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Van der Graaf Generator #1

Van der Graaf Generator - Aerosol Grey Machine (1969)

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 ひとつのレーベルのアルバムを全部網羅するのも大変だろう。そういう集め方をする人は音そのものへの興味と平行しているけど、全部が全部好みでもないから聴くのはともかく、集める、レーベルの遷移を見ていく、みたいな所か。自分もそのヘンは当てはまったりもするから気持ちは分かるけど、そこまでの根気がない。でもWebでは世界的に何人かは見られるから面白い。カリスマレーベルくらいならまだ見えるけど、もうちょっと大きくなってくると大変だし、そもそもよく判明していなかったりもする。面白そうだけど。

 Van Der Graaf Generatorは1970年にはカリスマレーベルからアルバムをリリースしていたが、今回はその手前、彼らの名義的には一応デビューアルバムとなる「Aerosol Grey Machine」。名義的には、元々ピーター・ハミルのソロアルバムとして企画されていた作品だけど、いきなりソロデビューでもなく、バンド名がそれなりにアンダーグラウンドで広まっていたのもあって採用したらしい。今じゃハミルもVdGGも同じプロジェクトな感覚あるから違和感ないけど、リアルに時代と共に見たら妙な感触だったと思う。このファーストアルバムは短期制作された勢いのアルバムとも言えるけど、パッと聴く限りはそんな風に感じることもなく、結構ちゃんと作られてる気がする。バンドがそれなりにこなれていたのかもしれないけど、アレンジも練られてるし、音もきちんとしている。

 さすがに曲や方向性はサイケデリックの波やフォークの持ち込みもあって、あの攻撃性や独自性はまださほど出てきていないが、ハミルの若々しい歌声が妙に尖ってて突き抜けてくる。この人のスタンスは全然この頃から変わらない。割と思い入れ強いようだ。この頃の曲でもライブで披露してるし、無垢な時代の産物だからストレートに出来上がっているもある。アルバム的にはちょいと地味だけど完成度は高いし、バンドの片鱗は見えている。化ける予兆が見えるのは確かだ。

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