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20.スタジアムの構造

1.はじめに

 今回は、「どの様なスタジアムが理想的か」といった話。スタジアムの構造によって、観戦における快適性や視認性は変化すると思います。また、建設地のスペースや、周辺の環境(住宅地との距離感)などにも関わってくる事だとも思います。近年のスタジアムは、特徴も様々で、もたらされる効果も異なる。

つまり、「どの様なスタジアムを作りたいか」という事も念頭に置いた候補地選びをすべきかなと思います。熊本に見合った場所、構造が重要だと思います。

 個人的嗜好の話しですと、ドイツのマインツや、ザンクトパウリのスタジアムの様な、箱型で一層式の比較的コンパクトな作りは憧れますね😚2万人規模で言うと、イングランドのワトフォードのスタジアムが近いかなと思います。


日本だと、ヨドコウ桜スタジアムなどが似た雰囲気かもしれません。


…まぁ、もちろん行った事はありません🫣💦

 また「スタジアムのサッカー以外での活用方法」というのも、県民の理解を得る為のポイントとなるかと思います。その辺りも踏まえて私なりに検討してみました。

今回も勝手な提案の話ですので、ご理解ください🙇‍♂️

2.屋根について 

①スタンド上の屋根(カバー率100%)

 まず、J1基準の屋根のカバー率というのは最低ラインになると思います。しかし、それだけでは不十分だと個人的には感じます。日本のスタジアムは、"日除け程度"の屋根が多い様に思います。サッカーの場合は、野球と異なり、多少の雨では試合が中止になる事はありません。また、急な雨にさらされる事もしばしば。

これらは、快適な試合観戦ができない、集客にも影を落とす要因ですね。傘差し観戦もマナー違反となりますので、準備できていなければ、濡れるか、それが嫌なら帰るしかありません。直射日光も、重度の日焼けや熱中症のリスクも高くなると思います。これらは、子ども連れや、年配の方々にとっては、大いに負担となってしまう部分でもあると思います。ですので、四方を屋根で覆われつつ、迫り出した構造が望ましいのではと思います。

②屋内型スタジアム

 Jリーグでは欧州のリーグスケジュールに習い、秋春制への移行を視野に入れた議論が繰り返されています。豪雪地では、雪かきが必要となるなど、試合環境や練習環境の問題もあり、今のところ実現には至っておりません。しかし、それらが問題となる山形秋田では、屋内型スタジアムの建設に向けて舵をきっていると言われています(詳細は未定)。それらは、秋春制も視野に入れた部分もあるかと思います。他に盛岡でも、スタジアム建設の必要性が問われており、この様な流れに乗って行くのではと思います。

つまり、秋春制に向けて課題が大きかった主な地域に関しても、クリアされていく可能性が出て来ているのではと思います。秋春制が実現しないとは断言できないのでは無いでしょうか。

 もし仮に秋春制に移行した場合、熊本に関しては積雪の影響が問題となる事はまず無いと思います。しかしながら、冬の雨風にさらされる事になれば、特に子どもや年配の方にとっては負担となり、集客に影響すると思います。なので、もし熊本でも屋内型のスタジアムにできれば、一定の温度管理の中で快適にサッカー観戦が出来ると思います(札幌ドームでは、夏は25℃程度、冬は20℃程度に設定)。それにより、冬場に楽しめる数少ないレジャー施設となり得ると思います。応援の声も反響して、より熱気に包まれたスタジアムに。それでいて、騒音の問題も減らせるのではと思います。

屋内型のスタジアムは、フィールドをスタジアム外へ移すフィールドスライド式と、屋根が二つに分離、もしくは丸ごと開閉する屋根開閉式に区分されると思います。オランダ・フィテッセのスタジアム(ヘルレドーム)や、シャルケのスタジアム(フェルテンスアリーナ)の様に、フィールドスライド式の場合には芝生を痛めず、ライブイベントなどでの活用しやすい作りとなっています。

また屋内スタジアムの場合は、35℃を超えるような暑い夏場の利用でも重宝され、スタジアムの需要・稼働率は格段に上がると思います。大雨や雷でも、試合やイベントの開催は可能になりますね。

また、吹田スタジアムの様な箱型スタジアムでは、通気性不良や日当たりなどの影響から、芝の寝つきが悪く芝の張り替えの頻度が多いと言われています。芝の全面張り替えは5000万円近くにも及ぶ(2〜3年)との事であり、芝の維持・管理という点でも、フィールドスライド式は大きな利点となると思います。

ただし、この構造では、恐らく30億程はスタジアム建設費に上乗せされ、また維持管理費もかさむ事にはなるかもしれません。(札幌ドームではホバリングシステムに一試合800万円とも…。)あとは、フィールドを外に出す為の広いスペースも必要になります。なので、街なかでの建設を目指すのであれば、まず土地取得が難しくなるかなと思います。熊本市近郊(西区や菊陽町、富合町、益城など)であればスペースの確保も可能でしょうか。

しかしながら、サッカー以外での活用という点を考えると、この屋内型スタジアムというのは大きな可能性があると思います。前例は少ないですが、熊本でも選択肢の一つとして、検討して欲しい事かなと思います。どれ程コストを抑えて、どのように活用すれば採算がとれるか。

3.スタンドについて

 メインスタンド・バックスタンドは2層式。2層式とする事で、その間の階に飲食ラウンジや、キッズルーム等に活用するスペースとする事ができると思います。

 ゴール裏は1層式。1層式とする事で応援の一体感をつくる事ができますね。広島の新スタジアムでも、ゴール裏のサポーターの一体感を意識して一層式を採用している様です。ゴール裏の熱気というのは、スタジアムの盛り上がりに重要な点だと思います。

 あと陸上競技場の場合、特にサッカー応援に配慮された座席となっている訳ではない為、アウェイサポーター席側は閑散としてしまいます。なので、長野Uスタジアムなどの様に、アウェイ側の席を減らしてその分をホーム席側に設ける事なども必要かと思います。

4.収容人数について

 過去には多い時で平均6〜7000人程度でした。新スタジアムで、仮に2倍近く増えたとして、やはり2万人規模が理想でしょうか。空席が目立つのは、盛り上がりに欠けてしまいますし、やはり寂しい気持ちになります。

 コロナ前のJ1の平均観客動員数は2万人程度であり、J1を見据えるのであれば、余力を残した規模(2万3000〜5000人程度)も検討の余地があるかもしれません。

 北九州や金沢のスタジアムの様に、後から増築できるような設計にする事も、選択肢の一つかと思いますが、屋根の設置などにおいて課題がありますね。

5.スタンドの傾斜

 えがお健康スタジアムは、陸上競技場としては比較的傾斜のある見やすい造りだと思います。その辺りは継承して欲しいと思います。傾斜が緩やかだと、女性や子どもなど背が低い方にとって見にくい場合がありますね。
もちろん、傾斜がきつければ段の登り降りの負担などに繋がる点はありますが、出入り口に近い場所を優先席として確保するなどの工夫でクリアできるかなと思います。

6.最後に

 今年に入り、少しずつ新スタジアムに向けた話題や議論が増えてきたかなと思います。サッカースタジアムの建設を望む1人として、個人的には嬉しくも感じています。各所のスタジアムやアリーナの建設・計画が増えてきた事も後押しになっていると思います。ただ熊本では、まだ具体的な話は出てきておらず、慎重な意見や懐疑的に感じている人も多く、それも当然の事だと思います。サポーターさえ理解を得られない様な計画では、前に進んではいかないと思います。私としては、サポーターにとって、クラブにとって、県民にとっても大きくプラスに働く可能性を信じていて、様々な課題も工夫次第では無いかなと思います。

今回はスタジアムの構造について提案しました。構造によって、スタジアムがもたらす効果は変化し、候補地選定にも影響する事だと思います。特に今回屋根の構造について、「フィールド可動式の完全屋内型スタジアム(ドーム型)」が望ましいのではないかと提案させて頂きました。秋春制への配慮もですが、スタジアムの快適性やサッカー以外での使用、防音等を踏まえると、全く別次元のスタジアムとなる可能性があると思います。多様な世代が集う場としても、より負担が減るかなと思います。この構造を優先するのであれば、スペース的に街なかは難しいかもしれません。また、費用対効果の検証はもちろん必要ですね。

 近年のスタジアムでは、収益性も求められる為、サッカーの為だけのスタジアムでは県民の理解は得られません。「どの様なスタジアム」にしたいのかというのも明確にしながら、候補地を選定する必要があるかと思います。逆に候補地によって、求められる機能も変わる部分もあるかもしれません。長崎の様な、全てを網羅する程の華やかなプロジェクトには憧れますが、その土地に見合った計画が最適かなとも思います。何を優先し、何を見切るか。街なかにしかできないスタジアム造りもあるし、街なかにはできないスタジアム造りもある。課題と向き合いながら、模索していく必要がありますね。スタジアム建設を夢物語に終わらせない為には、そこの取捨選択次第でしょうか。

 現在のAC熊本の動きとしては、恐らく各所の取り組みなどの情報収集をしている段階かと思います。まだ建設中であったり、計画段階のスタジアムも多く、全容が見えない部分もあると思います。また、運用開始後の効果判定・検証等も踏まえると、本来ならこの情報収集の期間に4〜5年程はかけたい所でしょうか。大事業となる為、前例を活かしていく事は重要ではあると思います。ただ各所の新スタジアムでは、前例に固執せずに独自のチャレンジも垣間見えます。

 また現在、熊本では震災後の復興やTSMCの進出などで、大きな転換期を迎えています。それに伴い、様々な交通整備計画の話が出てきていると思います。スタジアムの建設も想定した計画であれば、より望ましいと感じますが、時間をかけ過ぎれば、そこに乗り遅れる部分もあると思います。また、自治体のトップの考え方にも左右されるとも思いますし、多くの企業を巻き込んでいく事でもあり、それらも踏まえた上で、タイミングを逃す事なく進んで欲しいとも思います。

とはいえ、ただでさえクラブ運営も難解な事ばかりだと思います。ロアッソ熊本を生きがいとしている人も多いゆえ、様々な意見や考え方の人もおり、何かと対応に追われている事だと思います。風当たりも想像以上かもしれません。しかし、サッカースタジアム建設をこの熊本でも成し遂げる為には、やはりAC熊本の方々の旗振り次第だと思います。責任も大きいですが、かかる期待も大きいと思います。本当に応援しています。

最後まで読んで頂きありがとうございました😊
「熊本にサッカースタジアムを」の議論のきっかけになれば幸いです🙇‍♂️
コメント等も宜しくお願いします🤗


 

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