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ギターを擬人化してプロファイリングするとなかなか楽しい

 

皆さんの身近にギタリストがいたなら、これだけは禁句と覚えておいてください。

 

「そんなにたくさん持ってどうするの」
「どれもみんな同じ音でしょう」
「何本買ったら気が済むの」

 

これらにまとめて反論するなら、一本一本違う音だから何本買っても気が済まないし、だからこそ自然に本数が増えるというようなことになります。

 

僕のメインで使ってる数本のギターですら、ひとつひとつ表情が全く違います。

 

■1972 Gretsch Roc Jet

 

2016年 入手当時

 

2019年


質実剛健。硬派。マッチョ。そんな言葉が似合う。無口な職人気質で昔気質のおじさんというイメージ。ぶっきらぼうで無愛想なんだけど困っているときには必ず助けてくれる。人生経験が豊富だから、本当はそんなに困ってないくせにかまってほしくて困ったふりをしたりするとすぐ見抜かれるし絶対に助けてなんてくれない。そんな、人生の先輩的ギター。

 

■2008 Fender Telecaster

 

いつの写真かわからないが … おそらく2020年とか。

 

女性的なグレッチという感じ。ぶっきらぼうで無愛想なのは似てるけど、質実剛健というよりはアンニュイというような。いつも物静かでミステリアスな雰囲気を漂わせていて、感情の起伏がすくない。機嫌なおしてくれよと、こちらもあの手この手を使うがだいたい外れる。でもそれがバッチリ合ったときには、120%のパワーで返してくれる。犬というよりはネコ。

 

 

■Gibson ‘60s Les Paul Standard


入手当時。まだ金髪だった。

 

2020年。たぶん楽屋

 

元気な少年という感じ。ジャンプのヒーロー漫画に出てくる主人公みたいな。威勢はいいが、まだドスが効いていない。そういう意味ではチャラ男とも形容できそう。口先だけの大人にはなってほしくないので、頑張って育てています。

 

■Ryoga guitar SKATER

 

買ったその足でスタジオへ行った時の。


ガッシリしていて、体の大きい僕にも弾きやすい

 

言われたことを指示通りにこなせるのはもちろんのこと、それにプラスアルファの気遣いができるめちゃめちゃ優等生。シーンによってさまざまに表情を変えるカメレオン俳優のような。

ここまでの3本と違ってクセが少ないので、ある種ギタリストの腕を映す鏡のような存在。もしも欠点があるとすれば、優等生すぎてつまらんということかな?100点満点のテストできっちり100点を出すタイプ。120点とか200点に振りきれることもなければ、回答としては10点くらいなんだけどおもしろい、とかそういうのもない。

逆に言うとその振れ幅の少なさが、こっちが安心できる大きなポイントでもあります。

 

 



こんな風に、ひとくちにギターといえどもそれぞれ個性は千差万別。この世に同じギターなどふたつと存在しないのです。

 

ギターとの出会いって独特なもので、会おうと思って会えるものでもないんです。

 もちろん、ネットで簡単に楽器を買うこと自体はできるけど、そういうインスタントな出会いをした楽器とは、関係性もインスタントになりがちで。

 その辺は恋愛に似ている。

 

 

冒頭に紹介したグレッチなんて、数か月探し回ってようやく出会った一本です。

 しかもその時はグレッチを探していたわけじゃなくて、テーマは「こころに響く素敵なギターを探すこと」でした。
当時、僕は仙台に住んでいたのですが、市内の楽器屋を片っ端からめぐっては、ああでもないこうでもないと悩みに悩み、最終的に御茶ノ水まで出かけてようやく出会った一本で。
※東京でこれと思えるギターに出会えなかったら関西まで行くつもりだった

 

店員さんが奥から出してきて弾かせてもらった時のこと、昨日のことのように覚えています。一目見ただけでビビッと来て、弾いたらもうケチのつけようがなかった。これ!というまさにその感じ。その出会いが嬉しすぎて、買った帰りに意味もなくウナギ食べましたもの。お祝いに。そのせいで帰りの新幹線は「やまびこ」になりましたけど!

 

道具としての完成度という意味ではギブソンとかRyogaのほうが整っているけど、グレッチにはそういった優等生にはない独特の雑味というか凄みがある。道具としてだけ考えるなら、なるべく出来のよいものをそろえたほうがよさそうだけど、それが簡単にひっくり返るから、ギターというのはつくづく不思議な存在です。

 


だからみんなたくさん買うし、増えます。

 

お近くにこれからギターを買おうとしているギタリストがいたら、そっとしておいてやってください。

 

 

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