【バスケ】ピタゴラス勝率 for B1リーグ

こんにちは、らんそうるいです。セイバーメトリクス(野球のデータ分析)で提案された「ピタゴラス勝率」というモデルをバスケットボール、特にB1リーグ、に適用する時のちょっとした調整について書きたいと思います。

ピタゴラス勝率とは何か? 

ピタゴラス勝率はセイバーメトリクスで提案された、チームの勝率を予測するモデルです。野球での定義は次の通りです。

$$
ピタゴラス勝率=\frac{得点^2}{得点^2+失点^2}
$$

ピタゴラス勝率で何ができるのか?

上の定義を確認すると分かるように、ピタゴラス勝率の計算に必要なのは、チームの得点と失点の情報だけです。つまり、チームの得点と失点さえわかれば、チームの勝率を予測できるということです。

ピタゴラス勝率はバスケに応用できるのか?

ピタゴラス勝率は得点・失点の肩にかかっている指数(上の定義式では2)を変更することで、野球以外のスポーツに応用することができます。

 バスケ版ピタゴラス勝率として、ダリル・モーリー(Daryl Morey)が13.91という指数を提案しています。

 しかし、これはNBAでの数値であるため、Bリーグでは違う指数を使った方が予測が正確になる可能性があります。そこで、実験を行って調べた結果、Bリーグ(B1)版の指数として、10.1を提案したいと思います。

Bリーグのデータで実験

データセット

B1 2016-17~2021-22レギュラーシーズンの、各チームのシーズン毎の総得点・総失点、勝率を計算しました。諸事情により、2021-22シーズンは2021年12月20日までのデータを使用しました。

実験

まず、得点と失点の肩にかける指数を折れ線グラフによって調べました。横軸は5~15まで0.1刻みで変化させた指数を表しています。縦軸は「実際の勝率−ピタゴラス勝率の絶対値」の平均値(MAD: Mean Absolute Deviation)という、予測の誤差を表す数値です。縦軸の値が小さいほど、予測の誤差が小さく、ピタゴラス勝率が正確に勝率を予測できていることになります。

実際の勝率と指数を変化させたときのピタゴラス勝率のMAD

 折れ線グラフを確認すると、およそ指数が10.1くらいの時に、MADが最小になっていることが分かりました。したがって、

$$
B1リーグ用ピタゴラス勝率=\frac{得点^{10.1}}{得点^{10.1}+失点^{10.1}}
$$

というモデルが、B1リーグの各チームの勝率を予測する時に、最も精度が良いことが分かりました。

 次に10.1という指数を使って計算したピタゴラス勝率(横軸)と、実際の勝率(縦軸)を散布図で表現したのが、下図です。

指数=10.1を使ったときのピタゴラス勝率(横軸)と実際の勝率(縦軸)の関係

散布図は、赤い点が一直線に並ぶ傾向が強ければ強いほど、ピタゴラス勝率と実際の勝率の関係が強いと解釈します。散布図を確認した結果、ピタゴラス勝率と実際の勝率の関係は極めて強いことが分かりました(相関係数 0.97)。このことから、バスケにおいてもチームの得点と失点さえ分かれば、勝率をかなりの精度で予測できると言えます。

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