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EL&P

EL&P - Emerson, Lake & Palmer (1970)

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 1970年キング・クリムゾンを脱退したグレッグ・レイクとナイスのメンバーに限界を感じていたキース・エマーソンがアトミック・ルースターでドラムを叩いていたカール・パーマーを誘って結成したのがEL&Pで、彼等の最初のステージはあの1970年8月末に行われたワイト島フェスティバルだった。そのライブを見ると、ステージ脇には大砲があって、演出として使っているシーンが映画にも登場しているが、これが初ライブバンドのステージング。プロなのでそんなものだけど、器の大きさを感じる。演奏内容もものすごくロックしていて、キース・エマーソンの鍵盤に対するプレイは正にレイプという言葉が似合うし、これで印象付けられたEL&Pの以降の活動はクラシカルな音楽性を中心とした作品を続々と発表し、それでいてグレッグ・レイクのアコースティックな側面も強調される方向性が明確になった。

 そんな彼等の歴史の中で名盤は数多く、「展覧会の絵」「恐怖の頭脳改革」「トリロジー」「タルカス」と称えるファンは多いし実際に名盤だ。しかし個人的にはやファーストアルバムが一番だ。このアルバムだけはミュージシャンである前にロックだから。以降はテクニックも才能もあるミュージシャンの作品という感じがするし、そもそもハードなギターも入っていないのでその分を鍵盤で埋めるしかない。でもそれがあまりにもシンセやクラシカルなサウンドで置き換えられていてこの時代独特のロックの雰囲気が損なわれている面もある。もちろん鍵盤によってサウンドの幅が広がって名作傑作もいっぱいある。でも、ロック的なアルバムとしてはやはりファースト。多分歪んだギター好きだから、ここでのエマーソンのプレイが一番好き。ライブは凄くロックな人達だろうと思うし、実際ワイト島のライブ見るとロックだし、このバンドカッコ良いと思う。

 1990年にThe Best(ジョン・エントウィッスル、キース・エマーソン、サイモン・フィリップス、ジョー・ウォルシュなど)で来日した際のライブを見たのが最初の生エマーソン体験で、ウワサに聞いていたピアノへのナイフ刺しを見せてくれてカッコ良いと素直に思わせるパフォーマンスだった。多分ロックと演者両方の側面を持った希有なミュージシャンだからこそ最初期のバンドの勢いが感じられるファーストアルバムが一番好き。ヘヴィーじゃなくハードなアルバム。

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