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空撮:地形:河川:河川争奪の現場(愛知県設楽町)

地理・地形の用語で河川にかかわるもので河川争奪という言葉がある。ある川の流路に、侵食力の強い他の川の谷が到達してしまって、元の川の水を奪ってしまう(=川の流路が変わってしまう)現象のことで、河川と河川がそれぞれの流域を賭けてまさに争奪戦を行なっているような語感が面白い。厳しい自然法則を言い表わしている言葉でありながら、どこかユーモラスな感じがある。侵食力の強い川が横からやってきて文字通り水を横取りしてしまうわけだが、これも専門用語ではもっとおどろおどろしく「斬首」と言ったりする。
河川争奪には、結果が着いてしまっていて争奪後の地形もあれば、今まさに争奪しようという(水を横取りしてしまおうという)地形もある。
三河山地を流れている津具川と鴨山川の関係は、後者の、今まさに鴨山川が津具川の流域を奪おうとして虎視眈々と狙っている状況にある。津具川は標高660m付近に細長い平野を作っているが、南西側には侵食力が強い鴨山川があって比高150mの深い谷を刻んでいる。鴨山川の谷頭があと350m後退すると津具川の流れに到達してしまい、そうなるや「斬首」されてしまった地点から上流の津具川の水は鴨山川に横取りされることになる(青矢印が河川争奪「後」の水の流れを想像したもの)

津具川河川争奪DJI_0073c

「今まさに」と言っても、350mあるので、鴨山川の侵食速度が年間1mmとしても35万年の出来事ではあるのだが。


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