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12小説のリフレイン

「ぱっさぱさするな」
「15グラム」
「ここはプロテインのカテゴリじゃないか」
「強くなりたい人が多いからね」
「違う。僕はもっと色んなところに行きたい」
「だったらおでかけのカテゴリだな」
「そうじゃない。心の旅がしたいんだよ」
「ガジェットじゃないの」
「違う。小説だ!」

「小説? どうせ始まって終わるだけでしょ」
「だから?」
「何になるのかな」
「馬鹿だな。終わるからいいんじゃないか」
「小説ならたくさんあるじゃないか。ほら定番から」
「定番じゃない。今出たとこが見たいんだよ」
「だったら話題の読めば?」
「違う! 新着だ」
「じゃあ間にある奴だ」

「これじゃない。僕はもっと読みたいんだ!」
「押せばいいんだよ。すべて見るだよ」
「もっと見たいんだ!」
「だから押せばいいんだって」

「すべてじゃない。現れるのは12の小説だ」
「えっ?」
「そこが0地点だ」
「12あればとりあえずいいでしょ」
「僕はもっと読みたいんだ!」
「だったらもっと見るを押せばいい」
「そうだ。僕はもっと見るを押した。押して押して押してようやく1つの小説を見つけるんだ。それが小説1だ。どんなものか開いてみなければわからない。ようやくここまで来た」
「よかったじゃない」

「でも思ったような小説とは少し違った。僕はもっと読みたいと思う。そのためには1つ前のページに戻って、もっと見るを押さなければ。僕は小説1を選んだところに戻って、もっと見るを押したいと思う。だけど僕が戻ったのは(戻されたのは)戻りたい場所じゃない」
「どこだったの?」
「0地点だった」
「戻りすぎたんだ」

「12の小説が見えている。だから1つ前の場所に戻れたように錯覚する。だけど、実際に戻ったのは最初の場所。0地点だ」
「まあよくあることだけどね」
「そうだ。そのおかげで足が遠ざかった場所がいくつもある」
「不満なんだ」
「1歩進んで2歩下がることがどれほど辛いか」
「それほどかね」
「一度ならいいがね。僕はもっともっと見たいんだから。そのために何度下がればいいと思う?」
「君のもっと数によるだろうね」
「そうだ。僕はもっと読みたい! 僕は僕が読みたい小説を読みたいんだ!」
「もっと見るを押すしかない」

「もっと見るを押す。すると12の小説が現れる。もっと見るを押すとまた12の小説が現れる。僕はある段階で12小説の中から1つの小説をみつける。小説1、小説2、小説3。だけど簡単にみつけ続けることはできないんだ。次の小説をみつけるためにはもっと見るを押すのだけど、なぜかその場所はいつも0地点から始めなくちゃならない。ふりだしに戻る感じだよ。また最初から。そう簡単じゃないぞ。自分の欲しいものをみつけることは、そんなに簡単じゃないんだぞ。もっとの前には厳しい教えが待っている」
「それは大変だね」

「大変? 本当にそうか。ただ押すだけのことだ。もっと見たければ、もっと見るを押せばいいんだ。前も通った道だけど、もっと行ってみるか。もっと頑張ってみるか。君の小説をみつけるまで。もっともっともっともっともっともっと……」
「大丈夫?」
「もう戻りたくない。(みつけたくない)もういいや。もう同じ場所に戻されるのはうんざりだ。小説9から戻る頃にはもうおかしくなっていた。0地点は見違えるような場所だった。コラム、サッカー、ガジェット、日記、詩歌、創作、アート……。そこはもう小説だけの場所ではなくなっていた」
「どこだったの?」
「カテゴリの迷宮だよ」



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