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Galen & Paul - Can We Do Tomorrow Another Day? (2023)

 いや、知らなかった。こんなユニークなデュオが出来ていたなんて全く驚くばかりだ。元The Clashのポール・シムノンがアルバム「London Calling」のジャケットで知られているベース叩き壊しの瞬間を語っているインタビュー記事が出てきたので、それは興味深いと思って読んでいたら何のことはない、それまでライブハウス的なところばかりでライブしてたのがホールなところになって観客との距離が空いてしまい、更に警備員が席を立たせないようにガードしたライブだったからずっと苛ついていたようで、ついベースを叩き壊してしまったと。そのベースは今はロンドン博物館に飾られているとか…、更にポール・シムノンはサブのベースがある事を知らずにライブを終えたと思ったら、もう一本の気に入らないベースでライブを続けないといけなかったようで、結局後悔ばかりした頃の話だと。裏話ってのはそういうものかと思っていたら、下の方に「Galen & Paul」のアルバムが云々…、何だこれ?と。

 GalenってもしかしてGalen Ayersかと思ったらホントにあのギャレン・エアーズと一緒にデュオやっててびっくり。一体どういう繋がりでこの親子のような二人が出会って一緒に曲を作りプレイしてアルバムを出してライブまでする関係性になるのだ?しかもよく考えたらポール・シムノンが歌を歌っているのもギターを弾いているのもめったには見れないし聞けないのに、アルバム丸々ポール・シムノン節だらけだし、そもそも作曲でここまで活躍しているのも驚く業績だが、こんなにセンスの良い曲を一杯書いてくれて心地良く聴かせてくれるなんて、全く驚くばかり。この人こんなに才能あったのかと、今まではカッコ良さだけで生きてたのかと思ったが、しっかりとミュージシャンしてる。しかもロックじゃない普通の歌声で渋く呟いているのだからカッコ良い。

 一方のギャレンは音楽的な面もあるだろうが、持ち前のスパニッシュな気質や空気感、雰囲気を上手く曲に持ち込んでいる面が大きいようだ。どうもコロナ禍にポール・シムノンがスペインに遊びに行っていたようで、その時からこのアルバム作りが進んだようだが、この辺に詳しく書いてある。。しかもこのアルバムやビデオが一杯出ているのは2023年春の話だから今更感もあるけど、出会えて良かった作品だ。音楽的な面で言えば、実にほのぼのとしたソフトレゲエでもありマジョルカ島の雰囲気そのままの明るく軽やかなムードを出したリラックスした曲ばかりでホント、楽しげで気持ち良い作品ばかりだし、PVではプチ映画的にしっかりと作られた作品がいくつも見られるので、眩しいばかりのギャレンの明るい姿と渋すぎるダンディーなポールがたっぷりと楽しめる。楽曲面ではデーモン・アルバーンも手伝っているようで、しかもプロデュースにはトニー・ヴィスコンティと全く不思議な関係性ばかりが繋がりを生んでいる面白い出会いによる作品。これはこの夏ずっと聴いてたら気持ち良いアルバムだ。


好きなロックをひたすら聴いて書いているだけながらも、聴くための出費も多くなりがちなコレクターの性は皆様もご承知の通り、少しでも応援していただければ大感謝です♪