成年向け同人音声台本:ダークエルフ少女との旅モノ その1(製作中)(非R-18部分まで)
《がたんがたんがたん……》
風がゆったりと吹く中を、あなたは荷馬車を操り街道を走っていた。
がたんごとんと、整備されていても僅かに揺れる馬車のリズムに揺られながら、隣には町で買った工芸品を詰め込み、もう次の町まであと少しという所だ。
この辺りの町は、水の精霊アクアローズと風の精霊ヴェントリウスの力が強いため、町々によって工芸品の毛色が随分と変わる。お陰で、それ等を町々に運ぶだけでもそこそこの稼ぎになってくれるのだから、行商で身を立てるあなたにとって、有難い土地柄と言えた。
ルーナ
「見て、行商人さん!町がもうあんなに近くにっ!」
突然あなたが操る荷馬車の上で、フードを下ろしたローブ姿の小さな影が嬉しそうに歓声をあげた。言われて見てみると、確かに通りの先に薄っすら点のようなものが見えてきている。
荷物に巻き込まれないよう器用に居場所を作って遠くを見ているその小さな影は、あなたが知る限り日頃はもう少し大人しいはずなのだが。
新しい町が近づくと、決まって何時も嬉しそうに声を上げるのだ。
ルーナ
「ふふ、あの町にはどんな物があるのかしら?何か変わった景色や、名物とかあるかしら?それとも、美味しい料理……ううん、他では見ない変わった料理というだけでも素敵だわ♪
楽しみ……楽しみね、行商人さん♪」
そう言って、あなたの隣に顔を寄せた彼女のフードが風に揺れ、一瞬その輝くような笑顔と……その影に隠れていた浅黒い肌、そして横に伸びる長い耳が一瞬、あなたの目に映る。
ルーナ
「素敵な人達が多いと良いなぁ……それで、もし、もし良ければ……」
けれどその笑顔の合間に瞬間、期待するような、憂える(うれえる)ような。小さく目を瞑った祈るような姿が、あなたの印象に強く残る。
ルーナ
「私を……受け入れてくれるといいのだけれど」
零れるように小さく呟かれた言葉が、どんな願いを込めたものなのか……それをあなたは知っている。
彼女……褐色の肌と長い耳を持ったこの小さな少女の名前は、ルーナ。
あなたが一人、とある森を荷馬車で歩いていた時。
突然声を掛けられ、護衛をするから同行させて欲しいと頼み込まれ、旅の同行人となったエルフの……。
いや、大昔にいたと伝説の残る、世界の敵対者であったと伝えられるモノ。
ダークエルフ、そう呼ばれた存在と同じ姿の少女である。
尤も……。
ルーナ
「ん、どうかしたかしら行商人さん?
って、きゃっ!? もぉ、急にお尻を撫でないで下さいっ! ……行商人さんは、エッチなんだから!」
ルーナ自身は、そんな伝説とは懸け離れた、至って真面目な少女なのだが。
ルーナ
「行商人さんったら本当に遠慮しない方よね!
落ち着く先を探すまでの同行をお願いさせて貰った最初の晩で……私の事を襲って、初めてだったのに……あんな乱れさせて、私に……とてもイケナイ事を教え込むのだもの。
とってもとっても、エッチな人だと思うわ!」
少女はあなたに抗議するように、ぷくっと頬を膨らませていかにもあなたが悪人であると言わんばかりに批難し、そっぽを向く。だが、それはほんの一瞬の事。
すぐに顔を戻して、照れ隠しであろう小さな笑みと共に……少しだけ赤くなった頬で、言葉を紡ぐ。
ルーナ
「なんて……。
本当は、私が闇の精霊さん達の影響もあって……イケナイ事だと知ってたけど、とっても興味があって、受け入れてしまったのよね。
ごめんなさい、つい行商人さんのせいにしてしまって」
ぺこりと小さく下げられた頭に、あなたは手を添えて気にしていない事を伝える。
すると少女は、ぱっと顔を上げ嬉しそうに笑顔を浮かべた。
ルーナ
「ふふ……ありがとう、行商人さん♪
あ、けれど……行商人さんが、その後色々。
うぅ……色々教え込んだのは、やっぱり……世間的にはとってもエッチな事だと思ってるわ!
すごく、興味深く感じてしまったのが恥ずかしいけれど……。
って、わわ!?これは内緒よ!?
お父様やお母様に知られたら、とんでもないふしだらな子だと怒られてしまうもの!」
このコロコロと表情の変わる、真面目だけれど好奇心の強い……愛らしい同行者と一緒に、新しい町で観光をしたり、名物を味わったり……彼女の言うとおり、ふしだらな一晩を過ごしてみたり。
一人きりであった旅に、振って湧いた同行者と共に過ごす事が、最近のあなたの楽しみになっていた。
少しばかり強く、フード越しに少女の頭を撫でながら、あなたは笑みを少女に返す。
……新しい町では、どんな事が起きるのだろうか?今から、それが楽しみで仕方が無いのだ。
ルーナ
「あぅ、行商人さん?そんな頭を撫でてばかりいないで……ねぇ、本当に本当に約束よ?内緒にして下さいな?
……あぁもう、撫でて誤魔化さないでったら!耳と肌を見られないようにしてるのに、フードが取れてしまうわ!
行商人さんったら、ねぇっ!もうすぐ町なんだから、聞いて、ね?…もぉ、ねぇってば!」
少女の抗議の声を聞きながら、あなたはルーナの頭を撫で続けた。
勿論、彼女の危惧には注意して、他の誰にも見られていないと確認しながらではあったが。
次の町が段々と近づいてくる、町に入れば彼女の顔をしっかり見れるのは宿の中だけになってしまうのだから、暫くの見納めという意味もあるのだろう。
がたんごとんと、背に工芸品と騒がしい2人を乗せて荷馬車が揺れる。
さて、今度の町は2人にどんな体験をさせてくれるのやら……。
ルーナ
「行商人さんっ!話を、聞いて……頂戴ってばぁー!!」
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