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ロドリゲスの穴を埋めるのは誰だ?2020年の中継ぎ投手陣を考える
*2020/1/18 中日新聞プラスへの投稿分を転載
皆さん、こんにちは。今回は
「2020年 中継ぎ投手陣展望」
をテーマに考えたいと思います。
前回の記事では、先発投手陣の今季展望について考えました。
今回は中継ぎ投手陣について、改めて現在の戦力を確認することで、今季の展望を占っていきたいと思います。
1. 2019年 中継ぎ投手成績
はじめに中継ぎ投手の昨季成績を振り返ります。
こちらは2019年における、中継ぎ投手成績の月別推移です。
詳しくは、運用面も含めて詳細にまとめている以下の記事をご覧ください。
6月を除いて全ての月でリーグ平均を下回る好成績を残しており、またその他の指標についても、ほとんどの月でリーグ平均より好成績を残しています。先発投手陣と比べて、中継ぎは通年で安定した成績を残していたと言って良いのではないでしょうか。
また昨季の中継ぎ投手運用について一言でまとめると、
「役割分担の明確化で①AチームとBチームの負担分散だけでなく、②勝利のための戦略的な配置転換、および③Aチームで使える投手の数を増やすことを狙っていた」
と言えます。
今季はロドリゲスが抜けて状況は厳しくなりますが、阿波野・赤堀体制によるブルペンワークと新戦力の台頭によって、中継ぎ成績の維持・向上を期待しています。
それでは今季の中継ぎ投手陣について、昨季の成績をベースにその陣容を予想しながら見ていきましょう。
2.中継ぎ投手陣容: 救援登板試合数とセーブ+ホールド数でマッピング
中継ぎ投手については昨季成績における、横軸は救援登板試合数、縦軸はセーブとホールドの合計数でマッピングしました。
それぞれがマッピングされた位置を見ることで、チーム内でどのような立ち位置にいるかを把握することが可能です。
前回の先発投手と同様に4つのセグメントに分けてみましたので、順番に見ていきましょう。
①抑え・セットアップ: 50試合以上登板 & セーブ+ホールド20以上
昨季試合終盤の「勝利の方程式」を担った投手としては、最優秀中継ぎ投手のタイトルを獲得したロドリゲスと、シーズン終盤から抑えに定着した岡田俊哉が挙げられます。
■ロドリゲス
昨季不動のセットアッパーとして圧巻の投球を続けたロドリゲスは、残念ながら退団が決定。テキサス・レンジャーズと2年契約を結び、希望していたメジャー復帰を果たすこととなりました。
昨季ブルペンを支えたリリーフエースが抜けるのは痛すぎますが、その穴を「誰がどのように埋めるのか」を考えることこそが、今季のブルペンワークを語る上で最も重要であると言えるでしょう。
そんな大黒柱不在のブルペンでキーマンになるのが、昨季終盤に抑えに定着した岡田です。
■岡田俊哉
球威がそこまであるタイプではなく、またストレートとスライダーのツーピッチになりがちな点は不安ではありますが、日本代表も経験するなどリリーバーとして経験豊富な点は、最も精神的にプレッシャーが掛かる抑えを任せるには最適だと言えます。
クローザーとしての武器を増やすためこのオフにはシュートの習得にも取り組んでおり、ツーピッチからの脱却に向けた準備も進めている点は期待が持てます。
▼中スポ記事: 中日の抑え候補・岡田は再挑戦中のシュートに手応え「打者に早く投げたい気持ち」延期された時間を有効利用
■福敬登
クローザー岡田に繋ぐセットアッパーとしては、昨季52試合に登板し防御率2.05、18ホールドを挙げた福敬登に期待しています。
福はシーズン序盤こそ二軍調整でしたが、一軍昇格のチャンスを掴むとロングリリーフで好投を続け、遂にはAチームに昇格。
ピンチの場面でも動じないメンタリティで勢いのあるストレートをバンバン投げ込み、強力リリーフ陣の一角を担いました。
福の最大の特徴といえば、左のクロスステップ&サイド気味の変則投手でありながら、右打者には滅法強いことが挙げられます (対右打者被打率.158)。
そのため打者の左右に限らず投入できることは彼の大きな強みであり、今季は開幕からAチームの一員としてフル回転を期待しています。
②Aチーム: 20-50試合以上登板 & セーブ+ホールド10-30
Aチームのセグメントには、ライデル・マルティネス、谷元圭介、藤嶋健人、鈴木博志の4人が含まれます。
前述の岡田、福とともにAチームの一員としてホールド数を稼いで欲しいのは、Rマルと藤嶋の二人です。
■R.マルティネス
Rマルは昨季150キロ中盤の快速球を連発してロドリゲスとWセットアッパーを形成し、鈴木博志の二軍降格後は、キューバ代表として国際大会への参加で離脱するまでは一時的にクローザーの役割も担いました。
ロドリゲスほど制球力、変化球の精度ともに完成度は高くありませんが、何より圧倒的な球威を持つため、今季もセットアッパーとしての活躍が期待されます。
■藤嶋健人
高卒4年目となる藤嶋も、昨季終盤同様に重要な場面でのリリーフとして活躍して欲しい投手です。昨季は血行障害で出遅れたものの、復帰後はトレンドど真ん中の「スラットスプリット型」投球で勝ちパターンの中継ぎまで登り詰めました。
このオフにもアメリカ式のトレーニングである「ドライブライン」に又吉、笠原、山本拓、大藏とともに自費参加するなど、向上心の高さはチームでもトップクラス。
このオフに球速アップと新球・パワーカーブの習得を実現できれば、より支配力の高いリリーバーとして通年で活躍できるでしょう。
▼中スポ記事: 藤嶋、パワーカーブ習得で守護神名乗り。沖縄北谷合宿で「ドライブライン」計測
ここまで岡田、福、Rマル、藤嶋と4人の投手について見てきましたが、記事タイトルの問いでもある「ロドリゲスの穴を埋めるのは誰か?」の答えとして、
「新加入のゴンサレスだけでなく、昨季Aチームリリーフとして活躍した岡田、福、Rマル、藤嶋の4人を中心に、ブルペン陣全員でその穴を埋める」
と、回答したいと思います。
正直ロドリゲスが残した圧倒的な成績を日本球界一年目の外国人投手に背負わせるのはあまりに重すぎますし、その辺は首脳陣も十分理解しているはず。そこでロドリゲスの穴を埋めるためにより大きな期待が掛けられているのは、上記で挙げた4人の投手だと思います。
それぞれの特性を生かして柔軟に起用し、かつ今季も「3連投規制」を敷きつつ負担の分散を図れれば、試合終盤のリリーバーのクオリティが昨季から大きく落ち込むことはないと考えています。
③Bチーム: 20-50試合以上登板 & セーブ+ホールド10以下
Aチームリリーバー4人に期待する一方で、不測の怪我などによるリスクに備えるのも中継ぎ投手運用には重要だと考えます。
特に今季はRマルが五輪予選に出場のため、開幕不在が決定的。更に春先は血行障害を抱える岡田や藤嶋の状態も不透明のため、一時的にでも彼らの代わりにAチームリリーフとして投げられる投手を増やせないと、救援失敗により開幕ダッシュに失敗する可能性も大いにあります。
そこで期待したいのは、昨季通年でAチームを座を守れなかった、またBチームとしての登板がメインだった投手たちを、僅差の試合中盤〜終盤で試し続けることです。
プレッシャーの少ない試合序盤〜中盤で好投を続けた投手を徐々に重要度が高い局面で試し「Aチームリリーフを作る」手法は、昨年藤嶋や福で実践した通りです。
Bチームのセグメントに入る投手でAチームリリーフ化を最も期待しているのは、祖父江大輔です。
■祖父江大輔
祖父江は昨季開幕時点ではロドリゲスとともにセットアッパーとして起用されましたが、救援失敗が続き徐々にブルペンにおける序列が低下。5月頭には一ヶ月の二軍落ちも経験し、一軍復帰後も重要な場面で登板するケースはめっきり減ってしまいました。
今季は緊迫した場面での登板で結果を出し続け、Aチームリリーフとして少しでも多くのホールドを稼ぐことを期待しています。
今オフの契約更改で本人も痛感したことかと思いますが、ブルペンでの序列を上げることこそが、リリーバーにとって大幅昇給を勝ち取る唯一の方法です。
また祖父江以外にも、昨季は制球難を最後まで克服できなかった鈴木博、序盤はイニング途中から登板しピンチを封じる「ストッパー」起用で活躍した谷元、ロングリリーフで真価を発揮した三ツ間卓也と又吉克樹、球速増で春先は復活の兆しを見せるも長続きしなかった田島慎二など、序列下位から這い上がって欲しい投手は多くいます。
Aチームリリーフが不在の間は、彼らのような投手が一人でも多く台頭して欲しいところです。
④育成、その他: 20試合以下登板 & セーブ+ホールド10以下
育成、その他のセグメントに入る投手は、今季ほとんど成績を残せなかった投手や、怪我などで出遅れた選手が含まれます。
この中で今季一軍での登板機会を少しでも増やして欲しい投手として、木下雄介を挙げたいと思います。
■木下雄介
昨季は右肩痛で出遅れ5試合の登板に終わりましたが、武器である140キロ後半のストレートとフォークのコンビネーションは、ハマれば近い将来Aチームリリーフとしての活躍も夢ではないロマンを感じます。
今オフは肘肩の調子も問題なし。投球フォームの見直しに着手し、今季の飛躍に向けて着々と準備を進めています。
3. 新戦力: 新外国人ゴンサレスは「未来のロドリゲス二世」
最後に今季加入した新戦力をチェックしてみたいと思います。
昨年のドラフト会議で指名された投手のうち、今季「即戦力」としての活躍が期待されるのはドラフト2位の橋本侑樹と、3位の岡野祐一郎ですが、いずれも先発起用が濃厚のため、ドラフトからブルペン陣の補強はほぼないと言っていいでしょう (橋本のリリーフ起用の可能性はありえそうですが)。
よってこれまで何度か触れている通り、リリーフ投手陣の底上げには新外国人ルイス・ゴンサレスに大きな期待が掛かります。
■ルイス・ゴンザレス
ゴンサレスは与田監督が現地で直接視察し、その奪三振能力の高さに惚れ込み獲得を決めた逸材。
今季の一軍外国人登録枠は投手2 (Rマル、ロメロ)、野手2 (ビシエド、アルモンテ)が基本線と考えると、ゴンサレスは一軍リリーバーとしてフル回転というのは考えにくいですが、春先のRマル不在時には一軍戦力として数えるべきなのは間違いありません。
一方で実績が乏しい上に全体的に粗さが残るゴンサレスに対し、ロドリゲスのような圧倒的な成績を期待するのは禁物。あのロドリゲスも来日後にそのポテンシャルを開花させたように、ゴンサレスも中期的な目線での大化けを期待するのが良いでしょう。
やはり今季の中継ぎ陣を考える上では、一部の投手に頼るのではなく、総力戦で戦い抜く必要性を痛感します。
以上、今季の中継ぎ投手陣の展望について考えてみました。
次回は野手陣の展望について取り上げます。
以上、ロバートさんでした。
ありがとうございました!
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