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Cream

Jack Bruce、Ginger Baker、そしてEric Claptonがジャズの即興性をロックで演奏しようと意気込んで結成したCreamもスタジオ盤はポップに、そしてライブでは本領発揮とばかりにこの後のインプロヴィゼーション豊かなロックバンドの演奏でのバトル形態を開拓した。

Cream - Fresh Cream (1966)

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 クラプトンの若かりし頃の迸るギタープレイを久々に耳にすると、艶やかで味のある音色とトーン、更に感情の起伏が表れたプレイに驚く。こういうプレイがあったからこそ神と崇められ、白人ブルースギタリストの地位を確立したと思い出した。最近のクラプトンを聴いても全然感じないので耳にしないけど、60年代のクラプトンは見事なギタープレイヤー。そんなことを感じたので、一気に王道路線へと突き進む事に。

 クリームが1966年に発表したファーストアルバム「Fresh Cream」。以降クリームは1968年暮れには解散してしまうので、スタジオアルバム数枚程度、そして本領発揮のライブ盤が何枚かしかリリースされていないが、2年半の活動の割には数多いリリース状況とも云える。

 それぞれ華麗なる経歴を持つ三人が新たな野望を持って組んだクリームで、セッションではライブとほぼ同じような構図でプレイされていたと予測されるが、いざスタジオ録音によるアルバムデビューとなると無茶も出来ないので落ち着いた、ファーストアルバム「Fresh Cream」。後のクリームの経歴を考えると地味な音と思ったが久々に聴いたら全然十二分にヘヴィーなクリームの世界だった。

 曲自体はどれも2分から4分で押さえているからポップなバンドに聞こえてしまう感じがあった。「Spoonful」はスタジオテイクでも十分に長いけど他はそうでもない。ところが今聴くと全員自己主張したアルバムで迫力満点。ジンジャー・ベイカーのドラムはドタバタとうるさいし、ジャック・ブルースのベースも縦横無尽に走り回ってるし、クラプトンも気合いの入った熱いプレイをたっぷりとカマしている。どの曲も決して曲の長さとは関係のない、それぞれの自己主張をガッツリと聞かせている熱いアルバム。「 Rollin' And Tublin'」の強烈なハープとギターとドラムの掛け合いはスタジオアルバムの域を完全に超えてます。ベースレスでこういう曲が成り立つ事も凄いけど、それもこの三人でしかできない。

 後のライブ盤でも出てくるような基本的なライブ楽曲がいくつか収録され、「Fresh Cream」はクリームにとっても原点だ。ブルースの枠組みをハズした音作りを意識した、ブルースから発展させた音を目指している。それがバトルとなったけど、不思議な曲も多いから、60年末の何でもあり状態が刺激になっている。曲だけ取ったら個性的とも云えないが、あの演奏だから他英国B級バンドとの大きな違い。テクニックではない発想と取り組みもある。

 この辺をリマスター盤でデカいスピーカーで鳴らしたらもの凄く生々しく聞こえる音だろうとやってみたくなった。そういう音こそがロックだし、体で感じるロックの音もそうそうない。

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