アイゼンハワーマトリックスで仕事の優先順位をつけたガソリンスタンドの成功事例
1.はじめに
仕事において、時間をどのように使っているかは当然のことながら個人によって異なります。しかし、一日は24時間しかありませんから、仕事の優先順位をつけて、効率的に時間を使わないと成果は出にくいと言えます。
この記事では、あるガソリンスタンドの事例をご紹介しながら、時間の効率的な活用に役立つ仕事の優先順位をお伝えします。
2.あるガソリンスタンドの現状
今回ご紹介する企業は、東北地方に立地するフルサービスのガソリンスタンドを運営しています。当時、近隣には6軒のガソリンスタンドが立地し、価格競争が激化していたことから、同社は収益性が悪化していました。
同社の経営者は引退を考えており、実質的には後継者が同社を取り仕切っていました。そのため、中長期的な視点で経営を考えることのできる強みがありました。
また、洗車やオイルなどの油外商品の販売を担うことができるのは、後継者のみとなっていました。後継者は、日々発生する雑務の他、配達も担っており、油外商品の販売含め、全ての業務が中途半端になっているという弱みがありました。
外部環境に目を転じると、価格競争が激化しつつあるという脅威の反面、フルサービスからセルフサービスに転換した競合は、油外商品の販売がしにくくなっているという機会もありました。
これらを踏まえ、同社は以下の2点を課題として取り上げました。
機会の活用: 競合の油外販売力が低下する中、車両のメンテナンス需要を取り込むために、いかにして後継者が店頭で油外販売をする時間を捻出するか(短期的課題)
強みの活用: 後継者が存在することで、中長期的な取組みが可能であることから、いかにして油外販売のできる人材を育成するか(中長期的課題)
3.仕事の優先順位のつけ方
この課題解決のために、まず後継者に仕事の作業を要素に分割し、その時間を測定していただきました。例えば、メールを書く前にストップウォッチを作動させ、送信したらそれまでにかかった時間を記録します。次に配達に行ったら、それに要した時間を記録します。
このような手法で1週間程度、計測をすると、自分の時間の使い方を客観的に把握することができるようになりました。そして、その結果をもとに、下図のように仕事を4つに分類してもらいました。
この分類方法は、第34代アメリカ合衆国大統領ドワイト・D・アイゼンハワーが提唱した、アイゼンハワーマトリックスと呼ばれるもので、上記4つの仕事の特徴は以下のとおりです。
4.4つの仕事の特徴
Aゾーン(緊急度も重要度も高い)
これは「今すぐ対応が必要な最も重要な仕事」を指します。例えば、締切が迫っている仕事や、クレーム対応などが該当し、優先的に取り組む仕事です。
Bゾーン(緊急度が低いが重要度は高い)
これは「後回しにすることはできるが、いずれ対応が必要な重要な仕事」を指します。例えば、経営計画の策定、人材育成などが該当し、計画的に対処する必要があります。
Cゾーン(緊急度は高いが重要度は低い)
これは「今すぐ対応が必要ではあるが、重要性は低い仕事」を指します。例えば、日常的・習慣的・定型的な仕事が該当し、リーダーとしてはできるだけ他者に任せる必要があります。
Dゾーン(緊急度も重要度も低い)
これは「今すぐ対応は必要ではなく、重要性も低い仕事」を指します。例えば、メールの整理や不要なファイルの削除などが該当し、適切なタイミングで対処すれば十分です。
このように、現在後継者が行っている仕事を分類し、CゾーンとDゾーンの仕事は自分で行わず、他のスタッフに任せるようにしました。これにより、短期的課題である「競合の油外販売力が低下する中、車両のメンテナンス需要を取り込むために、いかにして後継者が店頭で油外販売をする時間を捻出するか」への対応が可能となりました。
また、Bゾーンの仕事に分類される人材育成を優先的に実施し、経営者以外のスタッフも油外販売ができるようにしていきました。これにより、中長期的課題である「後継者が存在することで、中長期的な取組みが可能であることから、いかにして油外販売のできる人材を育成するか」への対応も可能となりました。
5.まとめ
本記事では、ガソリンスタンドの後継者が、仕事の優先順位をつけて油外商品の販売を促進し、収益性を向上させた事例を紹介しました。
ポイントは以下の3点です。
仕事の優先順位をつける:時間管理術の定番であるアイゼンハワーマトリックスを活用し、仕事の重要度と緊急度のよって4つのゾーンを設けます。
CゾーンとDゾーンの仕事は他人に任せる:自分自身が最も注力すべきAゾーンとBゾーンの仕事に集中するために、CゾーンとDゾーンの仕事は他人に任せるようにします。
Bゾーンの仕事を優先させる:Bゾーンの仕事を積極的に行うことで、Aゾーンの仕事の発生を防止するとともに、人材が育成され、戦力化されていきます。
この事例から、仕事に優先順位をつけることで、限られた時間の中で成果を最大化することが可能であることが分かります。まずは、自分が何にどの程度時間を使っているのか、現状を把握することから始めましょう。
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