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散布は代行?自前?


一部の無農薬栽培の農家さんを除けば、農薬の力を借りていかに病害虫を防除していくか、というのはその年の反収を決定づける一大テーマではないでしょうか。
そしてドローンが農業分野に進出して以来、このテーマに関してどう向き合うか、ということに関しての選択肢が広がっているように思います。
具体的に言えば、ある一定以上の耕作面積を持つ営農者にとっては動力噴霧器で散布するという選択肢が自ずと消え、残るは「乗用管理機か、航空防除か」、それを「業者に代行するか、自前でやるか」という択一になるのですが、このうち「航空防除、自前」という組み合わせは従来ではほとんど行われませんでした。
というのも、散布ヘリは極めて高価で操作の難易度が高いからです。

そこにきてドローンは機体がはるかに廉価であり、操作の難易度も比較的低いです。
それを可能にしているのがマルチコプターに搭載されている極めて優秀なフライトコントローラーや各センサー類であり、これらの発展のおかげでテレビゲームのような直感性の高い操作が叶えられています。
(もちろん、安全で正確な散布をするためには一定時間の練習が必要です)

私たちRobinsAirはスクールを運営しつつも、請負散布(散布代行)を行っていますが、個人的には中長期的に見れば請負散布の需要は徐々に減っていくと考えています。

何故なら、一部の人でしか操作ができないものから誰もが操作できるものに変わる、というこれまでたびたび繰り返されてきた産業史がドローンにもそのまま当てはまると見ているからです。

今こうして老若男女が使いこなしているスマホも、遡れば自動車や電気だってその黎明期には一部の人しか扱えないものだったわけです。

とはいえ、知識や技能が不十分な水準のまま安易にドローンによる農薬散布をする人が増えてしまえば、誰にとっても損失でしかないことは言うまでもありません。
そうした暗い話題が持ち上がらないよう、スクール講師としては緊張感を保ちつつ指導に当たるべきだと考えています。

一方で、これらを身につけた技能者が殊更に専門性を強調し、さも自分がやっていることは極めて難しいことであるかのように振る舞うのも、折角の技術進歩が普及するのを阻む負の要因となるのではないでしょうか。

そもそも、技術進歩は押し並べて歓迎すべきものであり、この魅力について語ることが普及を進めると信じたいものです。
規制を中心に教えていくスクールの運営に時間の大半を費やすと、つい保守的な態度に陥りがちで、明るい未来を語る(描く)ことを疎かにしてしまうので、そのことに自覚的であるように、そして業界の革新的な取り組みに賛同的でありたいと思います。

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