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天体観測所の夢

数日前。

どこかの遠く鄙びた場所へ、天体観測に行く夢を見た。路線バスから降りて、延々と歩き続ける田舎道。巨大に育ったセイタカアワダチソウが道に迫り出すようにして荒々しく咲き乱れ、まだ夏の余韻を残した初秋の青空が地平線から180度ぐるっと取り囲むように広がっていた。

昭和に栄えたけれどバブル崩壊より縮小に縮小を重ね、現役を退いて久しい観測所は想像以上に悲しげな雰囲気が漂っていた。在りし日にはこの建物内に充満していたであろう熱気と活気は、長きに渡る静寂の中で完全に死に絶えていた。諸行無常。

もう一人、年頃の近い男性が私と同じ目的でここへ来ていた。彼とは軽く会釈をしたが、チェーホフの銃も虚しくそこから何か物語が始まることはなく(私は社交的でないのでその方が好ましい)、外で体験した光や生命の強烈さと観測所の恐ろしいほどの静けさとの対比に一人ただひたすら圧倒されるのみだった。

じきに日が暮れ、星々が姿を表すだろう。


そこで私の目は覚めた。

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