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【侍JAPAN強化試合○5-0】〜大野雄大の30球から見る「進化」〜

侍ジャパン 中日・大野 地元ファンの大声援受け 2回1安打無失点http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160305-00000111-dal-base

昨晩は久しぶりに、テレビの生中継で野球の試合を観ることができました。BSやスカパーを視聴する環境になく、またUstreamでオンライン観戦するほどのネット環境も整ってない私にとっては、地上波で放送してくれるのは大変ありがたかったです。久しぶりのプロ野球観戦ということもあり、気合を入れて我らがドラゴンズ所属選手平田・大野両選手の徹底ウォッチを開始!6番ライトで先発した平田選手は2点タイムリーを放つなど大活躍し、スポーツニュースでも結構取り上げられてるようなので、以下では特に大野選手の活躍ぶりにフォーカスしていきたいと思います。

大野選手は先発・菅野選手の後を継いで4回から登板。5回までの2イニングを投げ被安打1、3Kで無失点の好投を披露。平田選手と共に、ナゴヤドームに詰めかけた地元名古屋のファンを大いに沸かせてくれました。

投球内容をもう少し詳しく見てみると、MAX球速は昨季記録している149キロより劣る144キロ。3月頭ということもあり、まだまだ調整途上というところでしょうか。ただ各球種の平均球速は昨季並みで、開幕前の強化試合といえどかなり実戦に近いレベルで投球できていたと感じます。

もう一つ気になったのは投球割合です。昨日の試合では投じた30球のうち、28球がストレートとフォークで占められていました。これは昨季のデータをみるとストレートで58%、フォークはわずか13.6%しか投げていないのをみると、2016年のモデルチェンジ、そして「進化」を感じさせます。(単純に代表戦ということで普段と違う配球だった、もしくはシーズン前のテストの意味合いもあるかも知れませんが)

これは昨季序盤から、「メッセフォーク」として使い始めていたものと思われます。
中日7連勝!大野の新兵器フォーク冴えまくり
http://www.tokyo-sports.co.jp/sports/baseball/387307/

昨日の試合の映像を見る限り、フォークの落差はとても大きく、高空振り率(38%)に被安打ゼロと決め球として機能しているように見えました。昨季はシーズントータルで見ると投球割合はそれほど多くはありませんでしたが、今季は決め球として選択する機会が増えるでしょうか?

ここでは純粋なボールの威力を表す、Pitch Valuesを元に考えてみたいと思います。Pitch Valuesでは「その球種を100球投じた場合、平均的な投球と比べて、どれだけ失点が減るか(増えるか)」という形式でそのボールの威力を測っています。(数字で斬る!2015プロ野球 セリーグ編より引用)

Pitch Valuesでは、2015年大野選手の最大の武器はストレートの威力です。先発では巨人マイコラス(2.22)、日ハム大谷(1.49)に次ぐ1.22をマーク。平均球速は141キロと特に豪速球というわけではありませんが、伝家の宝刀として機能していました。変化球はというと、スライダーはリーグ平均と比較して効果的ではありましたが(0.55)、「シンカー系」としてくくられているツーシーム及びフォークは0.08と、武器となっているとは言い難い状況でした。今回多投しかつ効果的だったフォークが、MLBに挑戦したマエケンのスライダー(2.74)や、同僚若松のチェンジアップ(2.80)並みの「絶対的な決め球」として機能するようになると、キレ味鋭いストレートとスライダーと共に、そのピッチングはもっと楽になってくると思います。具体的にはリーグ平均並みだった空振り率(9.3%)や、平均を若干下回ったゴロ率(47.0%)も改善されるでしょう。(1.02 - Essence of Baseballよりデータ引用)

以上、大野投手が侍JAPAN強化試合で投じた30球のデータを元に分析してみました。シーズンに入っても、大野投手がフォークをメインで使うかどうかはまだわかりません。ただストレートとスライダーのコンビネーションだけでは他球団のエースとしのぎを削っていくには多少頼りないようにも思えるため、今回効果的だったフォークが活きてくると、4年連続の二桁勝利のみならず、投手としてもう一つ上のレベルにいけるのではと感じています。

ここまで実戦で不安定だった大野投手も、やっと安定したピッチングを披露してくれました。3/25の開幕に向けて引き続き順調に調整を続けていって欲しいところです。


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