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事例に基づく年上部下のモチベーションの上げ方3つのポイント

 かつての私のように、年上の部下は扱いにくいと感じている上司はことのほか多いと感じています。ですが、今回述べていくモチベーション理論を理解し、モチベーションを上げる的確な取組みを繰り返すことで、年上の部下が生き生きと働くようになり、大きな実績に繋がりました。

 私が経営コンサルタントとして創業する前に勤務していたガソリンスタンドの運営会社は、首都圏に40店舗を展開しており、本社を都内に構えておりました。そして、私が店長職を担っていた店舗に、社内の他店で降格人事を受けた元店長(当記事ではA氏とします。彼は私の年上であり先輩にあたります)が、部下として赴任してくるという人事がありました。

 A氏はこのような人事を受けたばかりでしたので、モチベーションが低下した状態で当店に赴任してきたたわけですが、私はその対応として、モチベーション理論のひとつである「ハーズバーグの動機づけ=衛生理論」(下図参照)を活用しました。

 当理論では、人間は仕事をして満足感を覚えるとモチベーションが上がりますが(上図の緑色部分)、不満足感を覚えるとそれが下がるとしています(同黄色部分)。前者は「動機づけ要因が充実した状態」、後者は「衛生要因が未充実の状態」とされ、両要因の具体的な内容は図にある通りです。

 この理論のポイントは、高いモチベーションを得ていただくには、衛生要因ではなく、動機づけ要因を満たす必要があるという点ですので、実際にどのようにして動機づけ要因を満たしていったのかを見ていきます。なお、動機づけ要因の「承認」をどのように充実させたのかは、以下の記事を参照していただき、今回の記事では「承認」以外をどのように充実させていったのかを見ていきます。

1. 事例に基づく年上部下のモチベーションの上げ方のポイント

事例に基づく年上部下のモチベーションの上げ方のポイント(1)責任と権限を与える

 前述のリンク記事でもご紹介していますが、当時私が店長を務めていた店舗は、タイヤ販売を得意としていました。これに対してA氏は、モチベーションの低さから当初タイヤ販売を渋っていたものの、最終的にタイヤを販売することにしました。

 そこで、予め決まっていた当店の販売目標達成について、A氏に動機づけ要因のひとつである「責任」を与えることにしましたが、責任を与えるということはそれに見合った権限も与える必要があります。責任ばかり大きくてもそれに見合った権限がなければ、思うように責任を果たすことは困難であるからです。

 よって、タイヤ仕入れ業者との交渉や、販売方法、ディスプレイなど、タイヤ販売に関する権限をすべて委譲しました。

事例に基づく年上部下のモチベーションの上げ方のポイント(2)達成感を強化させる

 承認や責任・権限を与え続けることによって、A氏は徐々にタイヤの販売本数を増やし、赴任して2か月後に月間の販売目標を達成しました。この際に、私はA氏に間髪入れず「達成しましたね」という承認を与え、動機づけ要因のひとつである「達成感」を強化させました。

 月間の目標販売本数に到達した際に、A氏自身は達成感を抱いていたはずですが、それを承認することによって、達成感が強化されることに繋がり、動機づけ要因が充実されていくことになります。

事例に基づく年上部下のモチベーションの上げ方のポイント(3)仕事そのものを充実させる

 前述した通りA氏はかつて店長でしたので、多くの部下の指導にあたっていました。ですが、降格した時点で指導という役割は期待されなくなってしまいました。

 とはいえ、A氏はもともと指導力のある方ですから、タイヤ販売の指導をすることにより、成果を出せそうなアルバイトスタッフを2名選択していただき、A氏とその2名ができるだけ被るシフトを作成し、A氏に指導していただきました。

 A氏としては、自身が指導力を保有していることが認められたわけで、単に販売するという仕事だけでなく、指導も任せられたことで、動機づけ要因のひとつである「仕事そのもの」の充実度も高まったことが想定されます。

 結果としてA氏が指導した2名のアルバイトスタッフも相応の実績をあげ、当店はA氏が赴任する前よりもタイヤが売れるようになりました。そのような実績が認められ、A氏は2年半後に店長にカムバックすることになりますが、これは動機づけ要因のひとつである「昇進」ですから、さらにA氏のモチベーションは向上したのではないでしょうか。

 今回の記事では、年上部下のモチベーションの上げ方におけるポイントとして(1)責任と権限を与える、(2)達成感を強化させる、(3)仕事そのものを充実させる、を述べました。

 年上の部下を指示命令や脅迫で動かすことは得策とは言えず、そのようなやり方で部下を動かそうとすることが、年下上司のやりづらさに繋がっていると感じています。よって、今回ご紹介したように、上司として動機づけ要因を意識しつつ本人に仕事を任せるマネジメントが重要と感じていますが、いかがでしょうか。

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