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働く母親の味方! 惣菜店開業の軌跡:顧客課題解決と経営革新計画で成功へ

1.はじめに


 働く母親をターゲットとしたコーチングやコンサルティングで活躍していた個人事業主が、惣菜店を開設しました。その目的は、顧客の家事負担を軽減し、健康的な総菜で笑顔あふれる食卓を提供することでした。この記事では、この個人事業主の方がまったく経験のない新規事業を立ち上げた経緯をご紹介していきます。

2.働く母親の苦悩

 当事業所の代表は、かつて母親として育児と家事をしながら、会社に勤務していました。そして、育児がひと段落したことなどもあり同社を退職し、働く母親へのコーチングやコンサルティングを主たる事業として創業をしました。

 ですが、そのようなクライアントと接する中で、彼女たちはかつて代表が抱えていた以下の課題を抱えていることを痛感します。

  • 少ない時間内での大きな家事負担

  • ストレスによる心身への悪影響

  • 外食や出前、コンビニ弁当への栄養面や健康面に対する不安

「仕事の他に家事、育児。。。」

 そこで、これらの課題を解決するべく、保存料を使わず、地域の食材をふんだんに活用した安心・安全な惣菜を提供する事業を立ち上げることとしました。

3.未経験分野への対応

 当事業所代表は、飲食業界に身を置いたこともなく、惣菜店運営のノウハウもありません。そのため、市役所の無料経営相談制度を利用するとともに、料理教室へ通うことにし、併せて店舗物件も探し始めました。

「役所は経営相談に乗ってくれるんだっきゃね」

 店舗改装費用の一部は補助金で賄うべく、補助金申請用の計画書も作成しました。無事採択されたものの、当初借りる予定だった店舗の案件はとん挫してしまい、新たな店舗をようやく見つけ、改装工事をすることとなりました。

 このように小規模事業者にとって、新たな事業に挑戦することは、成長のチャンスと同時に大きなハードルでもあります。そこで活用したいのが、「経営革新計画」です。

4.経営革新計画:成長を加速させる強力なツール

 経営革新計画は、中小企業が「新事業活動」に取り組むための、中期的な経営計画書です。新事業活動には、新商品の開発、新サービスの提供、新たな販売方法の導入などが含まれます。

 計画書を作成するということは、事業の構想を言葉化することですので、不明瞭な点や経営課題を抽出することが出来、事業の完成度を高めることが期待できます

「惣菜提供という新規事業の計画を作ったんだねな」

 経営革新計画を策定し、都道府県の審査を経て承認を受けることで、以下のメリットを享受することができます。

1. 低利融資や税制の優遇措置が受けられる
2. ものづくり補助金の審査で加点となる
3. 専門家によるマッチング支援を受けられる

 商工会や商工会議所では、経営革新計画の作成を支援する専門家派遣制度を設けています。この制度を利用すれば、無料で専門家のアドバイスを受けることができ、新たな視点からより質の高い経営革新計画を作成することができます。

 当事業所は、市役所の窓口で経営相談を受けていましたが、それとは別に経営革新計画を策定するために、出店予定地の商工会が実施する専門家派遣制度を活用しました。

 当事業所の経営革新計画は、現状分析、ビジョン設定、経営課題の抽出、新たな取組みの内容、マーケティング、設備投資計画、雇用計画、数値計画、行動計画などから構成されましたが、最終的に都道府県の審査を通過し、計画の承認を得ることができました。

5.トラブルを乗り越え、念願のオープン

 経営革新計画の策定と同時に進めていた店舗改装工事ですが、途中で業者が工事を継続できなくなるというトラブルを乗り越え、無事開業にこぎつけることが出来ました。

 工事段階からSNSで開業の動機や店舗の特徴などを訴求していたこともあり、開業当初から行列ができ、売り切れが頻発するほど業績は好調となり、急遽スタッフを増員する必要に迫られました。

「おかげさまで大繁盛だのさ」

 当事業所は、スタッフ募集に関してもSNSを活用しました。結果として日頃から実施していた情報発信が功を奏し、優秀な人材を確保することができました。

6.まとめ:働く母親の笑顔を応援する惣菜店、新たな挑戦へ

 働く母親の課題を解決する惣菜店事業について、まったく経験のない新規事業として立ち上げた当事業所の経緯をご紹介しました。母親の経験や既存事業の展開で把握した顧客の課題を解決しようという想いと、経営革新計画を活用した戦略的な取り組みによって、困難を乗り越え、成功を収めることができました。

 この惣菜店は、地域に愛される人気店として成長を遂げており、今後も、働く母親の笑顔を応援しながら、さらなる成長を目指していきます。

 今回の記事が、新たな事業に挑戦する中小企業経営者にとって、参考になれば幸いです。

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