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毎年叫ぶ、今のモノを今見ろと

物心ついたときから平成仮面ライダーと共に過ごし、気付けば令和になってもなお仮面ライダーが好きなオタクへと変異してしまった。
そうして生きていると毎年のように「今のライダーって?オススメって?」なんて聞かれるワケだが、そこで自身は全力で叫ばなければならない。

今の仮面ライダーを、今、毎週見よう!

面白いことに確約が取れない最新作を勧める、そんな博打に片足を突っ込んでいるような雄叫びにもちゃんと理由はある。”今のライダーを今見る”ことはスタートラインにもなり、最前線にもなるのだ。
なぜ毎年この叫びに至っているのか、理由を分解していこう。


全4クールという膨大さ

仮面ライダーシリーズは何十年も続く長寿コンテンツであるのと同時に、そのほとんどが全4クール(46~51話ほど)で構成されている莫大なボリュームを持つコンテンツでもある。4クール=全48話と仮定し、1話25分とするとだいたい一作で20時間かかる
オタクを自称しておきながらこれほど異常な長さは伝えたくない。布教を渋りたくなるほどだ。

しかしこれは過去作を一気見しようとした場合の話だ。最新作をリアルタイムで追う場合は毎週1話、その日にたったの25分を取るのみで最前線に立ち続けることができる。毎年訪れる”最新作の第一話”という最高のタイミングで声がデカくなるのは、”全48話を週1のわずか25分”のコンパクトさで食らいつけるチャンスだからなのだ。

新作が出る度の叫びには「腰を据えるというよりも、日常のほんの少しの時間をいただきたいだけなのです…」という極限下での呻きに近い心をこめている。平成20作+令和から今に至るまでひたすらに食らいついているのは、毎週飯食いながらサザエさんを流し見して25分経っているような、そういうニュアンスで捉えてほしい

だから「第一話を!!!逃すな!!!」と毎年叫ぶ。

”今”が一番楽しめるように作られている

これは特に近年よく見られるケースで、夏と冬に公開される映画二作が本編とリンクするようになっている。
だいたい秋ごろに新シリーズがスタートし、そのまま流れで見続けると気付けば12月。冬の映画から年が明け、さらに流れて夏まで行くとフィナーレたる夏の映画が公開される。そしてそのまま次の作品へ…

この一連の流れはシリーズ中で10年以上も継続しており、毎週更新のレールに乗るとあっという間にこの導線に乗っているのだ。これが非常によくできていて

  • 秋から新シリーズ始動

  • 1クール目ラストで伏線展開(映画の敵の匂わせなど)

  • 冬映画で一度伏線回収、さらにサプライズで追加ライダーのチラ見せ

  • 年始から2クール目突入、追加ライダー本格参戦

  • 夏映画で作品の熱を限界までヒートアップ、次回作ライダーの先行登場

  • 夏終わりに本編が終了

  • 秋に新シリーズ始動へ

このように作品の入りから終わりまで全てに連続性を持たせることで、気付けば来年のライダーに辿り着いている。
特に冬映画は物量が凄まじく、前年のライダーが先輩として本編後のアフターを紡いだり、現行追加ライダーのチラ見せという思わぬ出会いがあったり…前年ファンとして余韻に浸りながら現行ファンとしての熱を一層高められる。

夏映画では一転して現行作品が全力で描かれ、中には一つのエンディングのようにフィナーレを迎える作品もある。
そして最後には毎年恒例の次回作ライダーの先行登場。姿も名前もよく知らない未知のライダーが不意にスクリーンから姿を現すその様は毎年とてつもない衝撃をもたらし、現行ロスを与えぬままにまた次のステージへと進む。

25分のささやかな入口から一年間ユーザーを全力で楽しませ、全力で繋ぎ止め、全力でバトンを渡していく姿を始まりから終わりまで見届けていくのが仮面ライダーシリーズの真の楽しみ方であり、公式が想定している楽しみ方なのだ。

だから「第一話を!!!逃すな!!!」と毎年叫ぶ。

彼らと再会する10年後、20年後

仮面ライダーシリーズは全体で見れば50年以上、平成だけで見ても20年も続いたひたすらに息の長いコンテンツであり、それほどに歴史が積み重なっていくと…そう、自ずと「10th(20th)アニバーサリー」が現れる。そうした記念すべきタイミングでは本編のさらに先を描いた完全新規映像作品や記念アイテムが出て大いに祝われる。
まぁこれはだいたいの作品にもあるのだが、仮面ライダーはたまに「周年記念作品」なるものを投下してくる。これが本ッッッッッッッ当にヤバい

平成ライダー20作を記念した「仮面ライダージオウ」では「仮面ライダー 平成ジェネレーションズ FOREVER」なる作品が公開され、初代のクウガから現行のジオウまで、全20人の平成仮面ライダーが総出演するというそれはもうお祭り騒ぎの異常事態が発生した。

しかし本当に恐ろしいのはそこではない。この映画は平成ライダー20作記念映画でありながら”仮面ライダーはテレビの中の絵空事である”と真っ向から否定するメタフィクションとしてユーザーに牙を向けてくるのだ。

20thなる輝かしいタイミングでなぜそれほどに鮮烈なテーマを取り上げたのか、その真意は映画の中…さらに言えば主役たる仮面ライダージオウ、仮面ライダービルドの作品内に答えがあるのだが…全てがネタバレになってしまうのが非常に悔しいところ。

それはさておくにしても、この映画は十何年も前の仮面ライダーがあのころの姿のままスクリーンでド派手に暴れ回ってくれる。
物心ついて間もないときの記憶の片隅からずっと煌いていたあの人も、幼少期を経てライダーを卒業しなかったあのときに変わらずテレビの中で戦っていた青年も、大人になって子供心を忘れてしまいそうなときに眼前を駆け抜けた彼も…

自分の前に現れては去っていったライダーたちが作品の枠を超えて集結する”ありえない絵面”が、シリーズをひたすらに追い続けていたユーザーへの珠玉のファンサービス映画として突如襲い掛かってくるのだ。

実際に10年越しのサプライズを経験した身であるからこそ、”今のライダーを今見ること”は何年も先にあるかもしれないこうした極大ファンサービスへの備えともなる。
まぁもちろんいちユーザーとしてそれがあることを完全に確約することは不可能なことではあるのだが…いざその時に「本当に今まで見てきてよかった」と思える日がもしかしたら来るかもしれない。俺はそんな日が来た

だから「第一話を!!!逃すな!!!」と毎年叫ぶ。

つまるところ

確かに仮面ライダーはむちゃくちゃな作品数があって、どれから見ればいいか分からない。しかもそのほとんどが48話ほどあってとっても長い毎年2回も映画があるし、一度見るのをやめたら追いつくのが余計に難しくなる。

だから最新作を見てほしい!

毎週1話で少しづつ見進められるし、そこで楽しくなったら冬映画でさらにアツく盛り上がれる。
その楽しさを滾らせ続けて夏になればまた映画があって、さらにはそこで次回作のライダーまでひょっこり顔を見せてくれる。
そうして次が気になったらまた日曜日に違うライダーが現れる。そして冬になれば去年楽しませてくれたあのライダーが帰ってくる。

そんな循環に入っていけば、気付けば何年か経ったうちにシリーズの入口だったあのライダーが頼もしい先輩ライダーとして戻ってきてくれるかもしれない。

たった1年だけでもいいし、向こう10年でもいい。もし仮面ライダーにほんのひとかけらでも興味があるなら…

第一話を!!!逃すな!!!




現行作品「仮面ライダーガッチャード」はもう34話も経ってしまったが、それでもまだ夏映画には間に合う。Prime Videoに見逃し配信があるので興味があればチェックしてみてほしい。今最前線に追いつけば、スクリーンで次回作のまだ見ぬ仮面ライダーが待っているかもしれない…

平ジェネforの話をする度に毎回泣きそうになってる

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