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地震:地盤:被害:能登半島大震災・埋立地の液状化現象

能登半島大震災(2024.01.01発災)では、富山県射水市では最大震度5強を観測し、それに伴って新湊地区の埋立地では地盤の液状化現象が起きた。新湊漁港およびその周辺の埋立地では、地割れ、段差、アスファルト舗装の剥離、噴砂、電柱や標識柱の傾きなどが観察でき、断水によって製氷機が使えないことから正月の初セリが延期になるなどの被害が生じた。
地震発生から3日後の2024.01.04に、現地を見てきた。

液状化現象によって傾いた電柱。電柱が傾いたことにより電線が弛んでいる。

液状化現象によって傾いた標識柱。根元を見ると大量の砂が吹き出ている。

液状化現象により地盤が流動化するとともに噴砂により周辺の土砂そのものが逸失してしまい、支柱を支えることができなくなった。

こちらは地中の泥水の圧力が高まり、仕切弁のハンドホール周辺のすき間から噴砂したケース。

地盤が流動化したことで、表面のアスファルト舗装にひび割れや押し重ねが生じた。

こちらでは表面のアスファルト舗装がひび割れた箇所から水と砂が噴出した。向きによって、ひび割れて開いている箇所と、押し重なっている箇所があり、それぞれの方向に働いた力が推察できる。

側溝のコンクリートに、アスファルト舗装が乗り上げている。側溝はU字溝が地中に埋まっているので比較的流動が少なく、周囲の地盤の流動に合わせて漂った表面のアスファルト舗装が乗り上げたのだろう。

歩道と車道に一続きに亀裂が入ったようだ。車道部分は既に補修されていたので元の状態がわからないが、歩道部分はブロックが押し重ねられていることから、写真左右方向からの押す力が働いたようだ。

噴砂の跡。電柱の根元のものは電柱に沿って噴き出たもので、写真手前のものは人為的にかき集められたものだろう。

建物脇では大量の噴砂が見られた。


今回の地震による揺れと液状化現象によって埋立地全体がどのような挙動を示したか推察できる痕跡も見つけることができた。
この場所は埋立地と元の沿岸砂丘(旧海岸線)の境目付近に当たる。地割れをして、その隙間から砂が噴出している。この地割れは埋立地と元の沿岸砂丘の境目に沿ってずっと続いている。埋立地全体が海側に流動したと推察できる。

こちらでは、(規模は小さいが)土砂崩れを伴っている。地盤が海側に引っ張られたことにより、ずり落ちたものだろう。海側へ流動した形跡として捉えるのが妥当だろう。

写真右にはかつての堤防の一部分が見えている。海岸砂丘側と埋立地側との高低差は元々あり、なだらかな勾配で続いていた歩道が、埋立地側が海側に引っ張られたことで断ち切られて段差が生じている。

地形を確認してみると、黄色の部分が海岸砂丘で、海側の灰色の部分が埋立地になる。

車道にも段差が生じている。

ミニ地溝帯のような割れ方をしている。埋立地全体が海側に流動したことによる引っ張り力が働いた際に、道路の路盤とそれ以外の地盤の接している部分が不均質面として挙動したのだろう。

富山県射水市
2024.01.04

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