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Camel

Camel - Camel (1973)

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 70年代のバンドは90年以降に再評価される場合が多くて、そこから既に20年が経過しているから今じゃもう皆同じように横一線に並べられて語られるバンドは限られている気がする。その評価軸の一つが何周年記念盤やボートラ付き再発盤な気がしてる。日本の紙ジャケ盤もその評価軸の一つと思ったけど、実際にはある程度の数量は見込めているようだ。要するに紙ジャケで揃え直している人たちの数があって、聴く聴かないではなく紙ジャケを揃える層に加えて本来のリスナー達が買う。大体紙ジャケにして誰が買うか不思議なバンドもあり、ひとつの人気を博していく。代表的に不思議なのがアフィニティーの作品。何度も再発されて今度もまたリリースされるけど元々はアルバム一枚で消えたグループ。不思議なものだ。

 今回はその微妙なラインで生き続けているキャメルの最初のアルバム「Camel」。1973年のアルバムデビュー作。もうちょっと前のデビューの印象だったが、この頃の1年の差は激しかった。キャメルのファーストアルバムはあまり聴いておらず、やはり「Snow Goose」や「Mirage」をよく聴いてた。その後はフュージョンっぽい部分もあってロック的にはハマり切れなかった。ただ、叙情的な音は好きだからロックよりも音楽作品として聴いて好きだった印象。ギターソロの美しさは印象に残ってる。レコードはほとんど持っていたので流して聴いていた。中期頃は聞き覚えがあるが、ファーストアルバムはあまり記憶にないので登場。

 後に聴ける繊細な作り込みは強くなく、もっとストレートなロックバンドに近い音を出してる。ビートも良いし、音も生々しいし、アンディ・ワードのドラムの軽やかさもアンディ・マッカロック的な感覚で好み。演奏力は高いバンドなのでこの後も成功してるけど、ロックバンドらしさがどの曲にも出ていて面白い。インストもあってグイグイ来るし、名曲「Never Let Go」は中でもダントツの出来映え。アルバム中ではここまでメロトロンを前面に出した曲が多くないから余計に目立つが、彼ら自身も間違いなく自信の一曲として演奏している。最後のラティマーのギターソロもあと少し長く聴かせてほしかった。感情溢れる見事なソロ。全体的な音が古臭くなっているのでそれこそリミックス、リマスター音源だと表情の変わるアルバムだろう。

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