区間規制の補助標識の都道府県別特徴
区間規制とは、規制がある道路のある地点から別の地点まで連続してかかる規制のことである。区間規制には区間の始まり/終わりを表す補助標識 (それぞれ「始点標識」「終点標識」という) が用いられ、区間の途中でも区間内の標識が用いられることがある。この記事では、これらの用法、歴史、都道府県による運用の違いなどについて解説する。
区間規制標識の一覧
規制標識には場所規制、区間規制、区域規制があり、どの規制がどの種類になるのかは交通規制基準に記載されている。以下の表には、規制内容と場所規制、区間規制、区域規制の別が整理されており、区間規制になる得る規制標識には黄色がついている。区間内標識は後で出てくるように省略可能な場合があるが、規制標識が場所規制にもなる場合は省略ができない。その場合は「区間内省略」が✕になっている。
■ 一時停止または徐行に関するもの (1~3)
「徐行」は場所規制でも区間規制でも見かける。
■ 通行の禁止・制限に関するもの (4~21)
(車両)通行止めや高さ制限、重量制限は、ほとんどの場合は場所規制になっている。特定の県では区間規制も使われ、区間を表す補助標識と併用される。「自転車及び歩行者専用」「自転車専用」は歩道においては区間規制になっており、区間を表す補助標識と併用されるのをよく見かけるが、それ以外は場所規制になっている。
■ 交差点等における右左折の制限に関するもの (22~25)
原付の右折方法の2つの規制標識は、通常は各交差点での場所規制になっていることが多いが、区間規制として使われる場合もある。
■ 通行の方法等に関するもの (26~39)
この分類は区間規制のものが多い。
(326-A・B)「一方通行」、(326の2-A・B)「自転車一方通行」については、始点標識が省略されることも多い。
ただし区間規制と場所規制の両方に使われる可能性がある規制標識、つまり転回禁止、車両横断禁止、警笛区間は、区間規制のときは区間内の表示を省略できない。転回禁止や車両横断禁止は普段見るのは区間規制なので区間内には両矢印の補助標識がついているのが普通である。
また、場所規制のときには誤解を避けるために「この交差点」等の補助標識がついていることが多い。
また、最高速度と転回禁止には対応する道路標示があるが、区間の終わり(507-C)に対応する「解除」標示が使われる。普通自転車通行帯も終わりの際には「解除」標示が使われる。
■ 駐車に関するもの (40~45)
駐車関係も区間規制になるものは多い。
ただし区間規制と場所規制の両方に使われる可能性がある規制標識、つまり駐車可、停車可は、区間規制のときは区間内の表示を省略できない。
■ その他
横断帯やオーバーハング型標識による通行帯の指定を行うもの。区間内省略が「●」になっているものは、区間を表す補助標識をつけた運用は始まり/終わりも含めて見ないもの。
区間規制と場所規制の両方に使われる可能性がある規制標識、つまり歩行者横断禁止は、区間規制のときは区間内の表示を省略できない。
また、道路標示については、路線バス等優先通行帯、専用通行帯は終わりの際には「解除」標示が使われる。
補助標識の適用範囲
(505-A・B)(506)(507-A・B)は、ひとつ上の本標識にのみ適用される。(507-C)は下にあるすべての本標識に適用されるため、2つ以上の本標識の区間の終わりを表現するのに便利である。
詳しくは以下の記事を参照されたい。
区間規制補助標識の歴史
1963年 (昭和38) 3月に道路標識が現代のデザインになってから、区間規制の標識には必ず区間の始まり/終わり/区間内の補助標識、つまり矢印補助板か「解除」標識が付けられることになっていた。
しかし、1992年 (平成4) 6月の改正で、区間内の矢印補助板は省略が可能になった。以後設置される区間規制の道路標識には、前述の場所規制と紛らわしい規制を除いて区間内の矢印補助版は設置されず、また既存の標識からも撤去が進んだが、それでも現在まで残っているものもある。
また、同時に、補助標識板の大きさが横幅400mmから600mmに大型化され、始まり/終わりにはひらがなバージョン (505-B)「始まり」、(507-B)「終わり」が登場した。
現在の "標準的" な運用
交通規制基準に以下の記載がある。
この内容を踏まえて見ていこう。
始まり/終わり (505/507-A/B)
道路の左側に設置される場合は、矢印とひらがなといずれも使われる場合がある。どちらが使われるかによっては、都道府県によって好みがある。一方、一方通行の道路の右側に設置される場合は、ひらがなが採用されるのが原則である。矢印を使う場合は「始まり」は左矢印、「終わり」は右矢印と、道路の左側に設置する場合と逆方向になることに注意が必要である。※
オーバーヘッド型、オーバーハング型の場合もひらがなが使われるのが原則である。
ちなみに、東京都も昔は銀座通りなどで自転車通行止めの区間規制が行われていた。
区間内標識 (506)
前述の、区間規制と場所規制の両方に使われる標識を除き、区間内標識は省略される。
解除標識 (507-C)
解除標識は、ダンゴの一番上に設置することで、複数の規制標識を一度に解除することができる。この標識が一番よく使われるのは(323)「最高速度」、(312)「車両横断禁止」、(313)「転回禁止」、(314)「追い越し禁止」との組み合わせであり、これらの規制は他の規制とダンゴになっていることも多く、交差点の停止線の前付近で複数の規制が解除されるときなどに使う。また、これらの規制の場合は、複数規制の解除でなく単体の規制解除にも使われる。これらの規制の場合は(507-A/B)「終わり」で終わる場合は比較的稀である。また、(326-A・B)「一方通行」との組み合わせも比較的よく見かける。
ただし、その他の区間規制の規制標識でも利用される例があり、複数規制の解除だけでなく単体の規制解除にも使われる場合がある。
また、オーバーハング型、オーバーヘッド型の標識の場合は(507-A/B)「終わり」で終わる場合が多いが、県によっては解除標識 (507-C)が使われる。
近年は縮小サイズの標識 (400mm) の場合、解除標識用の特殊サイズ (267mm) が準備されている。比較的昔 (約10年以上前) に設置された標識の場合、本標識と同じサイズ (400mm)が使われる。
また、(507-C)「終わり」は、認知できない人が多くなってきたようで、最近設置される標識には利用を避ける傾向にあるようだ。
東京都では、以下のような紛らわしい設置例も見られる。これでは、(507-C)「終わり」が最高速度のみにかかっているのか、転回禁止や駐車禁止までかかっているのかが判断しづらい。
参考: 案内標識「国道番号」の下の矢印や区間表示は特殊
案内標識「国道番号」のおにぎり型標識の下にも矢印の補助標識がついていることがある。これは国道が交差点で曲がる場合に付いている、方向を示す補助標識であり区間の始まり/終わりを示すものではないことに注意が必要である。
国道の始まり/終わりを示す標識は付いていないことが多いが、「始点」「終点」といった補助標識がついている場合もある。矢印や「ここから」「ここまで」ではない。
参考: 案内標識「緩和指定道路」の下の矢印や区間表示は特殊
また、案内標識「総重量限度緩和指定道路」「高さ限度緩和指定道路」にも矢印の補助標識がついていることがある。これも緩和指定道路が交差点で曲がる場合に付いている、方向を示す補助標識であり区間の始まり/終わりを示すものではないことに注意が必要である。
加えて、区間の始まり/終わりを表す補助標識が付くことがあるが、この場合も矢印や「ここから」「ここまで」ではない。
参考情報: 高さ限度緩和指定道路に係る案内標識の設置要領 (国土交通省)
都道府県別の特徴
道路左側に設置される始点標識、終点標識で矢印とひらがなのどちらが使われているかは都道府県により違いがある。以下は大まかな傾向を表す。
日本地図にプロットしたものを掲示する。
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