも一部収録されているが断然こちらの方が迫ってくるモノはある。今回ロジャーはそれをアルバム丸ごと演奏しているが、恐らく結構な迫力とロジャー好きな自分は勝手に思っているが、どっちもどっちだろうか。

 いずれにしても20世紀最大のロックアルバムの位置に変わりはないし、SACD-Hybridでリリースされてまた新たな聴き方、音の鳴り方が喜ばれているようで、永遠にリリースされ続けるだろう。

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