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The Rolling Stones: Solo works: Mick, Keith, Charlie, Bill, Mick Taylor, Nicky, Bobby

Mick Jagger - She's The Boss (1985)

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 ボーカリストがソロアルバムをリリースしようと思う時も色々あるだろうけど、この人の場合はそのプレッシャーも一段と大きかったと思う。ストーンズではブライアン・ジョーンズが実験的音楽をソロ名義でリリースしていた事があるけど、それ以外にストーンズのメンバーはソロ名義でのアルバム作品は意外なビル・ワイマン以外はほとんどなく、誰かのバンドに参加したのがある程度だった。ミックとキースはもうストーンズの顔だからソロを出す必要あるのか?っていうくらいの雰囲気だし。ところがもっとも不仲と噂されていた頃、と言うかアルバム「Undercover」や「ダーティ・ワーク」を出した頃にはミックがソロアルバムをリリースすると云うことでストーンズ解散か!?と思われていた程。

 1985年リリースのミック・ジャガー最初のフルソロアルバム「シーズ・ザ・ボス」。いや、もう、くだらなくて。ストーンズやってりゃいいのに、こんなケンカする要因になるもの出さなくてもいいから早くストーンズ見せろよ、と言う雰囲気が出まくっていた時代。日本はバブリー真っ盛りだったけど、ミックも一人でバブリーで、一方のキースはまったく面白くないっていう発言をしてて「アイツとは縁を切ってやる」みたいなことばかり。いやいや、ハラハラした時代でしたが既に23年前のお話。

 そんな最初のソロアルバムは期待と自信に満ち溢れていて果たしてどんな音?みたいな感じはあったけど当然そんなことも意識しつつ、そしてトレンドの音もしっかりと認識しつつ、更に古い友情もしっかりと押さえつつ制作された作品で、蓋を開けてみると「80年代クラブミュージック」だった。ヒップホップ的とも云うのかな。ナイル・ロジャースのプロデュースだからもう代表的なモンでしょ。彼も喜んだだろう、ミックのソロアルバムで自分に声掛かるとは思わないでしょ。パワーステーションサウンドにミックのロック声?みたいな。ところがどっこい、そんな方向くらいしかミックのできる道ってなかったのかな、とも思う。ブルースやロックはストーンズでやってるし、それ以外の道はせいぜいホンモノのR&B系が好みだろうけど、それもストーンズでやってるし。となると周りに合わせて売る、という方向だよ。いいじゃねぇか、との開き直りもまたよろしい。

 これもまた久々に聴いたが、音はともかく、ミックはミックのままだな、やっぱ。そして改めて「Just Another Night」でのジェフ・ベックのギターは素晴らしいとシミジミ。「Lucky In Love」のハービー・ハンコックもやはり良い。それよりもこれ聴いてたらボウイとの「Dancing In the Street」の方が聴きたくなってきた。そうか、と思ってたら、去年ミックのベスト盤「ヴェリー・ベスト・オブ・ミック・ジャガー」が出ていて、これがまた大変よろしい選曲と言うかレアな曲を選んでいてなかなか面白い。ジョン・レノンがプロデュースした曲もあるし。

 この後もミックはソロアルバムをリリースするけど、多分「シーズ・ザ・ボス」が一番意欲的で実験的で売れ線的だろうと思う。そういう意味では面白いし、若い。ジャケットもアレだが…。

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