業績を上げるために店長が知っておくべき4つのリーダーシップ
1.店長が知っておくべき4つのリーダーシップを説明する理由
「業績が上がらない」「部下がついてこない」といった悩みを抱える店長は多いものです。このような悩みに対する回答のひとつに、職場や部下に応じて接し方を変えることが挙げられます。
これは、アメリカの経営学者であるP.ハーシーとK.ブランチャードが提唱したSL(Situational Leadership)理論に基づくものです。
私は、21年間ガソリンスタンドの運営会社に勤務し、13年間で7店舗を店長として渡り歩きましたが、ある地方都市に立地する店舗で多数の部下から大きな反発を招いたことがあります。
その後、店長を務めながら中小企業診断士の勉強を始めましたが、この勉強を進めていく中で、上記のSL理論を踏まえていなかったことが、この店舗で上手くいかなかった理由であることが分かりました。
以後、それを踏まえて、新たに赴任する店舗で状況に応じたリーダーシップを発揮したことで、業績は向上していきました。
その後、中小企業診断士の資格を取得し、現在は経営コンサルタントとして仕事をしていますが、SL理論に基づくリーダーシップを多くのリーダーにご紹介してきており、分かりやすく説明するスキルも身につけました。
そこで、この記事では、店長としての私の失敗経験と中小企業診断士としてのスキルを活用して、店長のリーダーシップを解説していきます。
2.成功体験から抜け出せなかった。。。
私は、店長としての経験が浅い頃に首都圏のガソリンスタンドで大きな実績を挙げました。マニュアルやルールを徹底し、これについて来ることのできない部下はどんどん退職していきました。
結果として、経験の浅い部下が多くを占めることとなりましたが、客数は伸び、業績は伸長し、自分のリーダーシップに自信を持ってしまうことになりました。
そんな中、私は地方のガソリンスタンドへ赴任することとなりました。新店舗に赴任した私は、それまで同様にマニュアルやルールを作って、部下にそのやり方を押し付けようとしました。しかし、この店の部下のほとんどはキャリアが豊富であり、自分たちのやり方に自信があったため、私のやり方に納得できず、強く反発をし、店の雰囲気は険悪なものになってしまいました。
当時の私のリーダーシップスタイルは、キャリアの浅いスタッフが多い職場にはフィットするものでしたが、キャリアの豊富なスタッフが多い職場にはフィットしませんでした。では、どのような職場にどのようなリーダーシップがフィットするのでしょうか。これを示したものが、以下で示すSL理論になります。
3.店長が知っておくべきリーダーシップとは
過去に多くの学者がリーダーシップに関する研究をしていますが、初期のリーダーシップに関する研究は、リーダーのキャラクターに焦点を当てるものでした。結果として、リーダーシップとキャラクターの関連からは、科学的な統一した結論は導くことができなかったとされています。
その後、リーダーシップとリーダーの行動パターンに着目した研究がなされましたが、これによって、有効なリーダーシップが解明されることとなりました。つまり、有効なリーダーシップはキャラクターではなく行動から導き出されるということです。
そして、有効なリーダーシップが発揮するためには、リーダーの行動をその職場や部下に応じて変えていくべきという内容が、SL理論です。これは、指示的行動(下図横軸)と支援的行動(下図縦軸)を組み合わせ、4つのリーダーシップを導き出しています。
以下で、上図の4つのリーダーシップスタイルを解説していきます。
4.店長が知っておくべきリーダーシップ4つのスタイル
(1)指示型リーダーシップ
リーダーは、仕事を任せて支援するという支援的行動を控え、教育に注力するとともに、細かな指示を出します。つまり、支援的行動は少なくして、指示的行動を増やすというスタイルであり、未熟な部下に有効とされています。
(2)説得型リーダーシップ
リーダーは、簡単な仕事を任せて支援するという支援的行動を増やします。それとともに、指示も増やしますが、なぜその指示を出したのかを説明することも大切です。つまり、支援的行動を増やすとともに、レベルの上げた指示的行動も増やすというスタイルであり、未熟な部下が成長してきた場合に有効とされています。
(3)参加型リーダーシップ
リーダーは、難易度の高い仕事を任せて支援するという支援的行動を増やします。それとともに指示は減らして、部下とともに意思決定をするようにします。つまり、レベルの上げた支援的行動を増やすとともに、指示的行動は減らすというスタイルであり、成長してきた部下が成熟の段階になってきた場合に有効とされています。
(4)委任型リーダーシップ
リーダーは、部下に多くの仕事を任せ、支援も指示も減らしていきますが、職場の改善策を考えてもらうなど、コーチングの要素を強めていきます。つまり、支援的行動も指示的行動も減らすというスタイルであり、成熟してきた部下が熟練の領域になってきた場合に有効とされています。
私はもともと、「(1)指示型リーダーシップ」を首都圏の店舗で発揮していました。この店舗は未熟な部下が多かったことから、このリーダーシップが有効に機能しました。ですが、熟練の部下ぞろいの地方の店舗で「(1)指示型リーダーシップ」を発揮しようとしたため、上手くいきませんでした。この店舗で発揮するべきは「(4)委任型リーダーシップ」だったということです。
5.店長が知っておくべきリーダーシップ4つのスタイルまとめ
リーダーシップは一様でなく、職場や部下の状況に応じて柔軟に変化させることが重要です。店長として、業績を上げるためには、部下の成長段階や職場の状況に応じて、適切なリーダーシップスタイルを選択し、実践することが求められます。
これにより、部下のモチベーションを引き出し、業績向上に繋げることができます。自分自身のリーダーシップスタイルを見直し、状況に適したリーダーシップを発揮することで、より良いチーム作りを目指しましょう。
なお、より成果の出る店長のリーダーシップに関するご相談は以下のリンクより気軽にお寄せください。弊社ホームページのお問い合わせフォームに移動します。
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