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空撮:本郷古墳(栃木県小山市)

栃木県小山市に本郷古墳という小さな古墳がある。全長50m。前方後円墳ということは一応確認されているが、後世に村の共同墓地となって前方部はかなり削平されていて、その形がおぼつかない。
全く知られていない古墳だけれども、なんとなく興味が湧いてきていろいろ調べてみた。

現在残っているのは直径32mの後円部(写真手前の高まり)で、墳丘の上には五輪塔が残されている。

後円部の墳丘途中には板碑も立てられている。

国土地理院の過去の空中写真からは1974~79年撮影写真まではまだ前方部の墳丘の盛り上がりが残っているように見える。 集落の共同墓地とされたのは江戸時代とのことだが、1980年代になって唐櫃(カロート)式の墓に改葬が進んだことで急速に前方部の削平が進んだようだ。

あらためて本郷古墳の立地を確認してみると、姿川左岸の舌状の低段丘の先端に位置している。段丘の比高は3~5mと小さいものの、水が確保できる低地は水田となり圃場整備されてグリッド化されているのに対して、段丘上は畑となっていてグリッドから外れていて、景観上の対比がはっきり見られる。

国土地理院の陰影起伏図も低段丘を確認しておく。

本郷古墳は、地域の共同墓地となっているだけでなく、史跡としても地域の中で保存していこうという機運が見られる。平成28年(2016年)から30年にかけて行なわれた本格的な発掘調査も、地元の南半田自治会連合会が小山市に働きかけて実施されたものだという。小さいながら本郷古墳公園として整備されていて、散策の途中に小休憩することもできる(墓地と隣り合わせだけど)。しだれ桜が植樹されていて、春になるときれいだろう。

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