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Fleetwood Mac / Peter Green

初期フリートウッド・マックと言えば英国ブルースロックバンドの象徴、そのギタリスト、ピーター・グリーンのエルモア・ジェイムズばりのブルースプレイが素晴らしい。

John Mayall & The Bluesbreakers - Hard Road (1966)

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 60年代英国の若者の間ではブルースなるものが密やかに浸透していて誰も彼もがあんな難解な、と言うか面白味に欠ける単調な音楽に熱中していたのは今思えば実に不思議な話でもある。もっとも今でも同じもので、ニッチな連中がニッチなものに熱中する話。たまたまそれがブルースやロックに発展しただけなので、違和感はないけど、それでも黒人ブルースに熱中するのはなかなか敏感なんだろう。あのパワーと熱気、何かを吹っ切るようなアグレッシブな姿勢、聴いた事のないギタープレイ、どこを取っても斬新だった。

 英国ブルース学校の教師とも言われるJohn Mayallのプロジェクトかバンドかグループかよく分からないが、多数の若者がここを通過してロック界に飛び出して成功を収めているのは今更の話。今作はクラプトンが名盤「ジョン・メイオール&ザ・ブルースブレイカーズ・ウィズ・エリック・クラプトン」に参加してさっさとクリーム結成のために飛び出していった後釜で身近にいたピーター・グリーンがその穴を埋めた位置付けと言われるアルバム「Hard Road」。決してそんな事なく、単なるセッションの延長と思えばこんな良い機会はなかったし、だからこそFleetwood Macにも発展して、決して不遇な扱いと思ってはいないだろう。むしろタメになった作品と。なので一般的に言われるのとはギャップあるけど、それがこのアルバムで花開いてたのかと言われるとそこまでではない。

 幾つかの曲は鋭いギタープレイが存分に楽しめるし、個性も出してるけど、如何せん幅広いフレーズに乏しいのがブルースギター。音色で個性を出すにはまだ機材不足の時代、腕一本で個性を発揮するには少々物足りなかった。それに加えて前任のクラプトンがそのヘン上手すぎた。決して悪いアルバムでも腕前でもないが、楽曲のイマイチ感があるのと歌があと一歩でどうにもパッとしない。しかし、「Dust My Blues」はタイトルの通りあのスタイル全開で、ギタリストの腕前は見せつけている。ただ、あくまでもカバー、コピーの次元の話でこの先に続く。面白いのはここではドラムがエインズレー・ダンバーだし、プロデュースは既にマイク・ヴァーノンとメンツが揃っていた狭い世界。

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