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鉄道(海外):蒸気機関車:三道嶺炭鉱鉄道(中国・新疆ウイグル自治区三道嶺)

とうとう三道嶺炭鉱鉄道(中国・新疆ウイグル自治区三道嶺)が廃止されたことを知った。運炭列車の蒸気機関車の運行停止ではなくて、レール撤去してトラック輸送に転換とのこと。
今年(2022年)7月のことらしい。
Sandaoling Coal Mine Railway abandoned

三道嶺炭鉱鉄道は露天掘りの炭鉱から石炭を搬出するための鉄道で、建設型と呼ばれる大型の蒸気機関車が現役で活躍することで知られていた。とは言え、急速に近代化が進む中国で現役で動いている蒸気機関車は数えるほどになっていて、ここ三道嶺も、蒸気機関車の引退・ディーゼル機関車への転換の噂が絶えなかった。見に行くのなら早めにと2016年2月に思い切って現地に行ってきた。

新型コロナ禍前の中国の状況(おおむね、現地を訪れた2016年当時)を思い出すと、内陸部も含めてそれなりに自由に行動できる国になってはいたものの、三道嶺がある新疆ウイグル自治区では2009年に大規模な暴動が発生して緊張状態が続いていた。観光地でない炭鉱エリアに外国人がぶらりと訪れることへの警戒感も根強く残っていて、事前にインターネットで三道嶺についての旅行情報を集めようとすると、蒸気機関車を見に行こうとして公安に捕まったとか、宿泊所が外国人の宿泊を拒否するようになったという話も散見された。無用のトラブルを避けたいなら、現地のガイドと通訳を雇って行くべしという雰囲気だった。

無事行けるかどうかわからないまま見切り発車で中国に出発することになったけれども、結果的には、哈密市(クルム市)で三道嶺の炭鉱で以前働いていたというタクシー運転手と出会うことができて、車を出租(チャーター)して現地に行くことができた。

露天掘りの底、積み出し所に停まっている建設型JS8190。奥に石炭の積み込み施設が見えている。

モノクロにしてもカッコいい。建設型JS8089

逆機(バック運転)で推進運転している建設型JS8197。逆機なので運転士が窓から身を乗り出して前方(写真奥方向)を確認している。
カウキャッチャー型の排障器もよくわかる。

推進運転の貨物列車。こちら側が先頭。列車最後尾に蒸気機関車が付いていて、機関車本体は貨車に隠れて見えないが、煙が勢いよく立ち昇っているのが見える。
先頭には「アリさん」のような車掌室が付いている。よく見ると車掌室の中で人が2人前方を注視している。

この「アリさん」みたいな(というか、完全に「アリさん」と呼んでいた)車掌室、かわいい。

ほんと、「アリさん」がかわいくて気に入ってしまった。蒸気機関車・建設型JS8081との並び。

露天掘りの底から光景。石炭が自然発火してあちらこちらから煙が立ち上がっていた。

この炭鉱鉄道ももうなくなってしまったし、中国がゼロコロナ政策で厳しい隔離政策をしている間は怖くて行けないし、この時思い切って行っておいてよかった。

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