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#4 これがお前の好きなライブハウスだよ!!【“People Get Ready”無観客LIVE生配信/ビレッジマンズストア】

・最高の日曜日が始まるんだぜ!

新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、様々な企業・店舗などが「自粛」を余儀なくされている。

中でも、エンターテイメント産業はその最たるもの。
特にライブハウスなどは、初期のクラスター感染源となってしまったこともあり、ライブやコンサートは軒並み中止や延期が相次いでいる。
私自身、もう何枚ものチケットの払い戻しを行い、スケジュール帳に記された楽しみな予定を黒いペンで塗りつぶす日々だった。

そんな中、4月19日に行われたビレッジマンズストアの無観客LIVE生配信。
自室をライブハウスの熱狂に変えてくれる、素晴らしいものだった。

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・インディーズバンドの機動力

今回のLIVE配信は、4月に予定されていた東名阪のツアーの代替公演である。

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彼らの動き出しは、非常に早かった。
ツアー開催中止発表と同時に、今回の配信LIVEを決定。

デジタルガジェットに強いGt.岩原洋平を中心に、配信機材の購入をはじめとする環境づくりや、『三密』を防ぐ対策(消毒・うがい・Dr.坂野充を追い出す など)をメンバー自らが講じ、短期間で画質・音質共に驚きのクオリティを作り上げてみせたのである。
(なお、岩原のTwitterは、普段は愛犬の写真ばかりなので、癒しにもなる)

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大手レーベルに所属するアーティストにはなかなかできないこの取り組みは、言うなれば「弱者の兵法」なのかもしれないが、この停滞した環境を打破する上では、この上ない最良の一手のようにも思える。


・“名古屋の暴れ馬”の真価

「これがお前の好きなライブハウスだよ!場所なんか関係ねぇよ!
 お前に会いに来たんだ。デカい声で歌えるか、ニッポン!」

Vo.水野ギイの叫びから始まった彼らのステージアクトは、普段のライブの熱量そのものだった。「WENDY」からはじまった、退屈な日々を切り裂く彼らの轟音は、一瞬でYoutubeの画面をライブハウスの最前列に変えてくれた。

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続けざまにツアータイトルにもなっていた最新曲「People Get Ready」を叩きこむと、「最後の日曜日」「黙らせないで」「セブン」と新旧織り交ぜたセットリストが展開される。
今回のライブはオンラインのため、メンバーには“観客席”という名の家にいる我々の様子はもちろん見えない。にもかかわらず、こちらの思いと呼応するように、ステージ上のパフォーマンスは熱を帯び、お決まりの衣装と同じく赤く染まっていく。

そして中盤。
「日本のロックが世界で1番カッコいいって教えてやるよ!」
そう言って演奏されたのは、なんとa flood of circleの「Flyer's Waltz

この日対バン予定だった仲間の1曲を、ビレッジマンズストアらしい色気と荒々しさに満ちたアレンジで披露。“かっこいい”という言葉を、こんな形で届けるのが、彼らの粋でニクいやり方である。

実は、この配信ライブ前後にa flood of circle側も過去にカバーした「夢の中ではない」を公開。日本のロックンロールシーンをけん引するバンド同士の「愛し合ってる(水野ギイ)」良好な関係が見受けられた。
この状況下にあって、フラッド側の出演は見送られたが、これからもこの2組のストーリーが続いていくことに期待をせずにはいられない。


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「ここは最高だよ。でも、ここが最高なのは君がいるからで。
ここが最高なのは向かい合っているからで。
ここが最高なのはいつでも音が鳴りやまんからで。
そういう空間は、俺と君がちゃんと作っていけばいいと思うんだ。
関わってくれるすべての人、ありがとう。恩返しを必ずさせて下さい。」

水野ギイの言葉は、いつも自分の存在意義を強く肯定してくれる。
この夜も、それは変わらない。時折照れ隠しをするかのように、頭を掻きながら見えないはずの画面のこちら側に語り掛けてから、「正しい夜明け」を歌い上げた。
おそらく今の状況は、私よりも彼らにとっての方がよっぽど夜明けが見えないに違いない(少なくとも、私はそうだ)。  にもかかわらず、彼は部屋の隅っこで膝を抱えて丸くなる人々に寄り添い、その助けになろうとしてくれる。救われたいと願う人にとって、彼らはまさにロックヒーローなのである。

歌の中で、『30人弱の観客席で』と歌った。しかし、この日観客席には同時視聴で700人以上の人々が詰めかけた。(アンコールは最大1000人も)
それだけの人々が、彼らに孤独と矛盾と退屈を壊してほしいと、眠れぬ夜を走り抜け、その向こう側に連れていって欲しいと願っていた。

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「ロックバンドは最高だよな!ライブハウスは最高だよな!
この楽しみがあるだけで何日も生きて行けると思うんだ俺たちは!」

そう、この時間があるから生きていけると思えた。
1時間30分。僕は自宅で踊った、歌った、叫んだ。我が家は間違いなく最高のライブハウスだった。(下の部屋の人ごめんなさい。)
そして、しばらく最高の空間であり続ける。

ありがたいことに、この配信LIVEの模様はアーカイブされているのである。
しかも、たったの500円。タバコ1箱分の値段で、こんなにも充実した時間が買えるなんて、この上ない安い買い物だ。もちろん、僕もいまこうしてアーカイブを見返しながらキーボードを叩いている。

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・ロックバンドが好きでよかった

まだまだ、大好きな場所には行けそうにない。大好きな人たちにも会えそうにない。それでも、僕には手を差し伸べてくれるカッコいいロックバンドがいる。きっと、彼らが「正しい夜明け」を見せてくれる。そう信じている。
だから、もう少し頑張ってみようと思う。

ありがとう、ビレッジマンズストア。


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