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ピクサー作品のジェンダー表現について

ピクサーで働く人々に焦点を当てたドキュメンタリー番組「PIXAR ピクサーの舞台裏」がとても面白いのですが、その中でもピクサー作品のジェンダー表現の改善に取り組んだエピソードが興味深かったので、ちょっと要点をまとめてみようと思います!

今回紹介するのは「PIXAR ピクサーの舞台裏」のエピソード4になります。

彼女はピクサーを改善しただけでなく世界を変えた

このエピソードの主役はジェシカ・ハイトさん。ピクサーではスクリプターとして働いています。スクリプターの仕事は脚本のセリフの内容や漏れがないかを確認するのが仕事。セリフの収録現場にも立ち会います。

そんな彼女がピクサーの最優秀社員賞を受賞しました。その理由は脚本に役立つツールを開発し、ピクサーを改善しただけでなく世界を変えたからでした。

ジェンダー表現の点で女性の描き方は対等ではなかった

現実世界の人口は男性が49%、女性が51%(ただし第3の性は含まない)です。しかしながら2007年〜13年の映画の統計によると、6人の集団が登場する場合は男性4人女性2人、出演者が42人の映画の場合、男性は28人女性はたったの14人、さらにアニメーションでは女性が3分の1以下だったそうです。

普段から私も映画はよく観賞しますが、正直意識的に男女の比率を考えてみたことがなく上記のような状況であることすら気づけていませんでした・・。

そこでジェシカさんは自分なりに検証してみます。彼女は自分の職業であるスクリプターとして作品内のセリフに注目し、まず「カーズ/クロスロード」(2017年製作)で性別でセリフの割合を調査しました。

ピクサーでは1つの作品が完成するまでに脚本が第6稿くらいまで作られるらしいのですが、第1稿ではなんとセリフとキャラクターの90%が男性でした。2017年製作の映画といえば本当つい最近の作品ですし、すでに世の中ではジェンダー不平等がかなり注目されていたと思いますがこの割合は驚きました。ジェシカさんはそのデータを取りまとめ、監督や脚本家やスタッフ向けに脚本内の男女比がわかる計算シートを作成して現状を訴えかけます。作品を観ている僕たちと同様にあのピクサーの製作の現場でもみんな問題の大きさに気づけてなかったのです。ジェシカさんの訴えにより、結果として登場人物を女性に変更したり、女性のセリフを増やす対応がされました。

見える化から仕組み化へ

その後ジェシカさんはピクサー内のソフトウェア開発部門と一緒に男女比の算出をピクサー社のソフトに組み込むプロジェクトに参加します。そして見事ソフトを開発し、ピクサーの重役の承認を経て、ピクサーのすべての製作現場でこのソフトが使われるようになりました。

そして最新作のソウルフルワールドでは男女比は 50/50になっています。冒頭で書いた現実世界の人口の割合とほぼ同じですね。

ジェンダー表現はとても重要

ジェシカさんは今後控えているピクサー作品において、多様な性のキャラクターは増えていくし、この5年間で男女均等化を実現できるかが問われると言っています。映画作品は登場人物に感情移入して楽しむものなので、ジェンダー表現はとても重要であるとも言っていました。

ジェシカさんはスクリプターというご自身の職業・特性から映画内のジェンダー格差に気づき、データを集め、そして最終的には仕組み化をするところまで推進されていて本当に素晴らしなと感銘を受けました。彼女はこのドキュメンタリーの中でみてわかるようにしただけと話していましたが、それを実行するのがどんなに難しいことか。このドキュメンタリー本当におすすめなのでDisney+に加入してる方はぜひ観て欲しいです。


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