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smilingGirlのデザイン裏話「見えないことによる魅力」と、今後について

こんにちは、ろびんです。

今回私がリリースした「smilingGirl」についてデザインの裏側を話します。

作品を見るだけでもいいんですけど、私はそこへ至る思考の過程を知るのが面白いと感じる人なので、自分のプロジェクトについてもどんな意図で作ったのかを解説してみようと思います。

smilingGirlとは?

ひとりだけでやるジェネラティブNFTプロジェクトです。

AIアートやジェネラティブNFT生成サービスを利用して、ノンクリエイター、ノンエンジニア、でもジェネラティブNFTを作りたい!に挑んだもの。

つまり、完全にひとりだけでやるプロジェクトになっています。

詳しいプロジェクトの概要はこちらのnoteで解説しています。

プロジェクトの設計思想

では、本題のプロジェクトのデザイン(設計)について話をします。

sample image

画像を見て貰えばわかるのですが、このNFTの特徴は口元以下しか見えない構図であるという点です。

これは口元よりも上が見えないことで、見た人に表情を想像してもらうことが狙いです。

「見えないこと」によって想像力を働かせ、その人の頭の中ではじめてsmilingGirlが完成するわけです。

「見えないこと」の魅力

世の中には「見えない(無い)こと」によって魅力が生まれる、ということがあります。

例えば、有名なところで言うと、体の一部が欠損している彫刻、「サモトラケのニケ」や「ミロのビーナス」です。

出典:wikipedia

それを見た人が体の無い部分を想像することで、具体の域を飛び越え「不完全の美」へたどり着きます。

もう少し身近な例で言うと、マスクをしている人が3割増しで魅力的に見えることがありませんか?

これも想像力によって補完される「見えないこと」の魅力なんだと思います。

もしかしたら、マーケティングの分野でも利用される「ツァイガルニック効果」とも言えるかもしれません。

ツァイガルニック効果とは、完成形より未完成や不完全なもの、発展途上のものほど印象に残るという心理効果の一つです。

ユーザーの好奇心をくすぐるツァイガルニック効果とは?

映画やゲーム・小説の物語で、伏線が回収されなかったり、真相が明確に描かれないがために、いろいろな考察ができ、その世界観がより拡張される、深みが出るといった状態にも似ていると思います。

なぜ「見えない」ようにしたのか?

実は「口元以下の構図」になったのは、はじめから狙っていたわけではありません。

思いついたきっかけは、AIアートの技術的でネガティブな理由からでした。

逆転の発想

個人的には、キャラクターの「目」はそのイラストのテイストを決める大きな要素であると考えています。

しかし、Stable DiffusionというAIアートプログラムでNFTに使えそうな画像を試作していると、目の画風が全く統一されなかったのです。(これは呪文を吟味すれば解決できるのかもしれないですが…)

コレクションというからには統一性が必要じゃないか?という考えから、ここではじめて逆に目を隠してみてはどうか?というアイデアが浮かびました。

そこで口元以下の構図にしてしまえば、目の雰囲気はばらばらでも問題なく利用することができます。

しかも、これによって「顔(表情)を想像する」が無意識的に行われるイラストになること気づいたのです。

表現が限定されたことによって、新たな考えにたどり着く、逆転の発想により生まれたものでした。

そこからはさらに「表情→感情」というキーワードが頭に浮かび、背景の色にも感情を表すヒントを担ってもらうように設計しました。

配色で感情を示していますが、感情(emotion)のパラメータはあえて色の名前にしています。これはリビールをしたあとに見れるようになります。

パラメータに直接「感情名」を明示しないところにも、見た人に想像してもらえるようにと意図を込めています。

やってみた感想

まずは単純に面白かったです。
新しいことを実際にやってみる経験がめちゃくちゃ快感。

CNPでジェネラティブNFTを初めて保有し、まさか半年後に自分が作っているとは笑

それから本来の目的である「Stable Diffusion」×「Autominter」でひとりジェネラティブNFTは無事にリリースができたのは嬉しいです。

でも、あくまでもこれは実験的なプロジェクトであり、素人でも作れたのはNFTの表面的な部分だけ。あくまでも表面。

本当に大事なのは、プロジェクトの裏側である目的や思想を含め、そこにどういう意味、価値をつけるのかという点。これをめちゃくちゃ感じさせられました。

これはクリエイター側の設計でも良いし、ホルダー(広く言えばマーケット)からの意味付けによって後付け的に成立することもあるのかな、なんて思ったりします。

今後について

今のところノープランですが、ここで終わりにしたくないなあと思っています。

次のプロジェクトが実現するのなら、今後はもう少し思想や意味やホルダーに価値を感じてもらえるような設計をして作り込みたいと思っています。

どちらかいえばユーティリティよりは、ビジュアルや、アート的な面で攻めたい。感情や思想に訴求したいという思いがあります。

それから資金面では少しつらい実情があります。
というのも、Autominterでデプロイするのに0.05ETH+ガス代(現時点で1万円ほど)がかかるためです。

そもそも今回のプロジェクトは試験的な位置づけであり、フリーミントで利益を狙わない赤字プロジェクトであったのでマネタイズがありません。

(唯一は10%のロイヤリティを設定していますが、2次流通はないと思っている…)

資金調達ができれば…

そんなわけで、どこかで資金調達の見込みが立てば、次回のプロジェクトが作れるかもしれません。

1つの案としては、制作プロセスを公開しつつ、支援をもらって資金調達すること。ついでにWLもあげます!みたいな。

あるいは、フリーミントをやめて(リビールもしない)、低価格ミントにしてみる。0.001ETHなら、50体ミントされれば単純計算でペイできる。

(とりあえず、1人でやることにこだわりたいです。お金の配分とかがめんどくさい)

と、こんなことをぼんやり考えている程度です。


最後にWLに申請してくださったり、実際にミントしてもらった方、Twitterで拡散していただいた方、本当にありがとうございます!


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