自作珈琲焙煎機の開発1 Handmade Coffee Roaster
コーヒーの焙煎機に興味を持ち、自作してみることにしました。
コーヒー豆は、コーヒーノキという木になる実であるコーヒーチェリーの果肉を取り除いた後に残る種子のことです。一粒の豆には二つの種子があります。現在、コーヒー豆は熱帯地域の約60か国で栽培されています。
コーヒーの焙煎をしようとするときには、このコーヒーの種子である生豆(グリーンコーヒー)を入手する必要があります。なお、この生豆は青臭い香りがするだけで、珈琲の香りはしません。
生豆はインターネット等でも購入できますが、カビや虫食いなどの欠点豆を含んだものもあるので、私はグレード1の良品を入手できる、こちらのお店Coffee-Raster かふぇ.ひかゆんで購入しています。
焙煎とは、生豆を加熱することで、そこに含まれる11%前後の水分を2~3%に減少させて、粉砕が容易で抽出に適した焙煎豆の状態にすることです。
実際に業務用で使用されているコーヒー焙煎機にはさまざまな大きさのものがあり、生豆を数kg~数十kgを一度に焙煎できます。
焙煎機に興味をもってから、スターバックスで実際に使用されている大型の焙煎機を見学に行きました。
見学の様子はこちらに詳しくまとめてあります。
それではいよいよ焙煎機の設計・製作に入ります。
今回は一度に300g程度の生豆を焙煎する焙煎機を製作することにしました。これらの生豆を均一に加熱できることが大きな設計・製作の目標になります。フライパン等を用いて焙煎する事例もありますが、今回は円筒形の回転ドラム内に生豆を入れて、これを加熱しながら回転させる方式としました。
円筒形の回転ドラムを板材から製作しようをするならば、ステンレス板を丸めて円筒に加工してから、両端を円板でふさぐということが考えられますが、ステンレスの溶接ができる設備がなかったため、既存の部材の組み合わせでできるものを検討しました。なお、円筒部には穴が開いている事例を多く見かけたので、伝熱の関係からも優れているのではと考え、穴が開いているものを探しました。排水口や傘立て、各種のザル、ケーキ型など、さまざまま円筒部材を検討した末、このような形状としました。これが一直線上にブレることなく回転できることがとても重要になるため、中心部の穴あけは慎重に計測しながら、精密に加工しました。
片側の端部にはモータからの回転を伝える直径10mmの軸を接続するための加工を行います。
生豆の投入口になるもう一方の端部には、直径40mm程度の穴をあけます。
なお、円筒ドラムの内部には次のような羽根を3枚取り付けました。これにより生豆が上部まで持ち上げられて攪拌性能がアップします。
2種類の円筒部材を合わせてねじ止めをしました。このときはめ合いがぴったりと一致せず、5mm程度の隙間が発生したため、アルミ板を巻き付けてそこを埋めて、ねじ止めしました。(この部分は今後さらに改良が必要であると考えています)
回転ドラムの軸にはモータを直結して回転させる事例もありましたが、焙煎後の豆を取り出すときにこの部分を持ち上げたいこと、モータに熱を伝えにくくしたいことなどから、2枚の樹脂製の平歯車を介して回転を伝えることにしました。
歯車を軸に確実に締結するため、歯車のフランジには止めねじ用のめねじを切り、またモータにはキー付きのものを使用して確実な締結を行いました。
つぎにこれらを回転部分を支えるフレームを製作します。アングル材をねじ止めしながら、すべての直角部分を丁寧に確認しながら、正確に組み立てていきます。
回転ドラムを受ける両端には、滑らかな回転ができるように、直径10mmのミニチュアベアリングを取り付けました。
なお、回転ドラムの回転速度は1分間に60回転程度が目安となります。
構造部分が完成したら、熱を逃がしにくくするために側面を板材で覆うとともに、取り外しができる上部のフタを製作しました。また、焙煎途中の豆を取り出して観察するためのテイスティングスプーンも製作しました。
実際の焙煎では、ガスコンロから回転ドラムまでの距離が重要となります。当初はガスコンロの五徳の上の魚焼きの鉄板を設置していましたが、伝熱を弱めていると思われたため、その後は薄い鉄板のみを置いています。
ここまでで焙煎機自体は完成しました。金属加工の詳細は省略していますが、板を切断して曲げたり、ボール盤でねじ止めをしたり、六角穴付きボルト等の各種ねじの締結など、地味な作業を繰り返しています。
次にいよいよ実際の焙煎を紹介します。
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