中小企業が抱える人材確保の悩みを解決!コミュニケーション強化3つのポイント
1.中小企業の人材確保策
人手不足に関する相談の多くは、求人広告を出しても応募がないので、いかに応募者を増やすべきかというものです。しかし、応募者を増やし、採用をしたとしても、その人材に早期離職されてしまえば、人手不足は解決しません。よって、応募者を増やす取組みの前に、定着率を上げる取組みをする必要があります。ケガ人に輸血をするなら、まずは止血する必要があるということです。
人材が定着する職場は、単なる集団ではなく「組織」として機能している職場です。集団を組織として機能させるためには、共通目的、貢献意欲、コミュニケーションが必要であると経営学者チェスター・バーナードは主張しました。
共通目的がないと方向性が不明になり、従業員の行動はバラバラになってしまいます。また、貢献意欲がないということは、やる気がないということであり、積極的な態度は期待できません。さらに、コミュニケーションがないと、情報共有や意思疎通がないので、誤解やトラブルが頻発します。このような職場から人材が流出してしまうことは容易に想像できるでしょう。
そこで、当記事では「コミュニケーション」を取り上げ、その強化策について見ていきます。
2.私が人材確保策を述べる理由
私は、ガソリンスタンドを主たる事業とする会社に通算で21年間在籍しました。うち13年間は店長を務めましたが、人材を採用しても定着率を上げることが出来ず、年間で70人以上の部下が退職してしまうなど深刻な人手不足に陥ったことがあります。
しかし、中小企業診断士の受験勉強でコーチングを知り、そのスキルを現場で活用してコミュニケーションを強化したところ、人手不足を克服することができました。
店長を担いながら、中小企業診断士の資格を取得した私は、現在経営コンサルティングを生業としていますが、多くの中小企業が人手不足に悩んでいる現状を目の当たりにしました。この傾向はコロナ後に、より顕著になっていますが、私の経験を基にした人材定着の方法を広く共有したいと考え、この内容を記事にまとめました。
3.コミュニケーション強化3つのポイント
ここでは、私が実際に実施してみて効果的だったと感じているコーチングスキル3点を事例とともにご紹介します。
ポイントその1:傾聴する
私が店長を務めていたガソリンスタンドに、他店の社員が新たに配属されました。当初張り切って販売にあたっていたその社員ですが、徐々に元気がなくなり、販売実績が低迷し始めました。
そこで私は、彼と面談を行いましたが、本人は周囲の期待に応えている姿を演じてしまい、なかなか本音を話してくれませんでした。そこで私は、「頷き・相槌」「繰り返し」「言い換え」を駆使しながら、傾聴に努めました。
これにより分かったことは、以下の2点です。
彼が以前勤務していた店舗は、客数が少なかったため、顧客の購買履歴を頭の中で把握できており、顧客に応じた提案をして販売に繋げていた。
新店舗では客数が多いため、顧客の購買履歴を把握できず、顧客に応じた提案が出来ず、販売に繋がらない。
傾聴により、彼が抱えているこのような悩みを把握することができました。そこで私は、以下の質問をしました。
ポイントその2:質問する
質問にはYes・Noで回答できるクローズドクエスチョンと、Yes・Noで回答できないオープンクエスチョンの2種類があり、思考を深め、意見を引き出すためにはオープンクエスチョンが有効とされています。
この質問は、When(いつ)、Where(どこで)、Who(誰が)、Why(なぜ)、What(何を)、How(どのように)、How many(どのくらい)、How much(いくら)の5W3Hを明らかにする質問とも言えます。
私は、前述の悩みを抱えた彼に以下の質問を投げかけました。
普段販売している商品の中で、自分が得意だと思う商品は何か
その商品だけを売るとしたらどのような販売方法があるか
これらのオープンクエスチョンを投げかけた結果、彼は「タイヤ」の販売が得意であり、多くの顧客にタイヤの空気圧点検をして、交換が必要なタイヤを見出すことで販売出来ることを述べました。
そこで、あれもこれも販売しようとせずに、タイヤの販売に集中してもらいました。そして、この取組みで成果が出やすいように、私は以下で示すように承認をし続けました。
ポイントその3:承認する
承認とは、事実を認めるということであり、人は自分の行動が承認されることによって、自己効力感が高まり、その行動が強化されていきます。「よく頑張ったね」といった賞賛は事実ではなく解釈を述べており、頑張ったつもりがない場合、不信感を抱かれるリスクがあります。よって、解釈の余地のない事実を述べることが承認のポイントとなります。
タイヤ販売に集中的に取り組むことにしたその部下に対して私は、「今日の午前中は〇台の顧客に空気圧点検の声を掛けてましたね」と、具体的な数字を述べて、彼の空気圧点検という行動を承認し続けました。
これによって、彼の空気圧点検台数は伸びていき、それに伴い交換が必要なタイヤも多数見つかったことから、タイヤの販売実績は大きく伸びていきました。
4.中小企業が抱える人材確保の悩みを解決!コミュニケーション強化3つのポイントのまとめ
人材不足が深刻な中小企業にとって、ただ応募者を増やすだけでなく、採用した人材をいかにして定着させるかが極めて重要です。そこで、組織として機能する職場を作るためには、共通の目的を持ち、貢献意欲を引き出し、コミュニケーションを強化することが欠かせません。
特にコミュニケーションの強化は、人材の定着に大きな影響を与えます。本記事では、私自身の経験から得た、効果的なコミュニケーション強化の3つのポイントを紹介しました。
これらのポイントを実践することで、中小企業は人材の定着率を高め、組織全体の生産性を向上させることができるでしょう。人材確保の悩みを解決するためには、まずは社内のコミュニケーションを見直し、強化することから始めてみてください。
さらに詳しい内容を知りたい方や、具体的な導入方法についてご相談がある方は、以下のフォームからお気軽にご連絡ください。
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