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【売上50%アップ】飲食店の集客に効果を発揮したマーケティング戦略の事例

1.はじめに:売上が50%増加した飲食店のマーケティング戦略


 新型コロナウイルス感染症が第5類に移行し、飲食業界も活気を取り戻しつつありますが、いまだに客足が伸び悩んでいる店舗も多い印象があります。そんな中、ある居酒屋はマーケティング戦略を検討し、売上5割増を実現しました。

 私がこの事例を紹介する理由は、一連の取り組みを現場で共に考え、実行した当事者であるためです。21年間、ガソリンスタンドの現場に身を置いた後、中小企業診断士として独立し、数々の店舗経営を支援してきた経験を活かし、この居酒屋の課題解決に当たりました。以下では、具体的なマーケティング施策とその効果について詳しくご紹介します。

2.飲食店の集客に効果を発揮したマーケティング戦略その1:製品戦略

 同店は当時創業7年目で、女将とパートタイマー1名で運営している小規模な居酒屋です。当時、コロナ禍で営業を自粛していましたが、経営者である女将は行政から自粛の協力金をもらっても、今後の事業展開に不安を感じていました。

「居酒屋の事例をご紹介します」

 特に、コロナ後に顧客は戻って来てくれるのか、また、新規顧客の集客はどうするべきかという不安がありました。そこで、打開策を求めて地元の商工会に相談しました。

 商工会からの派遣要請を受けた私は、女将と面談をする中で、以下の点が分かりました。

  • 女将はある地方の出身であり、親類が当地に住んでいること。

  • そのつながりを活用すれば、当地の食材を安価に調達できること。

 新メニュー開発の重要なポイントは、同店でしか提供できない料理を考案することです。この視点に立つと、女将の出身地で入手した食材を使った郷土料理の提供は、有効な戦略となりました。そこで、この郷土料理をいくつか新メニューに加えた上で、以下のプロモーション戦略を行いました。

3.飲食店の集客に効果を発揮したマーケティング戦略その2:プロモーション戦略

(1)インターネットの活用

 同店は、これまで持っていなかったホームページを立ち上げました。それに伴い、ブログとSNSを用いて、情報を毎日発信しました。ブログでは料理やお酒の専門性を活用した記事を発信し、検索結果に表示されやすいようにしました。また、SNSでは店舗の日常を投稿し、フォロワーに近況報告をするようにしました。

 これにより、同店の専門性や近況を知った読者が同店を訪れるようになりました。特に既存顧客で同店のSNSのフォロワーになった方の来店頻度が高まりました。

「オンラインでの情報発信を強化した」

(2)チラシの作成・配布

 同店は新メニューの紹介を主な内容としたチラシを作成し、周辺地域の住居ポストに投函して配布しました。このチラシの右下隅には切り取り線のついたドリンク1杯無料券を印刷し、チラシをもらった方の来店意欲を高めました。これにより、チラシを持参して来店される顧客が増えましたが、しばらく訪れていなかった既存顧客の来店が増えました

「ポスティングも実施した」

(3)メニュー表の作成

 同店はそれまで文字と数字しか記載されていなかったメニュー表を一新しました。新たに追加した郷土料理のメニュー名と価格を目立つ位置に記載し、その料理の写真をメニューに掲載しました。売りたいものを目立つ位置に配置するとともに、ビジュアルに訴求したことにより、郷土料理のオーダーが増加し、客単価が上昇することとなりました。

「料理の写真も載せた」

(4)スタンプカードの導入

 エンダウド・プログレス効果とは、目標に対して「既に進捗がある」と認識した際に、その目標達成に向けたやる気が高まるという心理的現象です。

 同店は、飲食の金額に応じてスタンプを押すスタンプカードを導入しました。このカードには予め2つのスタンプが押されています。このように、スタンプカードで最初からいくつかスタンプが押されていると、人はエンダウド・プログレス効果によって、残りのスタンプを埋めるために一層意欲的になります。この効果は、目標が「達成可能である」と感じやすくなることに起因します。

 このスタンプカードを発行したことによって、リピーターの増加に繋がりました。

「スタンプが溜まるとドリンク1杯サービスなのであった」

4.【売上50%アップ】飲食店の集客に効果を発揮したマーケティング戦略の事例のまとめ

 今回ご紹介した居酒屋では、独自の製品戦略と効果的なプロモーション戦略を組み合わせることで、集客力を大幅に向上させ、売上をコロナ前から50%増加させることができました。

 まず、製品戦略では、経営者の地元から取り寄せた食材を活用し、その地域特有の郷土料理を提供することで、他店との差別化を図りました。

 プロモーション戦略においては、オンラインとオフラインの両面から集客を図りました。ホームページ・ブログ・SNSを通じて、料理の専門性やお店の魅力を発信することにより、既存顧客の来店頻度を高め、新規顧客の獲得にもつながりました。

 また、チラシのポスティングにより顧客の掘り起こしを図るとともに、客単価が高まりやすいメニュー表の作成や、再来店のモチベーションが上がりやすいスタンプカードの導入も成功の一因となりました。

 この居酒屋の事例が、他の飲食店経営者にとって、集客力向上のヒントとなれば幸いです。

 さらに詳しい内容を知りたい方や、自社ならではのマーケティング戦略についてご相談がある方は、以下のフォームからお気軽にご連絡ください。

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