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Scorpions

Scorpions - Fly To The Rainbow (1974)

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 ジャーマンハードロックの雄と言えば、多くの人が知っているスコーピオンズになる。自分もスコーピオンズはアメリカ進出してきた頃に耳にしたのが最初で、まだガキだったから色々なロックバンドやメタルバンドも多数盛り上がっていた。そんな時代だからスコーピオンズが特別には感じなかった。その内に色々な方向に興味が向いた中でスコーピオンズはさほど捉えるトコロは無かった。事ある毎に出てくるスコーピオンズの話題に入れなくて何度となく「あれ?」って思った事はあった。何枚か昔の作品を聴いて凄いと思ったけど、じっくりと聴き込む程でもなかった。ところがここ最近自分の中でジャーマンハードロック熱が出てきて、気になるスコーピオンズ。普通にスコーピオンズ話で盛り上がるし、自分がまたそこまで食い込めないジレンマもあるけど、元来が競争して聴くモンじゃないから。ただスコーピオンズはドイツのロック世界に入ったら聴くべきバンド。一度最初から聴こうと思ってる。マイケル・シェンカーもいるし。ファーストの「Lonesome Crow」聴いたら全然だったけど。

 1974年にリリースされた地味な印象のセカンド・アルバム「電撃の蠍団~フライ・トゥ・ザ・レインボウ」。ご存知ウルリッヒ・ロートが参加した最初のアルバムで、一気にハードロックの領域にバンドの方向性を持っていったアルバムと知られている。結果これがスコーピオンズの音楽的には最初のアルバムになった。この後の「In Trance」「Virgin Killer」は演歌的だったけど、その傾向はこの「電撃の蠍団~フライ・トゥ・ザ・レインボウ」からあった。楽曲のレベルの高さから後の「In Trance」「Virgin Killer」にお株を奪われているけど、実は「電撃の蠍団~フライ・トゥ・ザ・レインボウ」も相当演歌している。

 この垢抜けなさ感はドイツらしいけどやってる楽曲が完全にこの時期のドイツのバンドから抜き出ているし、ウルリッヒ・ロートの卓越したギターも圧倒的に出てる。それは英国やアメリカも含めてかなり突出している。ブルースの影響が皆無だからひたすら情感的にギターをプレイするとこうなるしかない。マイケル・シェンカーも同じだけど、それが故に「泣きのギター」となり、異質ながらも面白い。そしてもうひとつ特徴的なクラウス・マイネの歌声。後のスコーピオンズで聴かれたのは完成形で、本作「電撃の蠍団~フライ・トゥ・ザ・レインボウ」で聴ける歌は若くて一皮剥けてない感じ。しっかり演歌してるし、シーン全体から見たら相当上手いボーカル。

 スコーピオンズも歴史があるバンドと改めて実感して、ここまでジャーマンハードロックのB級感や熱さとは確実に一線を引いた、明らかにメジャーな路線に有るべきサウンドを出してる。ドイツ産ながらちょっと系譜から外れる感じで、スコーピオンズの系譜は多分元祖とも言えてBirth Controlが親しいか。しかし「Fly People Fly」のウルリッヒ・ロートのギターが泣きすぎてる。

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