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河川:治水:狩野川放水路(静岡県伊豆の国市)

狩野川放水路は人工的に建設された長さ2,980mの放水路で、水を分流させて海に直接放水してしまうことで、狩野川が下流で氾濫することを防いでいる。
狩野川放水路が建設されたのは伊豆山地を流れていた狩野川が田方平野に出ようとする場所で、この部分に放水路を取り付けて本流の水流を減少させることができれば下流への防災効果は大きい。しかも海側も江浦湾が入り込んでいるため、ちょうどこの部分が海までの直線距離が一番短くなっている。
そのまま下れば、山地を大きく迂回して約18km流れるところを、約3kmの放水路で水を海に流してしまおうというわけである。

狩野川は古来から頻繁に氾濫を繰り返してきたが、1948年のアイオン台風での水害をきっかけにして放水路の計画が具体化して、1951年から建設が始められた。完成は1965年である。
放水路の工事途中の1958年、狩野川台風が流域に壊滅的な被害をおよぼした(そのため狩野川の名称が台風に付けられた)ことで、設計を変更して流量を増強することになった。当初の計画より水路の深さを2m深く掘り下げることにし、また、現在山間部を貫通している水路トンネルは3本だが、これも狩野川台風以前の計画の2本から増やされている。こうした計画の見直しによって、放水路の流量は1,000立方m/秒から2,000立方m/秒へと2倍になった。

トンネル1本の大きさは、高さ11m、幅10mある。
鋭利に尖った水切りがカッコいい。

狩野川本流との分岐点を振り返る。


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