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レッドオーシャンでの立振る舞い【弦人茫洋・4月号】


このマガジン「弦人茫洋」は、毎月一日に「長文であること」をテーマにして書いているエッセイです。あえて音楽以外の話題に触れることが多いです。バックナンバーはこのリンクからお読みいただけます。





I see 1000 girls, I know 100 girls, I talk to 10 girls and I love only one girl.
という言葉を先日失恋した友人が投稿しているのを見かけた。

イイネだけして、そっとしておきました。
傷心の彼に書けるべき言葉が見つからなかったからです。

出会いなんて星の数ほどあると慰めてみたところで、そもそも数の問題じゃないのだから心に響こうはずがありません。

そんな時は、しばらく恋愛から離れたっていいですよね。
エフェクターもこの世には星の数ほどあります。

I see 1000 pedals, I know 1000 pedals, I try 1000 pedals out, and I'd buy 1000 pedals.
と言ったところでしょうか。(我ながら全然うまくないな)


I love only one pedal.なんて極端なことは言えませんが、エフェクターも、長いことギターを弾いていると、メインで使う機材というかスタメン的なものは一つに集約される傾向があります。
昔はRATをメインに使っていた時期もあるし、ブルースドライバーとかSD-1あたりが活躍していた時期もある。ディストーションだと、MXRのBadass78とか。

それが若い頃というか学生時代の好み。
で、アラサーになった今はどうかというと、フルドライブがバッチリメインの座に君臨中。
楽器屋さんに行った時には在庫がなくて入荷待ちだったんだけどそれでも信頼できるので注文しました。

正直な話、手元に届いた時は拍子抜けしました。
あれ、こんなもん??みたいな。

たしかに良い音だけど、劇的に変化するわけではなく。じわっと端から歪が染み出るような感じで。
それが実は良さなんだけど、なぜそれが良さなのかを理解できるようになるまで時間がかかった感じですね。



上記の文章は、2年ほど前のブログの過去時期から一部引用してきました。


ギターを弾かない方はエフェクターをわからない場合も多いかと思うので喩えると、若いころはサーロインステーキとかが好きだったけど、年を取るにつれて温野菜が染みるようになったみたいな、そんな感じの話を書いています。




記事で書いているフルドライブは、2年前から今まで変わらずにメインで使用している重要な機材。正直、時代の潮流には全く乗っていない代物だけど、僕にとっては最も自分らしさを表現できる一台なんです。


歪エフェクターは、文房具で言うと、鉛筆の芯の太さに似ているかもしれません。で僕が使っているフルドライブという機材は、その太さを自在に操れるみたいなイメージです。やわらかくて濃い4Bから尖ったHBへ瞬時に切り替えられるような。




道具というものは正しく使うことができて20点。それを用いて何かを生み出せた時に50点。他人には真似できないレベルで使いこなして80点くらいだと思っています。


何かを生み出せたのだとしても、それが正しい使い方ではなかったら(道具の使い方としては)20点にすら満たないという感覚です。




昨今の音楽界隈では誰もが簡単に音楽を作れる環境が整っていて、それはとても素晴らしいことだと思います。

だから音楽はレッドオーシャンだという話もありますが、

レッドオーシャンというよりは、便利な機械に淘汰されるようでは所詮それまでということかなと、自らに言い聞かせてます。




機械に淘汰されない人というのは、機械がなくてもそれと同じかそれ以上のものを再現できる腕を言うものだと思っていて、自分も究極的にはそれを目指しています。


ギターがなくてもPCがあれば音楽を作れるけど、PCもなかったら?紙とペンがあれば作れます。では紙もペンもなかったら?頭の中に譜面を描くことができて、例えばそれを他人に口頭で伝えることができます。くちずさんでもいいかもしれません。



うまく言語化できていないのに記事にして恐縮なのですが、最近はそんなことを考えています。ギタリストとしてうまくなりたいのは当然の目標として持っていますが、自分がギターを持っていない時間にいかにギタリストであれるか、というようなことを、考える時間が増えたように思います。




今日から4月になりました。
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年度も変わり、上半期の活動方針の参考にしたいので、もしお時間がある方はアンケートにご協力をお願いいたします。


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