持続化補助金に採択された眼鏡店の事例から学ぶ計画書の書き方⑤
前回の記事まで4回にわたって、小規模事業者持続化補助金の申請時に提出する計画書のうち＜経営計画＞について、当補助金に採択された眼鏡店を事例に、書き方のポイントを見てきました。この＜経営計画＞は、自社の外部環境や内部環境を踏まえて、中長期的な今後の戦略を記載します。
これに対して、今回から見ていく＜補助事業計画＞は、持続化補助金を使った事業（補助事業）に関する説明を記載することになりますが、これら2つの計画の切り分けがきちんとできていないと、内容が混乱するリスクが高まってしまいます。
これを踏まえ、今回の記事では、当補助金に採択された眼鏡店が＜補助事業計画＞の「２．販路開拓等（生産性向上）の取組内容」欄へ何をどのように記載したのか、ポイントを見ていきます。
１． 持続化補助金に採択された眼鏡店の事例から学ぶ計画書の書き方【販路開拓等（生産性向上）の取組内容】編
持続化補助金に採択された眼鏡店の事例から学ぶ計画書の書き方【販路開拓等（生産性向上）の取組内容】のポイント（１）補助事業の概要を記載する
同店は当欄冒頭に「補助事業の概要」と見出しを設けて、補助金を用いてテレビコマーシャルの制作・放送をすること、これまでのテレビコマーシャルに関する取組、テレビコマーシャルの必要性などを端的に述べました。
補助事業の説明を記載する当欄の冒頭に、同店のように補助事業の概要を記載することによって、読み手としては補助事業の全体像が分かるため、その後の理解が進みやすくなります。このように、冒頭で事業の概要を記載したことは、同店が採択を引き寄せたポイントと考えられます。
持続化補助金に採択された眼鏡店の事例から学ぶ計画書の書き方【販路開拓等（生産性向上）の取組内容】のポイント（２）補助事業を切り分ける
前述の通り同店の補助事業は、テレビコマーシャルの制作・放送ですが、この制作と放送をまとめて説明しようとすると、内容が冗長になりがちで、読み手の理解を阻害するリスクを高めてしまいます。
よって、同店は「テレビコマーシャルの制作」と「テレビコマーシャルの放送」と見出しを設け、補助事業を切り分けて説明を盛り込みました。とにかく切り分ければ良いというものではありませんが、採択される計画書は適切な切り分けを行っているケースが多い印象です。
同店もこのように適切な切り分けを行って説明をしたことは、採択を引き寄せたポイントと考えられます。
持続化補助金に採択された眼鏡店の事例から学ぶ計画書の書き方【販路開拓等（生産性向上）の取組内容】のポイント（３）具体的に記載する
当補助金の公募要領内「審査の観点」には「書面審査」というタイトルで、計画書のどのような点が審査されるのか、審査項目が公表されています。その中に「補助事業計画の有効性」として「補助事業計画は具体的で、当該小規模事業者にとって実現可能性が高いものとなっているか」という記載があります。
不採択になる計画書は、内容の具体性に乏しいものですが、補助金の使い方を具体的に示すことができなければ、それによる効果が期待できるかどうかも不明ですから、補助金を交付することは困難になると言えます。
同店は「テレビコマーシャルの制作」という見出しの下で、いつ、だれが、どのような特徴のコマーシャルを、なぜ、どこへ、どのように放送するのかといった形で、内容を具体的に説明しました。また「テレビコマーシャルの放送」という見出しの下で、いつ放送するのかという点について、より詳しく説明を盛り込みました。
これについて、同店は補助事業を「制作」と「放送」に切り分けたものの、記載した説明はこれらが入り混じってしまった印象があります。つまり「制作」なら、いつ・だれが・何を・なぜ・どこで、どのように制作するのか、「放送」なら、いつ・だれが・何を・なぜ・どこへ、どのように放送するのか、といった形で説明することが望ましいということです。
ただし、５W1Hの切り口から具体的に説明しようという意図は感じることができ、それなりに補助事業の内容も読み取れたことが、採択を引き寄せたポイントと考えられます。
今回の記事では、採択を引き寄せる＜補助事業計画＞「２．販路開拓等（生産性向上）の取組内容」の書き方として、（１）補助事業の概要を記載する、（２）補助事業を切り分ける、（３）具体的に記載する、を挙げました。次回は＜補助事業計画＞「４．補助事業の効果」の書き方を見ていきます。
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