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【成功事例】売上アップ!老舗小売店のノスタルジアマーケティング

1.不良在庫の活用で売上をアップさせた老舗小売店


 競合店の進出によって、業績が厳しくなってしまった小売店は、不良在庫を活用することによって、集客力を高め、売上増加に繋げていくことが可能です。

 この記事では、大型ショッピングセンターや全国展開するチェーン店の進出によって、業績が厳しくなってしまった老舗の小売店が、倉庫の中に埋もれていた昭和時代の不良在庫を活用したことで、活路を見出した事例をご紹介します。

2.私が同店を事例として取り上げる理由

 同店は、関東圏内に単独で展開する雑貨店です。もともとは、婦人服を販売していましたが、日用品、文具、化粧品、食品と品ぞろえを広げ、顧客の利便性を高めていきました。高度成長期には、安売りで業績を伸ばしましたが、近年は、商圏内に競合が進出してきていました。

 同店が立地する地域は、人口が増加している魅力的な市場でしたが、そのような地域を大手企業が見過ごすはずはありません。全国展開する婦人服店スーパーマーケットの進出が相次ぐともに、東アジア最大級の大型ショッピングセンターが商圏内に開業しました。ネット通販も普及しており、同店の売上高は年々厳しいものになっていきました。

「色々入り乱れた戦いのなのであった」

 そこで、同店の経営者は地域の商工会に打開策を相談しに行ったところ、同店のような商工会会員に対して、商工会が無料で専門家を派遣してくれる制度を紹介されました。そして、当商工会の要請を受け、弊社が同店の支援に伺いました。

 この記事は、その際の支援で成果を上げたマーケティング手法をご紹介するものです。

3.不良在庫に着目した理由

 お客様に同店でお買い物をしていただくには、同店でお買い物をしていただく理由が必要です。かつては、その理由が「安さ」だったわけですが、単に安いのであれば、現在はネット通販の優位性は揺るぎません。また、「買いやすさ」であれば、品ぞろえの豊富なチェーン店や、広い大型ショッピングセンターに優位性があります。

 そこで、同店でお買い物をしていただく他の理由を探す必要があります。手っ取り早いのは、他店では売っておらず、同店だけが売れるものを売ることです。この観点から着目したのは、同店が昭和時代に仕入れ、倉庫で眠っている不良在庫です。例えば、ちゃぶ台、畳ほうき、アルミ製おたま、洗濯板、金属製ハエ叩き、ハエ取りリボンなどがありました。

 これらの不良在庫は、以下の取組みにより、マーケティングで効果を発揮することになります。

4.ノスタルジアマーケティングの展開方法

 ノスタルジアマーケティングは、消費者の過去の思い出や感情に訴えかけるマーケティング戦略です。このアプローチでは、昔懐かしい製品、サービス、広告、あるいは時代を彷彿とさせる要素を活用して、消費者の感情を刺激し、製品やブランドに対する好意や親しみを深めようとします。

 これら昭和の不良在庫は需要がなくなったからこそ、不良在庫になっているとはいえ、懐かしさは与えることができます。そこで、集客に活用しようと、これら不良在庫の特売セールを企画し、チラシを新聞折込やポスティングで配布しました。

 最近ではあまり見かけないこれらの商品は、中高年世代の興味を引くことに成功し、セール当日は多くの中高年顧客層が来店しました。彼らは店の一番奥に設けられた特設コーナーで昭和の歌謡曲が流れる中、商品を見ながら当時を懐かしんでいました。

 しかし、多くの顧客は懐かしさが喚起されて来店したわけで、これらの商品を買うために来店したわけではありません。それでも、多くの顧客が昔を懐かしんだ後、他の売り場の商品を購入しました。つまり、昭和の品物として残った在庫は、集客の手段として機能したのです。結果として、同店は客数も客単価も向上することとなりました。

「懐かしさを集客に使うのであった」

5.売上をアップさせた老舗小売店のノスタルジアマーケティングのまとめ

 競合店の進出やネット通販の普及により、厳しい経営状況に追い込まれた老舗小売店が、倉庫に眠っていた昭和時代の不良在庫を活用することで、集客力を高め、売上を増加させることができました。

 この事例は、在庫処分が目的ではなく、顧客のノスタルジアを喚起することで、新たな付加価値を創出するマーケティング手法の成功を示しています。

 ノスタルジアマーケティングは、中高年層の関心を引くことにより、来店客数を増加させるだけでなく、他の商品への購買意欲を高める効果もありました。昭和の品物を通じて来店した顧客が、懐かしさを感じつつも現代の商品を購入するという流れを作り出したことが、客単価の向上にもつながりました。

 今回の事例から学べることは、企業が持つ潜在的な資源を見直し、創意工夫を凝らすことで、新たなビジネスチャンスを見出すことができるということです。特に中小企業においては、既存の資源を最大限に活用し、差別化戦略を実施することが重要です。この老舗小売店の成功事例は、他の企業にも多くの示唆を与えることでしょう。

 なお、このような集客アイデアの抽出や、自社の眠っている経営資源の活用に関するご相談は、以下のリンクからお気軽にお寄せください。

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