【怒りを管理する】ガソリンスタンド店長向けアンガーマネジメント
1.ガソリンスタンド店長が直面するプレッシャーとストレス
ガソリンスタンドの店長は現場の責任者として、経営陣からの予算達成に関する追及を受けたり、取引先と折衝したり、スタッフを確保・育成したりなど、様々なプレッシャーやストレスを抱える立場と言えます。
そのような状況に晒される中で、イライラしてしまうこともあるでしょう。ですが、感情的な対応をしてしまうと周囲から信頼を失い、協力を得られず、業績に悪影響を及ぼすことがあります。
そのような事態を招かないために、今回の記事ではアンガーマネジメントをご紹介します。
2.怒りをコントロールするアンガーマネジメント
アンガーマネジメントとは、人間誰もが持つ自然な感情である「怒り」を上手にコントロールするための技術や方法です。
このアンガーマネジメントでよく知られているテクニックとして「6秒ルール」があります。これは、怒りの感情が湧き上がった時に、6秒間だけ、その気持ちを表に出さないように我慢するというものです。これにより、冷静な判断を取り戻しやすくなるという効果があります。
とはいえ、イラっとした時に6秒こらえるのは難しい方もいるでしょう。そこで名古屋大学の研究グループは、より実効性が高い方法を開発し、実証実験を行っています。
3.怒りのコントロール法: 名古屋大学の最新研究
この実験の参加者(被験者)に、まず自身が冷静な状態で、どの程度の怒りを感じているか「怒りスコア」を記録してもらいます。その後、一般的な社会問題についてエッセーを書いてもらいました。
そして、このエッセーを他者に評価してもらいます。この評価には、実際の出来不出来にかかわらず、低い評価をつけるとともに「とても教養のある大学生が書いたものとは思えません」など、屈辱的で辛辣なコメントを付け加えました。
被験者は、この評価・コメントに抱いた気持ちと、そのような気持ちになった理由を紙に書きます。その上で被験者を以下の2つのグループに分けました。
その紙を丸めて捨てるかシュレッダーにかける「廃棄グループ」。
その紙を机上のファイルに保存する「保存グループ」。
これにより、以下のことが分かりました。
屈辱的で辛辣なコメントによって、被験者の「怒りスコア」は上昇しました。
そのコメントに対する気持ちやその理由を紙に記載した後の「怒りスコア」は速やかに低下しました。
特に「廃棄グループ」の怒りは、ほぼ完全に消えていました。
一方「保存グループ」の怒りは、多少は収まったものの、依然として高いままでした。
名古屋大学の研究グループでは「怒りの感情を紙に書き出して捨てるという方法は、ビジネスに活用できる」とし、今後、メールなどのデジタル媒体でも同様の効果があるかどうか、検証が必要だとしています。
なお、このようなアンガーマネジメントを学ぶ際に、自身の怒りの原因を知っておくことは学びの効果を高めます。この怒りの原因について以下で見ていきます。
4.コアビリーフと怒りの関係
自分の中に「~すべき」といった譲れない価値観が存在し、それに相反する状況に直面した際に怒りが生じることがあります。
この譲れない価値観を「コアビリーフ」と呼びますが、多くの場合、自分のコアビリーフが怒りを引き起こしていると言えます。
例えば、店長が「上司には部下から挨拶するべき」というコアビリーフを持っている場合、アルバイトスタッフから挨拶がないと「何であいつは挨拶しないんだ!」と怒りを感じることがあります。
しかし、アルバイトスタッフは自分から店長に挨拶することに気後れしているのかもしれませんし、そのようなコアビリーフを持っていない人は怒りを感じないこともあります。
怒りという感情は、「誰か」や「何か」に怒らされた結果ではなく、自分自身が怒りを選択した結果であることに気づくことが重要です。怒りを感じた際には、自身のどのようなコアビリーフが怒りを選択したのか検証する良い機会です。
そして、自分のコアビリーフは本当に必要なものなのか、また、相手と自分ではコアビリーフが異なることを理解し、怒りを適切にコントロールするようにしましょう。
5.まとめ
アンガーマネジメントは、ビジネスの現場で重要なスキルです。特に店長やリーダーの立場では、ストレスやプレッシャーにさらされることが多く、怒りの感情をうまくコントロールすることが求められます。
名古屋大学の研究によれば、怒りの感情を紙に書き出して捨てることで怒りを軽減する効果があることが示されています。また、自身の怒りの原因を知り、コアビリーフという自己の価値観を理解することも大切です。
自分と相手の価値観の違いを受け入れ、寛容な心を持つことで、怒りを適切にコントロールし、信頼を失わずにチームをリードすることができるでしょう。
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