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70s Canterbury Rock #2

Mike Oldfield - Tubular Bells (1973)

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 カンタベリー人脈の中でも少々意外で、ケビン・エアーズやバージンレコード絡みで語られる有名なアーティストにマイク・オールドフィールドがいる。少年時代から早熟な音楽少年で、姉のサリー・オールドフィールドとのサリアンジーを組み、先のケビン・エアーズのバックでベースを弾いたりと、割と知られる存在だった。そのひねくれ者の少年は人と演奏するよりも、自分一人で作業を進める方が良いモノができると信じていたようで、実際に一人で全ての楽器をこなし録音したアルバムが「Tubular Bells」だ。1973年リリースだが、その経緯も面白く、一人で録音したデモテープを各レコード会社に送りつけたけど、誰も相手にしてくれなかった。唯一当時新興レーベルを立ち上げるタイミングだったバージンレコードがベンチャー精神に乗っ取って契約し、バージン最初のレコード発表アーティストとなった。

 「Tubular Bells」は2000回とも3000回とも言われるオーバーダビングが繰り返され、マイク一人で創り上げているが、そのバックボーンには1975年に素晴らしいソロアルバムを発表する元Jade Warriorのトム・ニューマンの助力もあった。

 アルバムの内容は聴く云う意志を明確に持たないと辛いだろう。ところがちょっとその気になって聴くとイントロの繰り返されるリフレインから徐々に変化していくサウンドと紡ぎ上げられる楽器の音色の美しさにひたすら惚れ込む。タイトルの「Tubular Bells」の響き渡る音色に聞き惚れてからもまだ余韻を楽しみながらいつの間にかこのミニマルミュージックは終わりを迎える。聴いていると実に時の流れが速く、あっという間に時間が経ってしまう美しさと繊細さを秘めた心洗われる優しい作品。そして一人でこれほどの楽器を19歳にして演奏してしまう技術も素晴らしい。ところどころで聴かれるフレージングや音使い、浮遊感とアバンギャルド、ポップと変拍子など実にカンタベリーサウンドに近い音も聴ける。

 映画「エクソシスト」のテーマにこの作品の冒頭のイントロが使われた事で、このアルバム=恐怖の印象を持つ人も多くて勿体無い。きちんと聴けばどれだけ牧歌的に展開して、幸せな気分になれるかと分かる。そのおかげでバージンカンパニーは今じゃ立派な大企業。このアルバムのヒットがなければあり得なかったかもしれないから、この独断行為は否定できない。

 ともあれ、歌は一切入っていないインストの環境音楽的に聴ける作品でプログレどうのではなく、美しさを聴くと幸せに浸れます。

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