ガソリンスタンドがスタンプカードでリピーターを増やす具体的な施策
1.はじめに
経営において、リピーターを獲得することは、売上や利益の向上に大きく貢献します。しかし、リピーターを増やすには、どのような戦略や施策が必要なのでしょうか?
今回の記事では、リピーターの重要性を示す法則と、ガソリンスタンドのリピーター促進策をご紹介します。具体的な方法を解説していますので、最後までお読みいただき、実践に役立ててください。
2.リピーターの重要性を示す法則
新規顧客を獲得するためのコストには、チラシやネット広告などの費用があります。これに対して、既存顧客のリピートを獲得するためのコストには、ポイントカードやダイレクトメールなどの費用があります。
「1:5の法則」は、アメリカのコンサルティング企業であるBain & Company社の名誉ディレクター、フレデリック・F・ライクヘルド氏によって提唱されました。
これは、新規顧客を獲得するための上記のコストは、既存顧客のリピートを獲得するためのコストの5倍に及ぶというものです。つまり、同じ売上を達成する場合でも、新規顧客を獲得するよりも、既存顧客にリピートしてもらう方が、利益率が高くなるということです。
また、同氏は「5:25の法則」も提唱しました。これは、既存顧客の離脱率を5%減らすだけで、利益率が25%上がるというものです。
これらを踏まえると、リピーターを増やすことは、業績向上に効果的と言えます。特に、ガソリンの需要が低下していく中、ガソリンスタンドにとってリピーター対策が持つ意味は非常に大きいと言えます。では、リピーターはどのようにすれば増えるのでしょうか。
3.リピーターを増やすための具体的施策
今回は、スタンプカードを起点としたリピーターの獲得方法について見ていきます。スタンプカードはご存知の通り、顧客が給油や洗車、エンジンオイルなどの油外商品をご購入するたびに、カードにスタンプを押し、一定数貯まると特典を提供するものです。
例えば、ガソリンを20ℓ給油するたびにスタンプ1個、油外商品1,000円につきスタンプ1個を押し、スタンプ10個で100円割引、スタンプ20個でボックスティッシュを差し上げるといった内容です。
このスタンプカードを効果的に活用するには、以下のポイントを押さえるようにしましょう。
4.スタンプカード活用の効果を上げるポイント
(1)エンダウド・プログレス効果
エンダウドとは英語で「与えられた」、プログレスとは「進捗」という意味です。エンダウド・プログレス効果とは、目標達成が目に見える形で近づくと、モチベーションが高まる心理と、手に入れたものを無駄にしたくない心理が働くことで、目標達成率が向上するという効果です。
この効果を活用するには、スタンプカードのマスを最初からいくつか埋めておくという方法があります。例えば、10個のマスがあるスタンプカードをそのまま渡すのではなく、12個のマスがあるスタンプカードの最初の2マスにスタンプを押しておきます。
こうすることで、顧客は「せっかく2個のスタンプがあるのだから」というスタンプを貯める進捗に参加する心理になりやすく、スタンプを集める意欲が高まります。
(2)割引券や引換券の活用
スタンプが満タンになったときに割引や景品をその場で提供してしまうと、顧客はすぐに特典を利用してしまい、スタンプが満タンになるまでに抱いていた再来店のモチベーションは低くなってしまいます。
そこで、提供する特典は、割引券や景品の引換券にするのが効果的です。これにより、次回の来店時にそれらの券を利用することを促すことが出来、再来店の可能性が高まるでしょう。また、その際には新たなスタンプを得ることになりますので、上記のエンダウド・プログレス効果も期待できると言えます。
もっとも、割引券や引換券をもらった時点で利用したいというニーズに応えることも必要です。
(3)顧客情報の収集
スタンプカードの特典を受け取った顧客に、氏名・住所・誕生月などを記入してもらい、DMを送付するのも有効です。誕生月は、自分にとって特別な月と意識する人が多いため、「自分へのご褒美」として普段は購入しないような商品や、高価な商品を購入する傾向があります。誕生月にDMを送付することで、顧客の購買意欲や来店意欲を高めることができます。
5.まとめ
経営においてリピーターを獲得することは、売上や利益の向上に直結します。今回ご紹介した「1:5の法則」と「5:25の法則」を踏まえ、スタンプカードを活用することで、顧客のリピート率を高めることが可能です。
エンダウド・プログレス効果を利用して顧客のモチベーションを高め、特典を割引券や引換券にすることで再来店を促し、顧客情報を効果的に活用することで、より多くのリピーターを獲得できます。
これらの施策を実践することで、ガソリンスタンドの経営は安定し、さらに成長することが期待できます。顧客満足度を高め、リピーターを増やすための工夫を続けていきましょう。
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