変と偽変

何かに対しての自分の取り組み、また他人の取り組みについて、ずっと言語化しづらかったところを、最大限の努力で、他人に伝わり理解できる粒度のものとして残すことを望み書き散らす。

これから僕が書くことについては、全て演劇作品、芝居について感じたところを念頭に置いている。これについて、おそらくしっかりと考えて実際のものの確認を進めていくと、多分主語は演劇作品から、アート全般になり、いずれ人間生活の在り方に変換していくことが可能だと確信はしているが、
刺さってほしい人口を増やしたいがための、よく分からない分野をも含めた主語を使用することに反感を持っているため、ここでは、主語は演劇作品とすることにするし、実際それについてのみしかここには書かれないと思う。

大学から演劇を始めて7年目。演劇を見に行くし、自分でも一から作ったり、誰かの作品に参加したりしてきた。

好きな作品も好きじゃない作品も見てきて、自分のなかにそれなりの鑑賞作品サンプル数がたまってきた。

そこで、何やら急に、自分が見てきた作品の志向性を「変」と「偽変」に分けたい気持ちになってきた。
「善」と「偽善」のような関係だと思ってもらって良い。
哲学科卒の身として、「善」と「偽善」なんてものは、到底ここで自分が書き散らすなかで一片の本質にかすることも出来ない遠大なものであることは理解しているつもりで、ここでそこに立ち入るつもりはない。

善=何を善とするかを思考し実践している中で、ある時点の実践に対し下される評価。大抵の場合、利己というより利他であり、目的として設定されるものは他者、世界である。一般に偽善より実践が困難。

偽善=何を善とするかを思考せず、善なる実践の、ある時点での実践のみを無批判に真似した実践に対し下される評価。大抵の場合、利他より利己であり、目的として設定されるものは自己である。一般に善より実践が容易。

この程度の浅い理解でここでは問題ないと思うし、僕が「変」「偽変」について、ちょうどその通りだと思う善と偽善の関係は要はこれだ。

ここでいう「変」というのは、「ヘンテコ」と言うときの「変」だと思ってもらって良い。要は「普通じゃない」と表現したいときの「変」だ。

「偽」というのは、紛い物、偽物ということで、要は「ウソ」ということだ。一般に、ウソは良くないと言われている。これは余談だ。今はそれは関係ない。

つまり、「変」と「偽変」はこういうことになる。

変=何を変とするかを思考し実践している中で、ある時点の実践に対し下される評価。大抵の場合、利己というより利他であり、目的として設定されるものは他者、世界である。一般に偽変より実践が困難。

偽善=何を変とするかを思考せず、変なる実践の、ある時点での実践のみを無批判に真似した実践に対し下される評価。大抵の場合、利他より利己であり、目的として設定されるものは自己である。一般に変より実践が容易。

こうもそのままコピペして、善を変に変えてみるだけで、言いたかったことが言い尽くされたようにスッキリした。

思春期の全能感、若者の野心の端緒には、「人と違ってありたい」「自分にしか出来ない事をしたい」という欲求、要は「変になりたい」という気持ちがあって、この確率は演劇作品を作ろうとする集団を母数とするとさらに上昇するんだろうと思っている。

まとめると、「変な作品を作って、自分も変になりたい」と思って演劇作品を作ろうとする人が多いということになる。

このような時に何気なく使用している「変」を、再度ふるいにかけるとどうなるだろう。
再度ふるいをかける、というのはつまり、先程の「変」と「偽変」で分類をするということを指す。

「変」より「偽変」を大義名分として目指す人は少ないかと思うから、結論から言えば「変になりたい」とスローガンをぶち上げる時の「変」はさっきの定義でいう「変」なんだろう。

しかし実態はそうじゃない。
少なくとも僕の持っているサンプルで見ると、「偽変」が多い。
「変」より「偽変」の方が実践が容易で手っ取り早いからなんだろう。

よもや昼休みも終わりに近づいた。
「偽変」を撒き散らして、「偽変」のくせに「変」を気取る連中が気に食わないし、それを「変」だと受け取って御輿を担ごうとするような連中も気に食わない。「偽変」でハイセンス感を出すな。

それはつまり、自分のことだ。
どこまでも汚くて、未完成で、パッケージされてない、本当の審美眼を持っている人だけが理解でいるような「変」を、いま自分は目指しているのかまず徹底的に自分をこき下ろさなければいけない。

次回
全ての創作に意味はあるのか。
動機によって、無い方が良かった創作はあるのか。

ここまで読んでいただきありがとうございました。

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