見出し画像

大学2年の夏、バイト帰りに川でひろったヨルダン人を2泊3日家に泊めてやった話④

続き


朝が来た。こんな私にも朝が来たんですね。

ジーザス。


ふざけているように見えるが、本当にかなり安堵していた。サイードは早く起きて歯を磨いている。自分は午前中に部活があったため、またも家を開ける。しかし既に半ばヤケクソである。サイードにお留守番を頼むことへの不安はほとんどなくなっていた。サイード生活2日目である。


部活では友達に今の現状を事細かく話した。ライングループで報告できるほど余裕がなかったため、皆はその時自分の状況を知ることになったのだが、なかなかに興味を示してくれた。数人は今日の夜、うちに来てサイードに会いたいと言う。自分も2人で夜過ごすのは嫌なので快諾した。


友達は4人ほどきた。どん兵衛が好評なのを話していたので、4人中2人がどん兵衛を買ってきてくれた。ちなみにこれは、いわゆる我々がお土産を持っていく感覚とは異なっている。どん兵衛を喜んですする迷惑なでっけぇヨルダン人を見たいという無粋な欲求である。


もちろんこの日も、サイードは来た友達全員に妻の愚痴話をする。友達の1人は大変素直な奴だったので、親身に話を聞いてやっていた。確かに話す内容が全て真実だとしたら、なかなかに可哀想な境遇であったことが伺える。


話していてテンションが下がったのか、サイードの元気がなくなってきた。声のトーンも低くなり、ボソボソと何を言っているか分からなくなってくる。。。。。。






画像1


................................................???

.......................サイード......................???



こんなことは初めてである。

今読んでるあなたに、「雑談をしていたと思ったら、いつのまにか礼拝になってた」経験があるだろうか。経験者として1つ言わせてもらうならば、これ、”マジでいつのまにか”始まるから要注意。気付くまでの10秒くらいは礼拝と話すことになる。


さて、勘の良い読者は気付くだろうか。初日の昼とは礼拝の向きが違うことに。礼拝とは、世界のどこにいても、サウジアラビアのメッカに向かって行うものである。ああ。突っ込みたい。「いやいやいや!昼間と向きちゃいますやん!!!」ってやりたい。だが、本人は至って真面目なのでそんなことも言えない。友人にだけはそのことをこっそりと伝えてたところ、吹き出して笑ってしまった。礼拝中って笑ってもいいんですかね?よく分かんないけど。


友達が帰った後、またあの先輩が家に来てくれた。サイードにとっては最後の夜である。そんな夜を一緒に過ごしてやりたいというのだ。なんで昨日会ったばっかのヨルダン人にそこまで情が湧くのか分からないが、多分面白がっているだけである。


最後の夜はアパートの屋上に上がり、自分と先輩とサイードの3人でタバコを吸うことにした。ここで、またもやサイードが恐ろしいことを話し始めるのであった。

→⑤


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?