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心理的リアクタンスの克服法:承認がもたらす効果とガソリンスタンドでの具体例

1.心理的リアクタンスとは?


 心理的リアクタンスとは、自由を制限されたり、強制されたりすると抵抗感を覚え、その逆の行動をとろうとする心理的反発のことを指します。個人の自由度や自己決定権が侵害されたと感じた場合に生じる反応です。

 具体例を挙げてみましょう。Aさんは商社に勤めるサラリーマンで、結婚し奥さんと子どもと暮らしています。最近昇進したことで業務量が増え、残業により帰宅時間が遅くなることも増えてきました。

 休日は友達と趣味のカメラ撮影をするために、朝から一日中出かけていることが多く、家で過ごすことはほとんどありません。ある朝、奥さんから「今日も撮影に行くんでしょ? 子どもの友達が家に遊びに来て忙しいから、出かけるなら早くして」と言われました。

 するとAさんは「あぁ」とあいまいな返事だけを残し、リビングのソファで普段は見ないニュース番組をダラダラと見始めました。この行動は普段とは異なるもので、2人は口論してしまいました。

 この例では、Aさんの心の中で自由が侵害されたことに対する反発が無意識的に起こり、普段は家で滅多にすることのないテレビを見ながら撮影に出かけないという行動をとったのです。

 心理的リアクタンスは、個人が自由を制限されたり、侵害されたりした場合に、その自由を回復しようとする動機づけを指します。簡潔に言い換えると、人々は自分の選択肢や行動に対する制約を感じたとき、反発心を抱くということです。この反発心は、自己決定権を守ろうとする本能的な反応と言えます。

2.ガソリンスタンドにおける心理的リアクタンスとは?

 ガソリンスタンドにおいて、店長がスタッフに「洗車の声掛けをしなさい」と指示を出したとします。この場合、スタッフは店長が店頭にいる場合は叱責を恐れて声掛けをしますが、そうでない場合には、心理的リアクタンスが働いて声掛けをしないというケースがよく見られます。

 このような状況を打破するためにはどうしたら良いのでしょうか。まず、この場合の目的は洗車収益の向上であり、声掛けはその手段です。ですから、スタッフが嫌々ながら洗車の声掛けをしても、目的を達成できる可能性は低いことに着目するべきです。

 ただし、声掛けをしないと洗車する顧客は増えにくいですから、店長は声掛けの指示を出し、店頭で監視します。それを受け、スタッフは心理的リアクタンスを感じながら渋々声掛けをし、洗車が売れないという悪循環に陥っていきます。店長もスタッフも労多くして功少なしという状況になるということです。

 よって、スタッフが嬉々として洗車の声掛けをすることが、目的である洗車収益向上の達成度を高めることに着目するべきと言えます。そのためには「声掛けをしないこと」に着目し、それを防止するために指示を出すことではなく、「声掛けをしたこと」に着目し、それを承認することで声掛けのモチベーションを高めることがポイントとなります。

 以下で承認の効果、具体的な承認の方法について見ていきます。

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