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Pink Floyd solo works: Syd, D.Gilmour, R.Wright, N.Maison

David Gilmour - David Gilmour (1978)

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 ピンク・フロイドで一番好きな時代と言えばどうしたって1973年の「The Dark Side of the Moon」から解散間際の「Final Cut」までとなるけど、その中でもギタリスト的に好きな作品が「Animals」。このアルバムのギターソロの特徴的なこと、そしてこれだけの長いソロのメロディでしっかりロック的に旋律が流れて、更にエグるのもなかなか見当たらないので印象的。楽曲の一部分のギターではなく、歌とギターソロで主要なパートを分け合ってる対等な立場を打ち出している。そんな「Animals」から「The Wall」までの間にギタリストのデヴィッド・ギルモアは昔の仲間とソロアルバムを製作している。どんな意図があったのか、このアルバムのおかげでロジャー・ウォーターズと仲違いもしなかったのは時間があった中でのリラックス作品的な位置付けだからか。

 1978年にリリースされたソロ作品最初のアルバム「David Gilmour」。この前後でケイト・ブッシュの発掘とレコーディングの手伝いもしていたので割と多忙だったか。肝心のピンク・フロイドの方はもうロジャー・ウォーターズに任せきり。そんな余裕もあってか、ソロアルバムでは随分と力の抜けた作品が並ぶ。力の抜けたと言うのも語弊があるが、ロジャー・ウォーターズがいなければそんなにテンション高い作品にはならず、凡作と位置付けられる。最初の「Mihalis」からモロにそれらしいギターインストナンバーで、どうやってもフュージョンにはならない、ロックギタリストのソロパートの延長的旋律がギルモアらしくて心地良い。また、ボーカルナンバーでは自分で歌っているが、後のピンク・フロイドで聴けるようなあの歌い方だ。しかし、それでもギターソロになるとハッとする感じのフレーズで斬り込んでくるのはさすが全盛期のギルモアで右に出るものはいないとばかりに印象的に入ってくる。そのヘンはもうクラプトンの比じゃない。

 楽曲そのものは凝ってないし、普通に出来そうな曲ばかりでそういう意味では凡才だが、ギタープレイに関しては天下一品。それと面白いのはリズムの作り方は完全にピンク・フロイドの影響なのか、普通のロックで聞かれるビートは皆無で、ピンク・フロイドのあのゆったりとした重いリズムが中核を成す。これは正にロジャー・ウォーターズの影響としか言えないもので、ここにロジャー・ウォーターズがちょっとでも協力していたらひとつのスジが通ったアルバムになっただろうけど、多分このままが良かったと思う。リラックスしてる。それとギターが良く聴けるのも嬉しい。心地良いギターの代名詞でもあるデヴィッド・ギルモアのソロ作品はこの後数枚リリースされるけど、多分一番素直に取り組んでいるのが「David Gilmour」だと思う。ここでのセッションや作曲活動やアレンジから「The Wall」以降に持ち出されたアイディアも多いハズ。あの名曲「Comfotably Numb」もそんなひとつだとか。

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