2020年の所信表明~「唇よ、熱く君を語れ」


最近のマイブーム曲のご紹介。
なぜかyoutubuにお薦めされた懐かしの曲。知ってはいたのだが、あまりまじまじと聞いたことはなかったもの。
1980年発表、渡辺真知子「唇よ、熱く君を語れ」

渡辺真知子といえば、「かもめが翔んだ日」や「迷い道」の方が印象が強かったのだが、改めて本曲を聴くとなんと多幸感に満ち満ちた歌だろうと感じた。それは本人がとてもいきいきと躍動感をもって歌っていることからも伝わってくる。

この歌は、1980年のカネボウのCMソングでもあった。だから「唇」なのだ。

70年代は戦後の残滓も消えつつある一方、高度成長も終わり社会全体も停滞した空気が流れていただろうか。

唇よ、熱く君を語れ
誰よりも輝け 美しく
唇よ、愛に堕ちてみろよ
時代にたわむれて したたかになれ
Oh, Beautiful and Free
唇で語れ 明日を

そうした閉塞感に対して、80年代という新たな時代を迎えるにあたり、こう高らかに謳い上げているのだ。だからこそ、多幸感というか前向きな印象を受け、40年を過ぎた今でも愛されるのだろう。

今回この歌について調べていて初めて知ったのだが、まさに40年経った2020年にカネボウはこの歌をイメージCMの主題歌に起用していた。

カネボウもこの40年でいろいろあった。
自らを回顧し仕切りなおす意味でも、またLGBTというそれまでに顧みられてこなかった新たな層に対しても美と希望を提供をしていくという所信表明のようなCMで、そのポリシーにこの歌はうってつけであった。

歌は世につれ、そんな使い古された言葉が思い浮かんだが、いやいや正にその通りだと改めて思い知らされたのだった。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?